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市場動向から読み解く、中国で越境ECサイトが利用される理由とは? 美容コスメやアパレルが人気

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経済産業省が発表した「令和4年(2022年)度電子商取引に関する市場調査」の結果の中から、後編となる本記事では、中国の越境ECに関する項目を紹介する。
(図・表出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」)

 

拡大傾向にある中国の越境EC

まず、中国越境EC市場の規模を見ていく。下の図表は、中国における越境EC市場規模と対前年比の変化率を表している(2023年以降の数値は予想値)。2022年の越境EC市場規模は1653億米ドルとみられ、前年比で1.6%増加すると推計。越境EC市場は拡大傾向にあり、今後の予想として、2024年の同市場の市場規模は1824億米ドルになるとされており、前年比6.4%の増加が見込まれている。

 

中国の越境ECから読み解く、利用者の動向と日本から購入する理由とは?

続いてレポートでは、中国の越境ECの特徴について、この報告書では次の6つの項目を挙げ、分析している。

1.年齢層:20代後半~40代前半の利用率が高い

越境ECを最も利用しているのは、25歳~34歳と35歳~44歳で共に30%となっている。18歳から54歳の年齢層では15%以上が利用しているが、55歳~64歳の年代層は10%と利用率は低下、65歳以上の年代では1%未満となっている。ただし、65歳以上の年代でも、越境ECを利用して物品を購入したいときは家族や友人が代行する等の方法で間接的に越境ECを利用していることが、EC事業者へのヒアリングなどで明らかになっている。

2.利用デバイス:スマートフォンでの購入が9割超

続いて、越境ECを利用する際のデバイスだが、スマートフォンの利用が96%だった。複数回答が可能になっているため、ノートパソコン利用者も51%いるが、アクセスが容易なスマートフォンを利用した越境EC拡大は今度も予想される。日本の越境EC事業者にもスマートフォンでの閲覧、購入手続きを前提としたサイトの構築が求められる

3.決済方法:アリペイ、クレジットカードの利用率が高い

越境ECを利用した際の決済方法については、トップはALIPAY(アリペイ)の47%、続いてクレジットカード43%、中国銀聯29%となっている。ALIPAYは中国最大のECプラットフォーム「タオバオ」の決済手段として普及した。また、クレジットカードもよく利用されていることがわかる。

4.購入商品の見つけ方:SNSや口コミなどを活用

では、越境EC利用者はどのように欲しい商品を見つけているのだろうか。調査によると、トップは「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、交流サイト)の広告」で65%、続いて「友人/家族のすすめ」(55%)、「アイテムの特徴/ブランド名での検索エンジン利用」(53%)となっている。

日本のECでは商品が「本物」「説明に虚偽なし」「新品」であることが当たり前だが、それが必ずしも常識でない中国では、「SNS上の多くの他人の意見・評価」や「信頼できる友人、家族からのコメント・推薦」を考慮しながら行動としていると推測される。日本企業にとっては「検索エンジン対策」以上にSNS対策のマーケティングも必要だろう。

5.日本商品を購入したい理由:自国で買えないものの購入が目的

次に、越境ECをしてでも日本の商品を購入したい理由を問うと、トップは「国内にないものを購入できる」で52%、次いで「正規品等、信頼できる先から購入できる」44%、「高品質である」41%となっている。「自国で購入できないから」が半数を超えていることから、日本で越境ECを成功させるには、商品のオリジナリティや日本限定等の「プレミアム感」をいかに出せるかが鍵になるのではないだろうか。

 

6.中国人が越境ECで購入している日本の商品:美容コスメやアパレルが人気

越境ECの利用で購入したい日本の商品を尋ねたところ、「美容コスメ」が44%、「衣料品/アパレル」が43%、「食料品・アルコール」が30%だった。これら上位の商品は越境ECの売れ筋商品定番となっている。

 

訪日と越境ECの関係、自身での経験を基にECで購入する消費者像が明らかに

なお、訪日と越境ECには密接な関係があると言われている。

日本貿易振興機構(JETRO)が過去に実施した訪日経験のある中国消費者へのアンケート調査では、「なぜ越境ECを使って日本の商品を購入したか?」という質問に対し、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者が、2017年8月調査では40.4%(N=992)、2018年8月調査では21.6%(N=1059)存在した。日本滞在時に、実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、越境ECの利用が促進されていると推測できる。

またBEENOSグループが実施した「越境ECの利用意向調査(2021年9月実施)」によれば、「訪日した後、越境ECで気に入った商品をリピート購入したいか」との質問に対し、「思う」が54.7%、「やや思う」が29.7%となっており、実に8割以上が「訪日後にリピート購入をするにあたって越境ECを利用したい」と回答している。

事業者のヒアリングによると「経験的にはインバウンドのピークの少し後に越境ECの波が来ることが多い。2023年以降はインバウンドが回復し、越境ECに好影響を与える可能性がある」との意見もあった。越境ECがインバウンド需要の受け皿になっている側面もあるが、一刻も早く新型コロナウイルス感染症の拡大が収束し、越境ECと相乗効果のあるインバウンド消費が回復することが日本の小売業、ひいては日本経済全体にとっては望ましいことは言うまでもない。

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