データインバウンド
サステナブル・トラベルへの関心の高さと旅行者が感じる課題ーブッキング・ドットコム2024年調査
2024.07.11
やまとごころ編集部ブッキング・ドットコムは毎年、「サステナブル・トラベル」に関する調査を実施しているが、2024年版の結果がこのほど発表された。対象となったのは世界34の国、地域からの3万1550名の旅行者だった。
それでは早速、調査結果からわかる世界と日本の旅行者のサステナブル・トラベルに対する意識の違いを見ていく。
(図版出典:ブッキング・ドットコム、2024年版「サステナブル・トラベル」に関する調査の結果を発表)
世界の8割以上の旅行客がサステナブル旅行重視、日本でも半数以上
2024年の調査では、「サステナブルな旅行が重要である」と回答した旅行者は、世界の旅行者で83%、日本の旅行者で62%だった。2023年の調査では、世界の旅行者、日本の旅行者ともに80%が「よりサステナブルな旅行をすることは自身にとって重要である」と回答していたことを考慮すると、日本では数値が下がる結果となった。
また、「今後12ヶ月間に、よりサステナブルな旅行をしたい」と回答した世界の旅行者は75%(日本53%)にのぼっている。
さらに、「訪れた場所について、到着したときよりも良い状態で旅行先を後にしたい」(世界71%、日本56% )、「旅行が環境に与える影響に対して、自ら働きかけることができる」(世界45%、日本35% )と考える旅行者が多く、サステナブルに対する意識の高さがうかがえる。
旅行者はサステナブル旅行の良さを実感
今回の調査では、世界の旅行者の多くが、サステナブルトラベルが旅行の価値を高めることを、実感していることがわかった。
世界の旅行者の62%(日本34%)が「よりサステナブルな旅行をすることで最高の自分になれる」と答え、世界の旅行者67%(日本42%)が「旅行中にサステナブルな取り組みを体験することで、日常生活でも、よりサステナブルな生活を意識しようと思う」と回答している。サステナブルに関連した旅ナカ体験がその後の生活にも大きな影響を及ぼすことがわかる。
特に以下の3つの体験において、「日常生活でもサステナブルな生活を意識したい」と回答する旅行者の割合が高まる傾向があった。この点では、世界と日本の旅行者間での大きな差は見られなかった。
・「本場の文化を体験するツアーやアクティビティに出かけた」世界の旅行者の96%(日本87%)
・「小規模な個人商店で買い物をした」世界の旅行者の93%(日本89%)
・「徒歩、自転車、公共交通機関での移動を計画した」世界の旅行者の93%(日本87%)
一部の旅行者に漂う失望感
一方で、サステナブルな旅行をすることに対する失望感が、旅行者のモチベーションを低下させている可能性も示唆されている。
自分たちが環境に与える影響について、「すでに生じたダメージは回復不可能で、旅行者の選択によって状況が変化することはない」(世界33%、日本29% )、「世間で言われているほど、気候変動は深刻ではない」(世界25%、日本21% )と答えるなど、一部の旅行者は環境配慮の重要性を認識していないことがわかった。また、3割ほどの旅行者(世界28%、日本32%)が、「旅行に費やす時間は貴重であり、サステナビリティを意思決定時に考慮する項目のトップに据えることはできない」と回答している。
さらに、世界の旅行者の34%(日本23%)が、「サステナビリティへの取り組み自体が実施されていない旅行先で、よりサステナブルに過ごそうとすることは難しい」と回答。サステナビリティへの取り組みの有無が、旅行者のモチベーションに一定数影響を与えることがわかる。
旅行者の意欲をサポートするために旅行業界ができること
今回の調査ではまた、旅行者が旅行による悪影響を減らす取り組みを行う上で政府が担う役割や、旅行業界にどのようなサポートや協力を求めているのかがわかった。
約4割の旅行者が「経済への影響に対処することができる可能性が最も高いのは、政府である」(世界44%、日本32%)、「旅行サービス事業者が、環境要因への対応のカギを握っている」(世界43%、日本32%)、「旅行や観光がもたらす影響について人々を啓蒙する責任は、政府にある」(世界40%、日本38%)などと回答した。
旅行者のサステナブルトラベルに対する意欲をサポートすることも旅行業界の責任と言える。例えば、宿泊施設がサステナブルな取り組みを行っていることを示す一貫した認証基準が重要視されている。実際、世界の旅行者の4割以上が「よりサステナブルな宿泊施設に魅力を感じる」(世界45%、日本36%)と答え、7割近くが「すべての旅行予約サイトが共通のサステナブル認証やラベルを使用すること」(世界67%、日本44%)に賛同している。
一方で、宿泊施設がサステナビリティに関する認証を得られた根拠について、詳しく知りたいと関心を寄せる世界の旅行者の割合は52%で、2023年の調査結果(69%)と比べ、17ポイント減少している。旅行者が宿泊施設を判断しやすいよう、シンプルで明確に情報を伝えることが重要だとわかる。
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