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2021年世界平和度指数 1位はアイスランド、日本は12位。パンデミックの影響で国民の不安感増す

2021.10.01

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長びくパンデミックで世界全体に閉塞感が漂っているようだが、2021年の世界平和度指数(GPI)にもその影響を感じさせるものがある。オーストラリアのシドニーに本部を置く、国際的シンクタンク「経済平和研究所(IEP)」が発表した世界の平和度を示す番付によると、日本は前年と変わらず12位(1.373ポイント)だった。

GPIは2007年から毎年発表されおり、世界163の国と地域(世界の人口の99.7%をカバー)を平和のレベルに応じてランク付けしている。政治的安定、近隣国との関係、外戦・内戦の数、テロ活動の潜在的可能性など、23項目の定性的・定量的指標を用いて、「社会の安全とセキュリティのレベル」「進行中の国内および国際紛争の程度」「軍事化の程度」の3つの分野に分類。指数が低いほど平和な国とされ、国内紛争や治安悪化、軍事力強化など平和維持への不安要素が大きいほど指数は高くなる。

2021年の結果を見ると、世界の平和度の平均レベルは前年より0.07%悪化、163カ国のうち87カ国で改善、73カ国で悪化を記録、3カ国は変化なしだった。

2021年のランキングで1位のアイスランド(1.1ポイント)は2008年以来、最も平和な国という地位を守っている。アイスランドは北欧の北大西洋上にある島国で人口は約35万人、世界でも稀な軍隊を保有しない国家であり、犯罪率が極めて低く、受刑者が10万人に33人という欧州では1番、世界でも8番目に少ない。また、最下位は4年連続でアフガニスタン(3.631ポイント)だった。トップ10のうち8カ国が欧州で、それまでトップ10常連だったシンガポール(1.347ポイント)はアイルランド(1.326ポイント)と入れ替わり11位に後退した。

なお、ランキングの1位〜16位は平和度が最高、17位〜58位までが平和度が高い、59位〜123位が平和度が中、124位〜150位が平和度が低い、151位〜163位が平和度がとても低いレベルとされる。

日本で目立つのは「安心感の欠如」と「自殺者の増加」

報告書では日本について、「社会の安全とセキュリティ」の分野では5位につけ、実際に自身や知り合いが暴力沙汰にあった人は3%しかいないのにも関わらず、暴力によって危害を被ることを不安に思う人が33%もいるという「安心感の欠如」が指摘された。なお、パンデミックで社会的孤立や経済不安など自殺の危険因子の多くが一般に増加する傾向にあるものの、「自殺者の増加」が目立つ点も指摘されている。

アジア地域ではシンガポールの11位がトップで、日本が12位、それに続いたのは、「幸せの国」ブータンの22位、23位マレーシア、34位台湾、42位は同スコアでインドネシアとモンゴル、45位ラオス、50位ベトナム、56位東ティモール、57位韓国、85位ネパール、91位バングラデシュ、95位スリランカ、100位中国、113位タイ、127位フィリピン、135位インド、150位パキスタン、151位北朝鮮、163位アフガニスタンだった。

また、スコアが改善したトップ5は、142位ウクライナ、159位イラク、24位ポーランド、50位ベトナム、40位北マケドニアで、悪化したトップ5は134位ブルキナファソ、117位ベラルーシ、124位ホンジュラス、71位ザンビア、121位アゼルバイジャンだった。

過去10年間で紛争や危機の発生件数は減少しているものの、新型コロナウイルス感染症のパンデミックとそれによる主要国間の緊張が高まった結果、緊張と不確実性が新たに影響を与えている。2020年はロックダウンに対する不安や経済の不確実性により、住民は大きな不安を抱くようになった。2020年1月から2021年4月までに、パンデミックに関連した暴力が5000件以上発生したという。パンデミックが平和にもたらす長期的影響を正確に測定するのは時期尚早だが、多くの国では経済状態の変化が政情不安や暴力的なデモを促す可能性があるという。

 

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