データインバウンド
沖縄を訪問する台湾人旅行者の動向を分析。長期滞在者の割合が増加、その理由は?
2024.10.08
やまとごころ編集部台北から飛行機で最短1時間15分という近さもあり、台湾からの観光客が多い沖縄。今回、「日本の魅力をデータ&デジタルの力で世界へ届ける」というミッションを掲げるVpon JAPAN株式会社は、株式会社りゅうぎん総合研究所と連携し、「沖縄県内における台湾からの入域客の動向」に関するレポートを発表した。
2023年は全国的に外国人観光客数が増加し、沖縄県でも回復傾向にあったが、全国と比べると回復ペースが遅い状況だった。2023年4月から2024年4月までの沖縄県を訪れた外国人観光客の推移を見ると、特に2023年11月以降に増加しており、国籍・地域別では台湾、韓国、香港の割合が多いことがわかった。
今回は、沖縄を訪れる観光客の中で最大の割合を占める台湾からの旅行者に焦点を当て、彼らの滞在や消費動向を分析した。調査は、Vpon JAPANが保有する沖縄県内の台湾からの入域客の滞在データ(アプリを利用する際に収集される位置情報や購買情報)に基づいて行われた。
(図版出典:Vpon JAPAN株式会社)
滞在日数は長期化の傾向に
2023年の台湾、韓国、香港からの旅行者の平均滞在日数を2019年比で見ると、全体的に増加傾向にある。特に台湾からの旅行者は、平均滞在日数が3.3日から4.7日へと大幅に伸びており、長期滞在型へシフトしていることが明らかとなった。
また、2023年の国内客の平均滞在日数が3.2日であることを考慮すると、台湾(4.7日)、韓国(4.1日)、香港(4.0日)からの旅行者は、国内客に比べて約1.25倍から1.5倍の期間滞在していることになる。
アジア3市場における滞在日数の割合を2019年と比較すると、2023年は長期滞在者の割合が顕著に増加している。14日以上滞在する旅行者は、2019年には1%未満であったが、2023年には台湾で6.4%、韓国で4.8%、香港で3.5%と大きく増えた。この傾向は、数日間の観光に加え、長期観光やワーケーションを目的とした旅行者が増えていることを示している。
大型商業施設やイベントが観光客を呼び込む
沖縄県内の訪問先にも変化が見られる。
沖縄市に加え、隣接する豊見城市と浦添市、宜野湾市への訪問数が大きく増加した一方で、石垣市は大きく減少している。石垣市の減少理由としては、台北石垣便が2023年に運休していることが挙げられる。
訪問数が増えた各自治体へのヒアリングによると、大規模イベントや大型商業施設でのショッピングを目的とした訪問が増加したとされている。2023年には、該当する市内でFIBAバスケットボールワールドカップ、エイサーまつり、花火大会などの大規模イベントが開催された。さらに、新規ホテルの開業、遊具のある公園の利用、SNSで紹介され人気を博した港川ステイツサイドタウンの街歩きも、訪問増加の要因として挙げられている。
データ活用で沖縄観光の質を向上
沖縄県の観光の質を高めるためには、滞在日数の長期化や観光消費額の向上が望まれる。
今回のレポートでは、台湾からの旅行者に滞在日数の長期化傾向が見られ、課題解決に向けた重要なターゲット層の一つとして位置づけられた。
また、再訪率の高い台湾人観光客をはじめ、外国人旅行者の需要を取り込むには満足度の向上が欠かせない。そのため、多言語対応やキャッシュレス決済、通信環境の整備など、受け入れ体制や設備の強化が必要だ。また、地域の魅力を引き出す「コト消費」への対応も重要な要素であると結論付けられている。
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