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2024年の日本人国内旅行消費額、過去最高の25兆円超え。宿泊旅行支出20兆円超で大きく伸びる

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観光庁が発表した「2024年旅行・観光消費動向調査(速報)」によると、日本人国内旅行消費額は251175億円に達し、過去最高を記録した。

 

2019年水準を大きく超える回復

コロナ禍によって大きな打撃を受けた旅行業界だが、2023年以降、政府の観光需要喚起策などにより、国内旅行需要は急速に回復。2024年の日本人国内旅行消費額は、前年比14.6%増、2019年比14.5%増の251175億円に達した。

特に、宿泊旅行消費額は203189億円と、2019年比で18.4%増加(前年比14.2%増)と顕著な成長を記録した。

 

旅行者数は回復遅れも消費額は大幅増

2024年の日本人国内延べ旅行者数は53925万人で前年比で8.4%増となったものの、2019年比で8.2%減と完全回復には至っていない。宿泊旅行者数も29305万人で2019年比で6.0%減少となり、日本人の旅行意欲が戻りきっていないことがうかがえる。

一方で、国内旅行消費額は2019年比で14.5%増加しており、旅行者数よりも1人当たりの消費額が伸びたことが特徴的だ。

2024年の11回当たり旅行支出(旅行単価=参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれる)は46579円で、2019年比で24.7%増。宿泊旅行では69336円と、2019年比で25.9%増と大きく上昇した。

11回当たり旅行支出の増加には、物価上昇による宿泊費や交通費、飲食費の値上がり、また、コロナ禍で旅行を控えていた人々が積極的に支出していたことが挙げられるだろう。

 

国内旅行支出をさらに増やすには

日本人国内旅行消費額は、2024年のインバウンド消費額55887億円を大きく上回っている。

しかし、1人当たりの消費額で比較すると、国内旅行はインバウンド旅行に比べて低い水準にとどまっている。前述のように、2024年の日本人国内宿泊旅行の11回当たり旅行支出は69336円だったのに対し、訪日20市場で最も1人当たりの旅行支出が少なかった韓国人訪日客でも109441円(宿泊日数4.2日)と差がある。

インバウンド旅行者は宿泊日数が長いため、一概に比較はできないものの、国内旅行の消費額をさらに増やすためには以下の取り組みが重要となる。

・高付加価値化:宿泊施設の充実、特別体験の提供
・地方への誘客:地方の魅力を発掘し、都市部から地方への流れを作ることで宿泊数増加
・多様な旅行ニーズへの対応:若者や家族連れ、シニア層など、多様なニーズに対応した旅行商品の開発

訪日外国人旅行の力強い回復を追い風に、国内旅行市場も更なる成長を遂げることが期待される。旅行者1人ひとりのニーズを捉え、より魅力的な旅行体験を提供することで、国内旅行市場の活性化につながる。
(図版出典:観光庁 旅行・観光消費動向調査)

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