データインバウンド
世界の航空旅客数、2024年末に2019年を上回る予測 2042年に倍増。新興国・発展途上国で大きく成長
2024.02.26
やまとごころ編集部国際空港評議会(ACI)が「世界空港交通予測(World Airport Traffic Forecasts)2023-2052」データを発表、2024年末までに世界の旅客輸送量は97億人(国際線旅客数は40億人、国内線旅客数は57億人)に達し、コロナ禍を経て2019年の水準を初めて上回ると予測。さらに、2042年には倍増すると予測している。
トップ3は30年先まで米中インドだが、20年後は中国がトップに
ACIの調査によると、今後数十年で、旅客数は着実に増加する。2023年から2042年の間の旅客増加率は年平均成長率4.3%(先進国は3.2%、新興国・発展途上国は5.4%)で、2042年から2052年の間は同3.6%と予測されている。
この成長により、世界の旅客輸送量は大幅に増加し、2024年から2042年の間にほぼ倍増、 国際線旅客数は87億人、国内線旅客数は106億人に達すると予想される。2052年には2.5倍に増加する見込みだ。
下の表は、総旅客輸送量の20年後と30年後を予測した上位20市場を示している。中国は20年以内にアメリカを上回りトップになり、3位のインドは変わらず、インドネシアが2023年の13位から一気に4位に浮上。イギリスは日本とトルコに抜かれて5位から8位に後退。ブラジル、イタリア、ドイツも同様の落ち込みを見せている。
ACIワールドのルイス・フェリペ・デ・オリベイラ事務局長は次のように述べている。
「長期的には、世界の旅客市場の勢力図は先進国から新興国や発展途上国へとシフトしていくと予想されている。このシフトは、これらの地域における著しい都市化、人口増加、急速な経済発展によってもたらされる。航空がもたらす社会的・経済的便益を最大化するために、現在および新規のインフラに責任を持って投資することは、持続的に旅客数の増加に対応できるようにするための鍵であり続ける」
2023年は国際線が大幅回復、今後20年間の年成長率も国内線を上回る
コロナ流行当初は、国際線の渡航制限により、国際線旅客市場は国内線旅客市場よりも大きな影響を受けた。しかし、2023年の国際線旅客輸送量は大幅に回復し、前年比42%増の35億人に達する見込みだ。2024年の国際線旅客輸送量は40億人、前年比14%増と予測される。国内線旅客数は、2023年は前年比25%増の52億人、2024年には前年比10%増の57億人になると予測される。
長期的な年平均成長率を比較すると、国際線旅客輸送量は2023年から2042年の間に年平均成長率5%で着実に成長すると予想され、国内線旅客輸送量は同期間に年平均成長率3.8%で成長すると予想される。そのため、国際線と国内線のシェアは現在の40%対60%に対し、2042年には45%対55%、2052年には46%対54%と近づくことが予想される。
▶︎世界の旅客輸送量の推移(2016年~2052年)
(水色=国際線、紺色=国内線、旅客数単位は10億人)
出典:ACI World Airport Traffic Forecasts 2023–2052
地域別の予測では、今後5年間でアジア太平洋で大きく成長
最後に地域別の中期予測を紹介する。
アフリカ地域の旅客輸送量は、2023年に2億1900万人、2024年には2019年の水準を上回る2億4200万人(2019年比106%)に、2025年には2億6100万人に達すると予想される。
アジア太平洋地域は、2023年に最大の旅客回復を見せ、30億人近くに達する見込みだという。2024年にも成長を続けるが、ペースは緩やかで、35億人(2019年比103%)に、2025年末までに39億人近くになると現在のシナリオでは予測されている。
欧州では、2023年の旅客輸送量は23億人と推定される。2024年には約25億人に、2025年にはコロナ以前のレベルに回復し、旅客数は27億人に達すると予想される。
中南米の旅客輸送量は、2023年に2019年の水準を超え、7億4000万人(2019年の約108%)に達した。2024年の旅客輸送量は約7億9500万人に、2025年には8億4900万人に達すると予想される。
中東は2023年の4億2200万人から2024年には4億6600万人、そして2025年には5億1000万人へと成長を続けると予想されている。ただし、同地域の地政学的緊張のため、総旅客数は現在の予測を下回る可能性がある。
北米地域の旅客数は、2024年には2019年の104%にあたる22億人に達すると推定される。旅客数はさらに増加し、2025年には23億人に達し、コロナ前の成長率に戻ると予測されている。
▶︎地域別の旅客輸送量の推移(2018年~2027年)
(点線=世界、紫=アフリカ、ピンク=アジア太平洋、水色=欧州、黄緑=中南米、黄色=中東、紺色=北米)2019年=100
出典:ACI World Airport Traffic Forecasts 2023–2052
最新のデータインバウンド
【訪日外国人数】2024年10月訪日客数331万2000人 単月最高を記録、累計は過去最速で3000万人を突破 (2024.11.21)
2025年 世界の旅行トレンド「オールインクルーシブ」「グルメ重視の宿」「ロケ地巡り」など8つに注目 ーエクスペディア (2024.11.19)
2025年世界の旅行予測、伝統的な旅の価値観を壊し、自己成長を促す9つのトレンドとは? ーブッキングドットコム調査 (2024.11.15)
進化する世界の旅行者ニーズ、アドベンチャーからスロートラベルまで2025年の注目トレンド ーヒルトン調査 (2024.11.14)
持続可能な都市を評価するGDSインデックスのトップ40 2024年版が発表、伸び率の高さで熊本評価 (2024.11.11)
世界の旅行者が注目するサステナブルな旅、その意識と行動のギャップとは?ートリップドットコム調査 (2024.11.07)
米大手メディア ナショナルジオグラフィック「2025 年に行くべき世界の旅行先25選」に金沢を選出、その理由は? (2024.11.05)
【宿泊統計】2024年8月外国人延べ宿泊者数2019年比39.5%増の1324万人泊。石川県で159.4%増を記録 (2024.11.01)
世界一の美食の街・東京の星付き店 世界トップの170軒、ミシュランガイド東京2025発表。デザートレストランも新掲載 (2024.10.30)