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2022年1月世界の航空需要、オミクロン株の影響で伸び率鈍化。国内線は日本が最も改善

2022.03.14

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IATA(国際航空運送協会)によると、2022年1月の世界の航空需要の伸びは国際線、国内線の双方で2021年12月よりも鈍化していることがわかった。11月に発見されたオミクロン株による渡航規制の影響が出ている。とはいえ、1年前の2021年1月と比較すれば改善ぶりは際立っている。

国際線・国内線を合算した総RPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)については2021年1月と比べて82.3%増だった。1カ月前の2021年12月は79.1%増だったので、わずかだがさらに改善が見られる。

それでは、ここから、国内線と国際線をそれぞれ見ていく。なお、先月までのこの記事は2019年同月比で記載していたが、今回より記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2021年同月比であることに留意されたい。2021年1月は特に感染再拡大の影響もあって数字は低迷していたため、1年後は非常に大きく伸びたように見えている。

 

日本の国内線、7市場中一番の伸びを見せる

国内線の1月のRPKの世界平均は、前年同月比41.5%増で、2021年12月の34.7%増より改善した。これは、前年同月比107.0%という、主要市場で最も大きな伸びを示した日本が大きく影響を与えている。ただし、1月下旬以降は全国的にまん延防止措置による移動制限の影響が見られたため、2月の伸び率は、1月ほど期待できない可能性が高い。

オーストラリアの国内線のRPKは前年同月比33.4%増で、2021年12月の5.8%減からプラスに転じた。2021年第2四半期にデルタ株の出現で壊滅的な打撃を受けた市場はゆっくりとだが改善している。

アメリカとブラジルの国内線のRPKはそれぞれ前年同月比97.8%増と35.5%増で、それまでよりも伸びが鈍化しており、特にアメリカでは2021年12月よりも29.5ポイントも減少した。どちらの市場も検疫に関連してフライトのキャンセルや乗務員不足、アメリカではさらに大雪による減便や空港の停電などが大きく影響した。

ロシアの国内線RPKは前年同月比23.8増であり、2021年12月より減少。ウクライナ侵攻による経済制裁などで今後のロシアの航空市場は悲観的な見通しとなっている。

中国の国内線RPKは前年同月比34%減だった先月よりも改善し、0.1%減となった。2月の春節に向けて、旅行規制や小規模な観戦再拡大にもかかわらず旅行機運が高まっているといえるだろう。

インドの国内線はオミクロン株の影響を最も受けた市場となり、唯一マイナス、前年同月比は18%減だった。

 

国際線需要はオミクロン株による移動制限で、前月より減少

国際線RPKは、世界平均で前年同月比165.5%増となったが、12月よりは15.6ポイント減少した。オミクロン株の出現による新たな移動制限が影響したためだ。

地域別に見ると、欧州と中南米では前月よりも微増したが、北米は、中東では伸び率が小さくなった。また、もともと伸び率が小さかったアフリカはさらに減少した。

このように2022年1月は国内線、国際線ともに1年前と比較すると大きな伸びを記録したが、パンデミック以前の水準とは比べものにならない。以下のグラフをご覧いただきたい。2022年1月の国際線・国内線を合算した総RPKは、2019年1月と比較して49.6%減、国内線は26.5%減だが、国際線は62.4%減とコロナ前の水準を大きく下回っている。

 

IATA事務局長、国境管理が変異株蔓延を阻止できなかったと言及。今後への期待も

IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、この結果を受けて次のように話した。
「空の旅の回復は、オミクロン株の出現で勢いが鈍化したものの、1月も続いている。国境管理を強化しても、変異株の蔓延を阻止することはできなかったが、国民の免疫力が高い地域では公衆衛生システムがよく機能した。また、多くの政府がCOVID-19対策を、エンデミック、すなわち他の流行性ウイルス対策と同様なものにしようとしている。これには、人々の生活や経済、旅行の自由に壊滅的な影響を与えた渡航制限の解除も含まれる」

 

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