データインバウンド
世界で最も住みやすい都市ランキング2023、1位ウィーンは2年連続。日本の都市の順位は?
2023.07.07
やまとごころ編集部英国の政治経済誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)による、2023年の「最も住みやすい都市」ランキングが発表され、ウィーンが昨年に続き首位を守った。
この調査は、世界の173都市(昨年外れたキーウを含む)を対象に、安定性、医療、教育、文化・環境、インフラの5項目を数値化し、住みやすさを評価するもので、2020年をのぞき、毎年ランキング形式で公表されている。2023年の調査は2月12日〜3月12日に実施された。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミック後の正常化が進み、アジア、中東、アフリカの発展途上国の多くでは医療や教育のスコアが向上し、住みやすさが改善された。これにより、今回の調査では住みやすさ指数の平均が、前年の73.2から76.2(100点満点)に大幅に上昇し、パンデミック前の平均値である75.9を超え、15年ぶりの高水準に達した。
なかでも最もスコアが向上したのは医療で、教育、文化・環境、インフラについては向上したものの変化が小さかった。唯一わずかだが低下したのは安定性で、生活費高騰の中、多くの都市で汚職や社会不安に対する認識が高まっていること、また、一部の都市で犯罪が増加している点が反映されている。
ウィーンがトップ堅持、アジア太平洋地域が躍進
このようにパンデミックを経て相対的に正常な状態に戻ったことで、これまでもたびたび1位の座についているウィーンが2年連続で首位を守った。ウィーンは2021年の調査で、有名な美術館やレストランが閉鎖された影響もあり、12位まで順位を下げたが、以降は順当に首位の座を維持していると言える。
ウィーンの魅力は安定性と優れたインフラ、充実した教育·医療サービス、豊富な文化や娯楽の機会などに支えられている。評価スコアの内訳は、安定性、医療、教育、インフラが100で、文化・環境のみ93.5だった。大きなスポーツイベントが比較的少ないことが数少ない欠点として挙げられている。それは2位のコペンハーゲンにも当てはまるという。
注目されるのは、前年のトップ10の顔ぶれは欧州が6都市、カナダが3都市だったのに対して、今年は欧州が4都市に減り、オーストラリア2都市を含め、アジア太平洋地域から4都市がランクインしたことだ。なかでも、3、4位につけたオーストラリアのメルボルンとシドニーは昨年急落したのち、上位に返り咲いた。
前年と同じ10位の大阪はアジアの都市で唯一トップ10入りした。評価の総合スコアは前年の95.1から0.9ポイント上がり、安定性、医療、教育が100で、文化・環境が86.8(トップ10の都市では最も低い)、インフラが96.4だった。
なお、大阪と10位を分け合ったニュージーランドのオークランドは最もランクアップした都市の2位(25ランクアップ)、同じニュージーランドのウェリントンは1位(35ランクアップの23位)だった。その他、パース、ハノイ、アデレイド、クアラルンプール、ジャカルタ、香港といったように、アジア太平洋地域の都市が、最もランクアップした都市トップ10に8都市も入った。
逆に最もランクダウンした都市には欧州が多く、エジンバラ、ストックホルム、マンチェスター、ロッテルダム、リヨン、ロンドンなどが並んだ。労働者のストライキや内乱の増加などで安定性の評価が低下したのが大きな要因だ。
紛争が続くシリアのダマスカスが今年も最も住みにくい都市に
ランキング最下位の10都市は、キーウが165位に入ったのを除けば、順位に変化はあったものの顔ぶれはほぼ前年と変わらない。キーウの総合スコアは2021年から5.9ポイント低下、戦争が安定性とインフラに大きな影響を与えた。
昨年のワースト10都市は評価の総合ポイント30点台が多かったが、今年は最下位を除く9都市が40点台に向上した。ただし、紛争の続く最下位のシリアの首都ダマスカスは総合ポイントが前年と同じにとどまった。
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