データインバウンド
2024年の航空需要、過去最高を記録。2025年は持続可能な航空燃料と安全対策がカギに
2025.02.10
やまとごころ編集部国際航空運送協会(IATA)は2024年の年間旅客市場実績を発表し、航空需要が過去最高を記録したことが明らかになった。
航空市場の回復と成長、2024年の旅客需要が過去最高に
2024年の国際線、国内線を含む全有償旅客キロ(RPK=有償旅客数×輸送距離)は前年比10.4%増となった。また、全ての地域で2019年の水準を超え、全体では3.8%上回った。
特に前年比で大きく伸ばしたのは、アジア太平洋地域で、前年比16.9%増と他を大きくリードし、アフリカ(前年比13.2%増)がそれに続いた。
一方、総供給量を示す有効座席キロ(ASK=総座席数×輸送距離)は前年比8.7%増だった。北米を除くすべての地域でASKの増加がRPKの増加を下回り、結果としてロードファクター(有償座席利用率・PLF)が上昇、通年で83.5%と、これまでの記録を更新した。
RPK(有償旅客キロ)の増加への寄与率を見ると、アジア太平洋地域が半分以上を占めた。欧州と北米の合計は、全体の約3分の1を占め、引き続き重要な市場であることが示された。
▶︎2024年の業界全体のRPK成長に対する地域別寄与率
国際線はアジア太平洋が成長をリード、RPKは前年比13.6%増
2024年の国際線RPKは空域制限によって世界的なネットワークが再構築される中、前年比13.6%増と大きく成長、2019年の最高値も0.5%上回った。また、ASKは2019年比0.9%減となったものの、前年比では12.8%増加し、供給の回復も進んでいる。
地域別では、アジア太平洋地域の航空会社が国際線RPKを前年比26.0%増とし、最も高い成長率を記録。特に、中国とインドの国内市場の急拡大が特徴的だった。ASKも24.7%増加した。ただし、依然として2019年比で8.7%低い水準にあり、さらなる成長の余地がある。
他の地域のRPKとASKの伸び率は以下の通り。
国内線市場も過去最高、中国が牽引
国内線市場は2024年、RPKが2019年比9.7%増、前年比5.7%増と、過去最高を記録した。
特に中国の国内線RPKは前年比12.3%増、2019年比でも20.2%増と傑出した成長を遂げ、世界の航空市場を牽引。その他の主要市場でも安定した成長が見られた。
なお、日本は前年比3.2%増と堅調な伸びを示したが、ASK(供給座席数)は0.3%減少した。これは需要が供給を上回る「需要超過」の状態であり、航空券の価格上昇や満席便の増加につながる可能性がある。
なお、ロードファクター(有償座席利用率・PLF)に関しては、インドのみが0.6ポイント低下したものの、それでも86.4%という国内市場中最高の数値を維持した。
IATAの見解と2025年の展望
IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、今回の発表について次のようにコメントした。
「2024年は、人々が旅行を求めていることが明確になった年だった。国内線・国際線ともに過去最高の数値を記録し、航空会社は記録的な効率でこの強い需要に応えた。平均して、提供されたすべての座席の83.5%が埋まり、供給制約が成長を抑える要因となったことで、ロードファクターは過去最高を記録した」
また、2025年の航空需要については前年比8.0%増と予測し、次の2つの課題を挙げた。
1. 安全対策の強化
2. カーボン排出量ネットゼロ目標の達成に向けた、持続可能な航空燃料(SAF)の供給不足とコスト高
ウォルシュ氏は、各国政府に対し「SAFの原料となる再生可能燃料生産を優先し、化石燃料補助金の一部を再生可能エネルギーに転換することで、この問題解決と経済発展を促進できる」と訴えた。
2024年の航空市場は、国際線・国内線ともに過去最高の需要を記録し、特にアジア太平洋地域が成長を牽引した。2025年も引き続き成長が見込まれるものの、安全対策や持続可能な燃料の確保といった課題への対応が求められる。各国政府と航空業界の協力が、今後の航空市場の成長と持続可能な発展の鍵となりそうだ。
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