データインバウンド
2023年2月世界の航空需要、2019年比85%まで回復。アジア太平洋の旅行活発化力強く
2023.04.13
やまとごころ編集部IATA(国際航空運送協会)が発表した2023年2月の世界の航空需要によると、航空機による旅行は引き続き力強く成長しているという。
2月の総RPK*は前年同月比55.5%増となり、パンデミック前の2019年同月比では84.9%(15.1%減)まで回復している。国際線RPKは、パンデミック前の77.5%(22.5%減)まで戻り、アジア太平洋地域の回復を筆頭に全ての市場で力強い成長を示した。また、国内線RPKはパンデミック前の97.2%(2.8%減)まで回復した。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)
北米と中東・中米を結ぶ路線は2019年水準を上回る勢い
これまで回復が遅れていたアジア太平洋地域の航空需要は、1月8日の中国の海外旅行解禁をきっかけに活発化、これまで3年近く低調を極めていただけに、その反発として大きな成長を見せている。2023年2月のアジア太平洋地域の国際線RPKは、2019年同月の6割近くまで回復。同地域から他の地域へ向かう路線の旅客輸送量も回復している。
欧州地域では2019年同月比17.5%減だが、域内の航空需要はパンデミック前の9割まで回復しており、欧州と北中南米や中東を結ぶ路線も好調だ。
また、中東ー北米、北米ー中米を結ぶ路線は2019年のレベルを上回っている。中東の国際線はパンデミック前の水準の93.7%まで回復しており、アフリカも92.3%まで回復した。
アジア太平洋地域の国内線、急ピッチで回復
2月の国内線RPKでは、2019年同月比で2.8%減となり、1月に続いて好調を維持。この2カ月の伸びは前述のように中国の旅行規制緩和によるところが大きい。中国の国内線は1月からさらに改善し、2019年同月比8.2%減まで回復。ASK(=available seat kilometer、総座席数×輸送距離)はパンデミック前を6.2%上回っている。
インドも同様で、RPKは2019年同月比2.2%減で、ASKは同7.1%増となっている。一方、オーストラリアと日本はRPKもASKもパンデミック前を下回った。また、アジア太平洋地域全体のRPKの伸び率は2019年同月比8.2%減まで回復している。
国内線地域別では欧州が最も成績が良く、2019年の水準を12.5%上回った。
アメリカの国内線RPKはここに取り上げた6カ国の中で、唯一1月に続き2カ月連続で2019年の水準を上回った。そして、地域的にも北米と中南米はどちらも2019年同月比を上回っている。
イースター休暇で更なる伸び期待もストライキの影響は?
IATA事務局長のウィリー・ウォルシュはこの結果を受け、以下のように述べた。「経済的は不確実な要素があるにもかかわらず、航空旅行に対する需要は世界中で、特にアジア太平洋地域で好調を維持している。業界は現在、2019年のレベルをわずか15%ほど下回っており、その差は毎月縮まっている。今後、イースターなどの休暇を利用して、世界各地で多くの旅行者が飛行機を利用することが予想される。航空会社はパンデミックから回復しており、乗客は安心して利用できるだろう。空港やセキュリティスタッフなど、飛行機の運航に関わるものは皆、旅客がスムーズな休暇を過ごせるよう努力してほしい」
ただし、欧州では航空会社のストライキが相次いでおり、イギリスではイースター休暇期間に警備員のストが実施されるため、ヒースロー空港発着便が多数欠航したという。
なお、前回お伝えしたスキポール空港の年間発着回数を46万回に削減するというオランダ政府の「実験的規制」に対して、IATAやKLMオランダ航空などの航空会社が訴訟を起こしていた件だが、オランダの裁判所は4月5日、スキポール空港の発着枠削減を差し止める決定を下した。
ただ、この件に関して、IATAのウォルシュ事務局長は「乗客や航空会社、オランダ経済にとって良いニュースだが、スキポール空港のフライト削減は政府の方針であり、脅威は依然として存在する」とコメントした。
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