データインバウンド
2021年7月世界の航空需要 夏季休暇シーズンで改善傾向もパンデミック前には程遠く
2021.09.09
IATA(国際航空運送協会)によると2021年7月の世界の航空需要は、国際線、国内線ともに6月より明らかな回復傾向を示していることがわかった。ただし、パンデミック以前の水準とは大きくかけ離れている。各国政府の渡航規制のせいで国際市場の回復の遅れは否めないとのことだ。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)
入国規制緩和措置で改善する国際線
2021年7月の国際線のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年7月と比べて73.6%減だったが、6月と比べると7.3ポイント減少率が小さくなっている。これは すべての地域でRPKが改善したためで、特に北米路線は減少率62.1%と最も少ない。南北アメリカ、欧州は他の地域と比べると入国規制が緩和されていることが影響しているとのことだ。入国規制が引き続き厳格なアジア太平洋地域は厳しい数字に変わりはない。なお、今回はアフリカ路線の実績は得られなかった。
国内線、オーストラリアで激減
国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると15.6%減で、6月の22.1%減よりもさらに改善している。国別では引き続きロシアが好調で、2019年同月比で28.9%増となった。旅行意欲は高いが海外の人気観光地が閉鎖されているため、国内旅行のブームとなっており、夏の期間は特に海岸沿いの都市が人気が高かった。中国の国内線は、国内の規制強化で6月は一旦減ったが、7月は上向いている。
日本の国内線RPKは2019年比で53.9%減で、改善傾向にあり、中国、アメリカ、インド、ブラジルも減少幅は小さくなっている。唯一、オーストラリアはデルタ株による感染拡大で厳格なロックダウン措置の影響が出て、減少幅が大きくなった。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「7月の実績は、夏の北半球で旅行への意欲が増したことが反映されている。国内線はパンデミック前の85%まで戻ったが、国際線のほうは4分の1程度にすぎない。問題は各国の入国規制だ。国内旅行であれば人々は行きたいときに出かけられる。一方、海外旅行が回復するためには国が自由な旅行を許可する必要がある。ワクチン接種をした旅行者については少なくとも規制を撤廃するべきだ」と話した。
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