データインバウンド
2022年国家ブランド指数ランキング、2位の日本 何が評価されたのか?
2022.12.19
やまとごころ編集部パリに本社を置く大手調査会社イプソスが、2022年版の「国家ブランド指数(NBI)」を発表した。この調査は、「国民性」「観光」「文化」「輸出」「ガバナンス」「移住・投資」という6つの分野における魅力度を指数化しランク付けしたもの。日本は2021年の3位から1つ順位を上げ、2位にランクインした。トップは6年連続でドイツ。日本はどの分野で高く評価されたのか。また、昨年度からの変化や比較について伝える。
2位の日本の強み「輸出」「観光」「文化」
国際的な政策アドバイザーのサイモン・アンホルト氏が考案し、2008年から始まったこの調査は、今年で15年目を迎えた。調査対象国は60カ国(2020年までは50カ国)。アジア・太平洋地域の調査対象国は、日本、中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、インド、オーストラリア、ニュージーランドだが、この中でトップ10入りしたのは2位の日本と10位のオーストラリアのみ。ほかにトップ10に入ったのは北米とヨーロッパの国々で、その顔ぶれは、順位の変動はあるものの、2021年と変わらない。
1位は、2017年から6年連続首位となったドイツ。「6年連続の1位」は調査史上で初の快挙だ。不確実な時代にあって、予測可能であることは強みとなる。「安定性は報われる」というイプソスのCEOベン・ペイジ氏のコメントを裏付ける結果である。
ドイツの強みは、「輸出」「移住・投資」「文化」における評価の高さだ。「ドイツ製品の購入に対する満足感」「ドイツ人の雇用機会」「ドイツのスポーツ」「ドイツ企業への投資の魅力」の項目すべてで、2位までに入っている。
続いて、昨年2位のカナダを抜いて、2位にランクしたのは日本。高く評価された分野は、「輸出」「観光」「文化」だ。3位となったカナダは「ガバナンス」で順位を下げたが、「国民性」と「移住・投資」ではトップを維持している。
6位につけたイギリスは、調査開始後初めてトップ5から陥落した。「文化」「輸出」「移住・投資」での評価は高いが、「国民性」と「ガバナンス」が弱く、「歓迎ムード」や「有能で誠実な政府」に低い点数がついた。
トップ10にランクしているその他の国については、4位のイタリアが「文化」と「観光」の分野でトップを占める。8位のアメリカは「輸出」に強みをもつという結果だ。
ロシアのブランド指数は大幅ダウン、影響はこの先長く続く
順位を昨年と比べたとき、著しく変わる国はほぼないが、唯一の例外はロシアだ。2021年の27位から今年は58位へと大幅ダウン。60位のパレスチナ、59位のボツワナに次ぐ下位国となった。
「ガバナンス」「移住・投資」「国民性」のうち、とりわけ「平和と安全」「長期間の就労や定住希望」「歓迎ムード」の評判を落としたことが順位に大きく影響した。前出のCEOベン・ペイジ氏の言う、「混乱は国の評判を落とす」結果となった。
本調査の考案者、サイモン・アンホルト氏は、「21世紀に生きる人類が紛争を容認することはない。国家の地位がこれだけ落ちると、企業、政府、とりわけ国民が国際社会と取引や交流を行う力が損なわれることになる。何世代とまではいかなくても、今後何年にもわたってどんな経済制裁よりも効果があるだろう」と語る。
2022年は旅行と投資意欲が低下
最後に、分野に注目して2022年とそれ以前とを比較してみよう。2015年から2022年にかけての人々の「旅行への意欲」は次のグラフの通りだ。2015年から2016年に下がり、2016年から2018年にかけて上がり、そこから2020年まで下がったが、2021年に急回復。しかし、2022年に再び低下。2022年は2016年以来で最も低い数値となった。
(出典:2022 Anholt Ipsos Nation Brands Index)
下のグラフで、「他国の企業への投資意欲」についても見てみよう。2020年と2022年に急激に低下している。2020年はパンデミックの影響で、不安定な時期における企業投資を手控え、2021年にリバウンドが起こった。ただしそれも束の間、2022年には世界的にインフレ率が上昇し、投資に弱腰となった結果、2021年から大幅に低下した結果となった。
(出典:2022 Anholt Ipsos Nation Brands Index)
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