データインバウンド
2025年世界幸福度ランキング発表、日本は55位。社会的つながりや他人への信頼の重要性
2025.03.27
やまとごころ編集部今年も3月20日の国連国際幸福デーに合わせ、2025年版の世界幸福度レポート(World Happiness Report)とランキングが発表された。2012年から毎年(2014年を除く)発表され、今回で13回目となる。調査対象は前回より4つ増えた世界147の国・地域で、今回も1位のフィンランドは8年連続となった。日本は前回の51位から4つ下げて、55位だった。
幸福度ランキングとは
このランキングは米調査会社ギャラップが世界各国で実施する世論調査をもとにしたもので、各国の約1000人に対し、現在の生活満足度を0から10のスケールで自己評価してもらい、「幸福度」を測定。直近の3年間の平均評価に基づき作成している。今回は2022年から2024年の結果をまとめて2025年版として発表された。
147カ国・地域のランキングは以下の通り。幸福度は0~10の値からなる各個人の回答の数値の平均値であり、以下の6つの主要変数は幸福度にどの程度寄与しているかを示す。左から各色は以下の内容を表している。
青=国民一人当たりのGDP:経済的豊かさの指標
紫=社会支援:困った時に頼れる人がいるかどうか
緑=健康寿命:健康で生活できる平均寿命
ピンク=人生の自由度:自分の人生における選択の自由度
黄緑=寛容さ:他人への寛容さや寄付・ボランティア活動の度合い
オレンジ=腐敗認識:政府やビジネスにおける汚職・腐敗の認知度
水色=人生評価/主観満足度:世界最低の国の平均値と3年間の調査で出た各国の残余値を合計したもので、点数が大きいほどランキングが高くなっている。
▼世界幸福度ランキング2022-2024
北欧諸国が上位を独占
今回のランキングでも、フィンランドを筆頭にデンマーク(2位)、アイスランド(3位)、スウェーデン(4位)、ノルウェー(7位)と北欧諸国が上位を占めた。これらの国々は、高品質な医療、教育、社会的支援システムが充実しており、国民のウェルビーイングの格差も少ないとされている。
こちらは、1位フィンランドの詳細だ。スコアは10点満点中7.736で、これまでの平均順位は2位。主要変数では社会支援と腐敗認識、人生の自由度が特に上位となっている。
また、リトアニア(16位)、スロベニア(19位)、チェコ(20位)といった国々が引き続き上昇傾向にあり、東欧、中欧、西欧間の幸福度が近づいていることを示している。
米大陸の動向、アメリカの順位低下と若者の幸福度
一方で、2024年初めてトップ20から脱落したアメリカは24位と、さらに1ランクダウンし、過去最低の順位となった。特に30歳未満の若者の生活満足度の低下が顕著で、友人や家族からのサポート不足、人生の選択の自由度の低さ、生活水準への悲観的な見方が要因とされている。また、一人で食事をする人が増えていることも、ウェルビーイングの低下に影響を与えていると指摘されている。
なお、コスタリカ(6位)とメキシコ(10位)は、初めてトップ10入りを果たすなど、ラテンアメリカ諸国は躍進した。これらの国々は、強力な社会的ネットワーク、家族の絆、指導者や制度への信頼が高いことが、幸福度向上に寄与していると分析されている。
日本は55位、社会的孤立が多いと指摘
今回日本は55位となったが、スコアは10点満点中6.147だった。これまで最高は43位(2012年)で最低は62位(2019年)、平均順位は51位。主要変数ではGDPと腐敗認識、社会支援が比較的よいといえるだろう。
なお、レポートで指摘されたのは、日本では、韓国と同様、一人での食事が増加しており、その理由として挙げられているのが、単身世帯の増加と高齢化であること。また、各国の年齢層別の社会的つながりの状況を比較した場合、若年成人の17%が(家族や友人を含め)親しみを感じる人がいないと答えているが、中でも日本は突出しており、若年成人人口の30%以上が社会的孤立を訴えている点だった。
アジアではほかに、台湾(2023年31位→2024年27位)、シンガポール(30位→34位)、ベトナム(54位→46位)、タイ(58位→49位)、フィリピン(53位→57位)、韓国(52位→58位)、マレーシア(59位→64位)中国(60位→68位)がランキングの上半分に入った。
最下位は前年と変わらずアフガニスタン(147位)だった。
他人への信頼や食事の共有、家族の絆が幸福度に影響
今回の報告書では、紛失した財布を返してもらえると信じることが、国民の幸福度の強い予測因子であることが示された。北欧の国民は紛失した財布が戻ってくる期待度が高く、実際の返却率でも上位にランクしている。ただし、世界的には他人の親切さを過小評価している場合が多く、実際の財布の返却率は予想の約2倍であることが明らかになった。
さらに、他者と食事を共にすることが、世界中で幸福度と強く関連しており、食事を共有する機会が多い人ほど、生活満足度が高く、否定的な感情が少ないことがわかった。
また、世帯人数が多いことも幸福度と正の関係が見られる。ただし、4人世帯までは人数が増えるほど幸福度が高まる傾向にあるが、それを超えると幸福度が低下する傾向にあることも示唆されている。また、一人暮らしの人の幸福度は、同居している人に比べて低いとされた。
幸福な社会へのヒント
2025年版の世界幸福度レポートは、経済的要因だけでなく、社会的つながりや他人への信頼が幸福度に大きく影響すること示している。人々の親切心や共有の文化を育むことが、個人と社会全体のウェルビーイング向上につながることが改めて確認されたといえるだろう。
(図版出典:World Happiness Report)
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