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2024年アドベンチャートラベル動向、ツアー平均8泊44万円。料理グルメ人気根強く、アジア方面への関心上昇

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国際的なアドベンチャートラベルの業界団体、Adventure Travel Trade AssociationATTA)から、業界の旅行動向を示す最新レポート『アドベンチャートラベル・インダストリー・スナップショット 2024』が発表された。このレポートは、ATTAが、アドベンチャートラベルを手掛ける世界各地のツアーオペレーターを対象に毎年行っている調査結果をもとに、2023年の事業運営や業績、旅行者の属性、人気の旅行先やアクティビティ、今後の展望などをまとめたもの。

今回の調査は、20243月下旬から5月上旬に実施され、224社から回答を得た(54社は一部のみ回答、残り170社はすべてに回答)。
(図版出典:2024 Adventure Tour Operator Snapshot Survey

 

2023年のAT旅行者はコロナ前比65%増、83%が前年収益を上回る

まず、アンケートに回答したツアーオペレーターの詳細を伝える。オペレーターの本拠地は、北米が35%と最も多い。次に欧州(23%)、南米(19%)と続き、4番目がアジア(13%)となっている。

ツアーオペレーターの本拠地

担当するツアーは、インバウンド(サプライヤー)が38%、アウトバウンド(バイヤー)が30%、インバウンドとアウトバウンドの両方担当しているのが30%という内訳だ。フルタイムで働く従業員が10名以下と答えた事業者は全体の70%を占め、小規模なツアーオペレーターが中心であるのは、アドベンチャートラベル業界の特徴と言える。

顧客数については、2023年に各社が取り扱った平均旅行者数は6553人で、前年の4243人から54%増加。下の表の通り、すべての地域で前年の数を上回っている。コロナ前の2019年との比較では、3974人から6553人へと、65%の増加。北米では1163人と、2019年と比べると495%増という驚異的な伸びを示した。

2023年の1社あたりの平均取り扱い旅行者数(単位=人)

ツアーを担当するガイド1人あたりの旅行者数は平均6人で、前年と同じ数字。地域別では、北米がガイド1人あたりの旅行者数が最少の4人であるのに対し、欧州は8人と最も多い。しかし、いずれも比率は前年と変化ない。一方、アジアは2022年にガイド1人あたり4人だった比率が、2023年は16になった。ガイドの数は横ばい、もしくは増加しているので、前述した旅行者数の増加が背景にある。

旅行者の形態は、多い順に夫婦・カップル(36%)、グループ(24%)、家族(21%)、ひとり(17%)という結果。地域別に見ると、アフリカではひとり旅の割合が高く、中東、太平洋、アフリカグループに人気だ。

旅行者の形態

▲左から:全体、北米、南米、欧州、中米・カリブ海、中東、太平洋、アフリカ、アジア

男女比は女性53%、男性46%。また、単身旅行者では女性55%、男性38%。アドベンチャートラベラーは男性より女性のほうが若干多いという傾向は、例年通りだった。

年齢層は、4150歳が25%、5160歳が24%と、41歳~60歳が旅行者の約半数を占める。地域別では、太平洋地域の国々では、51歳以上が72%を占め、他地域に比べて顧客年齢層が高いのが特徴的だ。アフリカやアジアは40歳以下の旅行者が比較的多い。

旅行者の年齢層

左から:全体、北米、南米、欧州、中米・カリブ海、中東、太平洋、アフリカ、アジア

各社の収益に関しては、2021年から継続的に回復しており、2023年は83%が前年の収入よりも増加したと回答した。減収したと答えた残りの17%のほとんどは北米か南米のオペレーターで、2023年より前にすでに回復を達成し、ひと息ついたところか、あるいは、2022年がペントアップ需要で非常に高い収益を上げ2023年は単に通常に戻った、と考えられる。

2022年と比較した2023年の収益

左から、81%以上増加、5180%増加、2650%増加、25%以下の増加、0%もしくは減少

また、ツアーオペレーターのうち、48%はすでにサステナビリティ認証を保有、もしくは取得に向けて取り組んでいると回答している。この数字は、前々年(2021年)の45%に比べれば増加しているものの、前年(2022年)の68%からは大きく下がった。ATTAではこの落ち込みについて、欧州で企業によるグリーンウォッシュ(見せかけだけ環境配慮をうたうこと)を禁止する動きが活発になってきたことを受け、認証取得を報告する企業が減少してきていることを指摘したうえで、業界としては引き続き、サステナビリティ認証に向けた行動と表明を推進していきたいと強調している。

 

2024年のトレンド予測、北東アジアの人気上昇中、料理体験もますます人気に

ここからは、2023年のアドベンチャートラベルの特徴と、2024年のトレンド予測を見ていこう。まず、2023年のアドベンチャートラベルの旅行先として人気が高かった国のランキングは次の通り。( )内は回答者のシェア。

1.アメリカ(19%
2.チリ(7%)、イタリア(7%
4.フランス(5%
5.メキシコ(4%)、オランダ(4%)、イギリス(4%

一方、出発地となるソース市場としてはアメリカ(56%)が圧倒的に大きく、フランス、ドイツ、イギリス(いずれも6%)があとに続く。

また、ツアーの中で最も人気があったアクティビティは、以下のランキングとなっている。

1.ハイキング・トレッキング・ウォーキング
2.文化体験
3.サイクリング(道路/舗装路)
4.サファリ・野生動物観察
5.サイクリング(電動バイク)
6.料理体験

こうした2023年の旅行者の需要や予約状況を踏まえて、ツアーオペレーターに今後のトレンドを予測してもらったところ、需要が高いと感じるアクティビティは次の通り。2位の「料理・ガストロノミー体験」は、ここ数年着実に増加している。

1.ハイキング・トレッキング・ウォーキング
2.料理・ガストロノミー体験
3.文化体験
4.サファリ・野生動物観察
5.サイクリング(電動バイク)
6.写真撮影(野生動物・自然)

地域別に分けてみると、全体でトップだった「ハイキング・トレッキング・ウォーキング」は、4地域すべてで1位、もしくは2位にランクしている。地域別で特徴的なのは、全体で5位の「サイクリング(電動バイク)」が欧州では1位と、最も人気の高いアクティビティとなっている。また、アジアでは2位に「キャンプ」、3位に「登山(山、岩山、氷山)」がランクイン。他地域ではこれらのアクティビティはトップ5圏外で、アジアで人気の高いアクティビティであるのが特徴的だ。

地域別アクティビティトレンド
左項目上から:北米、南米、欧州、アジア はこの地域のみで人気のあるアクティビティ

また、アドベンチャートラベラーにとって、何が旅行の強い動機になるかをたずねたところ、次の項目が上位に並んだ。なお、「ラストチャンス旅行」(6位)がトップ10に初めて入ってきており、やはり気候変動の影響を意識していることがうかがえる。

1.新しい体験をすること
2.穴場を訪れること
3.ローカルのように旅すること
4.文化への触れ合い
5.ウェルネス向上

旅行者から高い関心が寄せられてる地域としては、地中海、西欧、北欧、北東アジア、南米が上位にあげられた。トップ3の地中海、西欧、北欧は常に上位に名のあがる旅行先だが、最近の調査では、世界的な気温上昇に伴い、気温が低めな北欧が特に人気を集めているという。

4位の「北東アジア」は日本も含まれる。前年の調査では14位で、同じアジアでは「インド・南アジア」や「東南アジア」が上位にあがっていたが、今年の調査では「北東アジア」がアジアトップにランクし、注目度が高まっていることが見てとれる。

人気が高い旅行先

 

人気のツアーは8泊、約44万円。2024年は前年を上回る増益見込みに

最後に、旅行費用に関する調査結果を見てみよう。

2023年に最も人気が高かったツアーは、平均宿泊数が8泊、1人あたりの航空券をのぞいたツアー価格は平均2813ドル(445000円*)であった。地元サプライヤーへの支払いが75%、残りの25%が自社のマージンとなる。
(*1ドル=158.21円で計算)

2023年に最も人気のアドベンチャートラベルツアー(価格・宿泊数・マージン)

各社の2024年度(1-12月)の純利益見通しをたずねた。前年と比べて増加が66%、同程度が19%。減少との回答は15%だった。また、コロナ前の2019年との比較では、67%が増加、13%が同程度、20%が減少と回答。前年比でもコロナ前比でも、7割近いオペレーターが増益の見通しを立てるなど、コロナ後、着実に市場は拡大し、今後も成長を続けるであろうことが期待されている。

2024年の収益の見通し(左は2023年、右は2019年との比較)

レポートは最後に、昨今問題になっているオーバーツリーズムについて、次のように述べている。
「アドベンチャートラベルにとって重要な自然保護問題は調査回答者にも関心が高く、オーバーツーリズムは業界にとっても非常に重要な問題となっている。オーバーツーリズムや傍若無人な観光客に不満を抱き、対策を講じ始めるデスティネーションも増えている。これはアドベンチャートラベルにとっては良い兆候にも見えるが、残念なのは、あらゆる形態の観光を一括りにして問題視するデスティネーションもあることだ。否定的な話が後を絶たないが、我々は気を落とさずに、差し迫った問題にきちんと取り組もう」

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