データインバウンド
2023年IMD世界競争力ランキング デンマーク2年連続1位、東南アジアランクアップ。日本の順位は?
2023.06.26
やまとごころ編集部スイス・ローザンヌに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所 (IMD) が2023年の「世界競争力ランキング」を発表した。2022年の63カ国に新たにクウェートを加えた世界64カ国を対象に、「企業がビジネスでどれだけ競争力を発揮しやすい環境が整っているか」を順位付けした調査だ。1989年の発表以来、今年で35回目となる2023年は、昨年に引き続きデンマークが1位に輝いた。上位に並んだ国々とともに、日本の結果についてもレポートする。
アイルランドは大躍進の2位
この調査は、IMDが57の提携機関とともに収集した164の統計データと、6400人の世界の上級経営陣から寄せられた92の質問に対する回答をもとに、「経済状況(パフォーマンス)」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの指標について、合計336の項目に基づき評価されている。
トップ3は、デンマーク、アイルランド、スイスだった。デンマークは2年連続で1位を堅持。2位のアイルランドは、昨年の11位から飛躍的に順位を上げた。3位のスイスは2021年から1位、2位へと順位を1つずつ下げ、今年は3位にとどまった。4位は、昨年から1つ順位を下げたが、アジア圏で最上位につけたシンガポールだった。
以下10位までは、5位オランダ(前年は6位)、6位台湾(同7位)、7位香港(同5位)、8位スウェーデン(同4位)、9位アメリカ(同10位)、10位アラブ首長国連邦(同12位)。2022年と同様に、ヨーロッパから5カ国がトップ10入りしている。
また、2023年の結果では、コロナ禍の影響で国境開放が遅れた東南アジア諸国が、タイ(前年33位→30位)、インドネシア(同44位→34位)、マレーシア(同32位→27位)というように前年との比較で順位を上げ、競争力の向上がランキングにも表れた。一方、早くから国境を開放していたスウェーデンやフィンランドといった国々が順位を落としている。
経済規模は小さくとも市場参入に長けた国が上位に
1位から3位に入った上位3カ国について詳しい結果を見ていく。まず、これら3カ国に共通するのは経済規模が小さい国でありながら、それを活かして市場参入や貿易取引国へうまくアクセスしているという点だ。
1位のデンマークは、これまでと同様に「経済状況(パフォーマンス)」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」というすべての指標において、よい結果を出している。「ビジネスの効率性」で1位、「インフラ」で2位を獲得。「政府の効率性」の順位も、6位から5位へとわずかながら上昇した。
2位のアイルランドは、「経済状況」の指標で、昨年の7位から1位へと大きく順位を上げたことや、「政府の効率性」「ビジネスの効率性」が昨年の11位から3位へと上昇したことで、全体の順位も11位から2位へと急躍進した。
スイスが3位を維持したのも、デンマークと同様、すべての指標についてよい結果を出しているためだ。なかでも「政府の効率性」と「インフラ」で、昨年に引き続き1位を堅持。「ビジネスの効率性」は昨年の4位から7位へと低下、「経済状況」は昨年の30位から18位へと上昇している。
日本は過去最低の35位
続いて日本の結果を見てみよう。日本は、昨年より1つ順位を落とし、64カ国中35位という結果だった。1989年の第1回目のランキングでは、日本は1位にランクし、96年までは5位以内の順位を保っていたが、それ以降は順位を下げ、今年は過去最低の順位となった。
指標別の順位では、「経済状況」が26位(前年は20位)、「政府の効率性」が42位(同39位)、「ビジネスの効率性」が47位(同51位)、「インフラ」が23位(同22位)という結果だった。
国民の生活の質向上には、迅速で柔軟なガバナンスが必要
今年の結果を総括して、IMD世界競争力センターのチーフエコノミストである、クリストス・カボリス氏は、「現在世界が置かれている予測不可能な環境の中をうまくかじ取りするには、敏捷性と適応性が必要だ」と語っている。それを示す例として、アイルランド、アイスランド、バーレーンを挙げ、回復力ある経済システムを構築しているという点で優れていること、また、政府が適宜、現在の経済状況に基づいて政策の調整をはかっている点を強調している。
また、レポートの中では、上位にランクした競争力の高い国の共通項として、経済規模が小さいほかに、強力で効率のよい制度がある点にも言及している。IMD世界競争力センター所長のアルトゥーロ・ブリス氏は、「その国の成功を決定づけるのは、国民に繫栄をもたらす能力があるかどうかだ。それは中国がまだやっていないことであるし、アメリカでさえ完全に成し遂げていない」と語っている。
最新のデータインバウンド
2025年 世界の旅行トレンド「オールインクルーシブ」「グルメ重視の宿」「ロケ地巡り」など8つに注目 ーエクスペディア (2024.11.19)
2025年世界の旅行予測、伝統的な旅の価値観を壊し、自己成長を促す9つのトレンドとは? ーブッキングドットコム調査 (2024.11.15)
進化する世界の旅行者ニーズ、アドベンチャーからスロートラベルまで2025年の注目トレンド ーヒルトン調査 (2024.11.14)
持続可能な都市を評価するGDSインデックスのトップ40 2024年版が発表、伸び率の高さで熊本評価 (2024.11.11)
世界の旅行者が注目するサステナブルな旅、その意識と行動のギャップとは?ートリップドットコム調査 (2024.11.07)
米大手メディア ナショナルジオグラフィック「2025 年に行くべき世界の旅行先25選」に金沢を選出、その理由は? (2024.11.05)
【宿泊統計】2024年8月外国人延べ宿泊者数2019年比39.5%増の1324万人泊。石川県で159.4%増を記録 (2024.11.01)
世界一の美食の街・東京の星付き店 世界トップの170軒、ミシュランガイド東京2025発表。デザートレストランも新掲載 (2024.10.30)
2024年8月までの世界の旅行者数 前年比16%増。アジア太平洋の旅行需要拡大、アジアの波及効果は年5兆円規模に (2024.10.28)