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生活費の高い都市ランキング2022年版発表、世界一お金のかかる都市はどこ? 日本の順位は

2023.01.04

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イギリスの国際経済誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)による、世界一生活費の高い都市のランキング2022年版が発表された。報告では、世界の大都市ではこの1年間に現地通貨建てで平均8.1%の物価上昇があったといい、これは過去20年間で最も大きなインフレ率だった。ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、世界中が物価上昇の波に飲み込まれ、ガソリン価格の上昇が最も高いが、光熱費や食料品価格も大幅に上昇しているという。

日本の都市では202110位だった大阪は43位(WCOL指数71)、13位だった東京は37位(WCOL指数72)と、それぞれ3324という大きなランクダウンだった。これはインフレがかなり抑えられているという評価だが、生活者の実感としては果たしてどうなのだろうか。

 

世界一生活費の高い都市はニューヨークとシンガポール

このランキングは5大陸の172の都市(前年までは173都市だったが、キーフが除外された)について、交通費や家賃、食費、シャンプーや化粧品などの生活用品等、200以上の商品、サービスの価格を調べて、ニューヨークを基準(WCOL指数100)に生活費を比較したものだ。なお、現地通貨の物価を米ドルに換算して各都市の指数を算出しているので、対ドルの為替レートも影響する。日本の2都市が大幅にランクダウンしたのもそのせいではないだろうか。なお、ドル高でアメリカの都市が大きくランクを上げ、最も上昇した10都市のうち6都市を占めた。

さて、2022年の世界で最も生活費の高い都市になったのは、ニューヨークとシンガポールだった。通貨高とインフレ率の上昇で、昨年トップだったテルアヴィヴを上回った。ニューヨークが首位になったのは初めて、シンガポールは10年ぶり8回目となった。そのほか、トップ10の顔ぶれは以下の表の通りだ。2021年と比べると、大阪に代わり、サンフランシスコとシドニーが入っている。

最も大きくランクを下げた10都市のうち、前述した日本の2都市を別にして、スウェーデンのストックホルム(WCOL指数61)など5都市が欧州の都市だった。これはインフレ率が上昇する一方で、エネルギー危機により欧州全体が景気後退に転じ、米ドルに対して通貨安が進行しており、一部都市では指数が低下したためだ。

最も大きくランクを上げたのはロシアのモスクワとサンクトペテルブルクでそれぞれ、88位と70位上がって37位(WCOL指数72)と73位(WCOL指数66)となった。また10都市のうち、アトランタ、シャーロットなどアメリカから6都市が入った。

最も生活費の安い都市は2021年と変わらず、内戦が長引くシリアの首都ダマスカス(WCOL指数11)だった。

 

世界中で公共料金の値上げ続く

2022は世界の大部分でインフレの影響に見舞われたが、最も影響を受けたのはガソリンで、現地通貨建てで平均22%も値上がり、スリランカやスペインなど世界各地で抗議デモが起きた。また、エネルギー商品の価格高騰により、電気・ガスなどの公共料金は、WCOL調査対象の172都市で現地通貨建てで平均11%上昇している。特に西ヨーロッパではロシアの石油・ガスからの脱却に向けた取り組みをきっかけにしたエネルギー危機の中で、価格が平均で29%も高騰している。

本レポートでは最後に、ウクライナ戦争が激化しない限り、2023年のエネルギ ー、食糧、金属などの物資の商品価格は、以前の水準よりは高く推移するものの、2022年の水準と比較して大幅に下落する可能性が高いと予測。世界の消費者物価上昇率は、2022年の平均9.4%から、2023年には、それでも依然として高いが6.5%に下がると予測しており、この部分的な低下が来年のWCOL調査に反映され、厳しい状況にある家計に多少の安心感をもたらすことを期待していると結んだ。

 

 

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