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2024年世界平和度指数、アイスランドが首位堅持、日本は17位に後退。紛争の増加とともに平和度悪化

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オーストラリアのシドニーに本社を置く国際的なシンクタンク、経済平和研究所(IEP)が、2024年版の「世界平和度指数(GPI)」を発表。アイスランドが平和度指数スコア1.112で、17年連続の首位を守った。

世界平和度指数は世界人口の99.7%にあたる163の国と地域を対象に、23の定性的·定量的指標を用い、「社会の安全・安心」「継続中の国内・国際紛争」「軍事化」という3つの領域に関し、平和の状態を分析しており、各国の平和度を1~5の5段階で評価。 スコアが低いほど平和な国となる。

 

平和度のレベルが悪化する中、アイスランドが首位堅持

2024年の結果では、世界の平和度の平均レベルは0.56%悪化した。過去16年間で12回目の悪化であり、改善したのは65カ国、悪化したのは97カ国。これは、同指数が始まって以来、1年間に平和度が悪化した国の数としては最多となる。

平和度は、「社会の安全・安心」領域では平均してわずかに改善したが、「継続中の国内・国際紛争」領域と「軍事化」領域ではともに悪化した。ガザ紛争とウクライナ紛争が平和度低下の主な要因だ。

また、暴力による世界経済への影響は、2023年には19.1兆ドルに増加し、世界GDPの13.5%を占めている。軍事費(対GDP比)は、指数を導入して以来、年間で最大の悪化を記録した。相対的に軍事費が増加した国は86カ国で、減少した国はわずか50カ国だった。


▲平和度指数の高い順に濃い緑から薄緑、黄色、オレンジへと変化、赤が最も低い(灰色はランキングに含まれていないところ) (図版出典:Global Peace Index 2024)

そんななか、アイスランドは調査を開始した2008年以来、世界で最も平和な国として君臨している。独自の軍事力を持たず、記録的に低い犯罪率、羨望に値する教育制度と福祉制度を享受しており、雇用と収入、主観的な幸福感という点で最高の国の1つにランクされている。

ついで、アイルランド、オーストリア、ニュージーランド、シンガポールがトップ5となった。シンガポール以外の4カ国は、初年度の2008年に選ばれた平和な国トップ10にランクインしていた。

 

日本のスコアは1.525でこの指数の開始以来最も悪化し、順位も2023年の13位から4つ下げて17位となった。「社会の安全・安心」「進行中の国内・国際紛争」「軍事化」の3つの領域でそれぞれスコアが悪化したが、特に「軍事化」の領域内のすべての指標が悪化した。

一方、世界平和度指数の最下位はイエメン(平和度指数スコア3.397)となり、スーダン、南スーダン、アフガニスタン、ウクライナがそれに続いた。イエメンが世界で最も平和でない国としてランク付けされたのは今年が初めてで、同国は調査開始以来24位も順位を下げている。昨年まで8年連続で最下位だったアフガニスタンは3つランクを上げたものの、スコアは3.294だった。

 

最も平和な地域はヨーロッパ

地域ごとのスコアを見ると、世界で最も平和な地域はヨーロッパで、平和度指数トップ10のうち7カ国を擁している。 ヨーロッパの強さは、国内紛争や政治的不安定が比較的少なく、社会経済が発展していることに起因する。 それでも昨年、同大陸の軍事費の前年比増加率は、本指標の開始以来最大を記録した。

ヨーロッパに次ぐのはアジア・太平洋で、2017年以来、2位を維持している。

北米は全地域で最大の悪化率を記録し、主にカナダと米国における暴力犯罪と暴力への恐怖の増加により、両国で平和度が大幅に低下した。しかし、それにもかかわらず、ヨーロッパ、アジア太平洋地域に次いで、世界で3番目に平和な地域であることに変わりはない。

中東・北アフリカ地域は、ワースト1位のイエメンや同2位のスーダンをはじめワースト10のうち4カ国を含む、依然として世界で最も平和でない地域となった。

 

かつてない大規模紛争の危機

2008年から毎年発表されている世界平和度指数だが、今回は世界が岐路に立たされていることが明らかになったとレポートは報告する。協調的な取り組みがなければ、大きな紛争が急増する危険性があるというのだ。

また、レポートによると、現在世界では56件の紛争が発生しており、これは第2次世界大戦以降で最多となる。また、紛争はより国際化しており、国境を越えて紛争に関与している国は、2008年の指数では33カ国に過ぎなかったが、今回は92カ国を数える。2019年には、エチオピア、ウクライナ、ガザが小規模紛争と認定されたが、小規模な紛争が増加していることは、将来的に大規模な紛争が発生する可能性を高めている。

 

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