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世界で急成長するスポーツ・音楽ツーリズム、2032年に200兆円近い規模に。最も支出が多い層は25-34歳

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近年、国際的なスポーツイベントや大規模な音楽コンサートが多くの国々で開催されている。試合観戦やライブ鑑賞は、世界中から駆けつけるファンにとって旅行の大きな原動力となる。急速に拡大するスポーツツーリズム、音楽ツーリズムに、観光産業も大きく注目する中、ファンはどのような旅行体験を求め、どの程度消費しているのか。動向を知るヒントとなる調査レポートをお伝えする。

本調査は、世界145カ国の空港ラウンジを利用できる会員制のサービス「プライオリティ・パス」を運営するコリンソン・インターナショナルが、17カ国、8537人の旅行者を対象に、2024年6月にオンライン形式で実施した。
(調査対象市場:オーストラリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、香港、インド、イタリア、メキシコ、ペルー、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、タイ、UAE、英国、米国)

 

スポーツツーリズム、国内外の牽引役はサッカー

スポーツツーリズムは、2023年に5647億米ドル(約83兆円)だった市場価値が、2032年には2.3倍の1兆3300億米ドル(約195兆円)になると見込まれる。音楽ツーリズムも成長が期待され、2032年は138億米ドル(約2兆円)に達すると予測される。

イベント参加のために飛行機を利用する人のうち、スポーツ観戦を目的に過去3年間に旅をした、もしくは今後12カ月に旅する予定と答えた割合は83%。音楽イベントを目的とした割合は71%にのぼった。これらの旅行者のうち、半数以上(56%)は、年2回以上旅行している。

国内旅行が半数以上を占めるものの、スポーツ観戦目的の半分近く(46%)は海外旅行をし、スポーツや音楽イベントが目的で新しい都市や国へ旅行したことがあると答えている。海外旅行をするのは、23歳以下が多く、スポーツや音楽イベントを目的に旅行するこの年齢層は今後のビジネス機会につながる注目すべき層である。

スポーツツーリズムの中でも、観戦目的の旅行者が圧倒的に多い競技がサッカー(69%)だ。海外試合(72%)、国内試合(71%)の両方に足を運んでいる。1位とは大差がついたが、その後にはバスケットボール(27%)、オリンピック、F1(ともに26%)、テニス(21%)が続く。

 

飛行機に乗っても見にいくコーチェラ・フェスやテイラー・スウィフト

世界全体で多くのファンをひきつける音楽イベントとしては、ブラジルのリオデジャネイロで行われるロックフェスティバル「ロック・イン・リオ」、カリフォルニアで行われる野外音楽フェスティバルの「コーチェラ・フェスティバル」、ベルギーで毎年行われる世界最大規模のダンスミュージックフェスの「トゥモローランド」に回答が集まった。

アーティストとして名前が挙がったのは、昨春から始まったThe Eras Tourで世界中を巡り、今年2月には日本でも東京ドーム4公演を行ったテイラー・スウィフト、今年のロック・イン・リオに出演したトラヴィス・スコットやエド・シーラン、また、イタリアの国民的ロック・シンガーのヴァスコ・ロッシなどであった。

 

イベントを旅行目的に、前後滞在を楽しむ

ファンにとって、試合観戦やコンサートが旅行のいちばんの目的ではあるものの、イベントはあくまで旅行の一部。音楽ファンの78%、スポーツファンの76%は、イベントの1~3日前に到着したいと答えている。イベントが終わったあとも1~3日滞在したいと答えた割合は、音楽ファンで80%、スポーツファンで79%と、ほぼ8割に達した。彼らにとっては、お気に入りのチームやアーティストを観に出かけることは、単なるイベントのための移動ではなく、立派な「旅」なのだ。

スポーツファン、音楽ファンが訪れたい都市では、シドニーと答えた人が27%にのぼり、最も回答数が多かった。次いで、ロンドン(25%)、バルセロナとドバイ(ともに24%)、パリとニューヨーク(ともに23%)と続く。

スポーツや音楽イベントの開催国がかつてないほど広がる中、これまで旅行に行くとは考えられなかったような新しい国や都市を訪れる機会につながっている。ファンたちは新しい地での冒険にワクワクし、旅行需要が生み出されている。リピーター客になる可能性が高い彼らは、地元の観光業界にとっては将来的な経済効果が期待できるという意味で重要な存在である。

 

25~34歳の30%は1回の旅行に1000ドル以上出費

旅行消費額に注目すると、支出額が最も多いのはスポーツ観戦を目的とした旅行者だ。半数以上(51%)は1回あたり500米ドル(約7万3000円)超を出費し、うち29%は1000米ドル(約14万7000円)を超えている。また、アジアでは、2000米ドル(約29万円)以上を出費すると答えた者が17%いた。

支出額が最も大きい年齢層は、25~34歳で、スポーツイベント目的では33%、音楽イベント目的では31%が1回の旅行で1000米ドル以上出費すると答えている。

スポーツや音楽イベントを目的に旅行するファンといっても、目当てのスポーツやイベントはさまざま。旅行行動も異なれば、幅広い地域、年齢層で構成される。ただし共通するのは、いずれも旅行全体の体験を高めることで、旅行をより良いものにしようとしていることだ。

コリンソン・インターナショナのCEOクリストファー・エバンス氏は、「スポーツ、音楽イベントのために旅行するファンは世界的に増加し続けている。忘れられない体験を求め、多額の出費をしてでも、旅行を特別なものにしようと考えるファンたちに、航空ラウンジ利用など彼らが望む旅行特典を提供することは商機となる」と結んでいる。
(1米ドル=146.6円計算)

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