データインバウンド
9月の訪日客数326万人、中東市場で過去最高記録。累計は1カ月早く3000万人突破
2025.10.16
やまとごころ編集部日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年9月の訪日外国人旅行者数(推計値)は326万6800人で、前年同月(2024年9月)と比べ、13.7%増となった。また、9月としては初めて300万人を突破し、過去最高を記録した。

閑散期の9月に複数市場で記録更新、訪日需要の広がり顕著
9月は例年、夏のスクールホリデー後にあたり、訪日需要が一段落する時期だが、2025年は堅調に推移した。
東アジアでは台風による航空便の欠航も見られたが、全体としては好調を維持。特に、中国や台湾、インドネシア、インド、アメリカ、ドイツなどが9月の訪日客数を押し上げた要因とされる。
また、中東地域では単月として過去最高を記録。韓国やフランス、カナダ、北欧など18市場で、9月として過去最高を更新した。

中国・台湾などが牽引、香港は台風の影響などで減少
市場別にみると、東アジアでは、中国が77万5500人(前年同月比18.9%増)で最多。2024年は9月中旬だった中秋節の時期が今年は10月上旬に後ろ倒しになった影響や、台風18号による欠航があったものの、地方路線の拡充やクルーズ寄港数の増加が訪日客数の増加に寄与したとみられる。
韓国は67万500人(同2.1%増)、台湾は52万7000人(同12.0%増)でいずれも順調に推移し、9月として過去最高を記録した。
一方、香港は14万9500人(同12.2%減)で3カ月連続の前年割れ。中秋節の時期変更や、台風16号・18号の影響が重なり、訪日需要に影響を与えたとみられる。

東南アジアでは、6カ国で「9月として」過去最高を記録。インドネシア(4万4100人、前年同月比25.7%増)やインド(2万5400人、同42.2%増)など、訪日意欲の高まりが顕著だった。その他、フィリピン(5万1600人、同10.7%増)、ベトナム(5万400人、同9.9%増)、マレーシア(4万3800人、同9.8%増)、シンガポール(4万500人、同8.2%増)でも堅調に推移した。
欧米豪では、いずれの市場でも前年同月を二桁台の伸びで上回り、9月としての過去最高を記録。ドイツ(5万2800人、同42.3%増)やイタリア(2万8900人、同47.5%増)の伸びが目立った。アメリカは22万4700人(同17.1%増)で、訪日客数は中国・韓国・台湾に次いで4位となった。
中東地域でも2万9700人(同109.2%増)と高い伸び率を記録し、単月として過去最高を更新した。
2025年 累計訪日客数は9月に3000万人突破、ロシア・中東が高成長
2025年1〜9月の累計訪日客数は3165万500人で、前年同期比17.7%増。2024年は10月に3000万人を突破したが、今年は1カ月早く記録を更新した。
市場別では、中国が748万7200人(前年同期比42.7%増)で最多。以下、韓国679万3600人(同5.0%増)、台湾503万6700人(同9.0%増)、アメリカ239万7700人(同22.3%増)と続く。
伸び率ではロシアが102.4%増で最大。次いで中東が61.8%増、中国が42.7%増となった。一方、香港は唯一前年割れで、7.6%減だった。

日本人出国者は累計1085万人、回復基調が続く
2025年9月の日本人出国者数は139万4500人(前年同月比15.0%増)。1〜9月の累計は1085万7200人(同14.3%増)となり、1000万人を突破。出国者数も順調に回復している。
【編集部コメント】
閑散期でも堅調、インバウンド拡大の新局面へ
9月の訪日外国人は前年同月比13.7%増の326万人。例年落ち着く時期にもかかわらず、主要18市場で過去最高を更新し、累計も1カ月早く3000万人を突破した。とくに中国や欧米豪の伸びが顕著で、航空座席の回復や地方路線の拡充が寄与している。一方、香港は台風や中秋節時期の影響で減少し、気象・行事要因の大きさが浮き彫りとなった。全体の勢いが戻るなか、今後は「どの地域が、どの消費領域で成長するか」を見極める段階。観光事業者にとっては、量の拡大から体験価値や地域滞在時間の向上へ軸を移す局面に入ったといえるだろう。
*JNTOによる訪日外国人とは、法務省集計による外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者を指す。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外国人数に含まれるが、乗員上陸数は含まれない
(出典:日本政府観光局 訪日外客数2025年9月推計値)
▼関連記事はこちら
2025年10月の国慶節、中国人の旅行動向は?
最新のデータインバウンド
-

2025年1月〜9月の国際観光客数 11億人を突破、前年同期比5%増 ― UN Tourism (2025.12.04)
-

2025年9月の訪日宿泊 外国人宿泊数は微増、地方が堅調に伸長。三重・新潟・鳥取で大幅増 (2025.12.01)
-

香港からの海外旅行が過去最高に、訪港客は依然として回復途上 ー2024年年間統計発表 (2025.11.27)
-

旅先で調理、デリバリーする人が増加、アジア旅行者の食スタイル多様化 ーBooking.com (2025.11.25)
-

2025年10月の訪日客数389万人、累計は3500万人突破。紅葉シーズン需要が各市場を押し上げ (2025.11.19)
-

スマホ完結・顔認証が広がる一方で、課題も。IATA2025年調査が示す旅行者の意識変化 (2025.11.18)
-

2026年の旅行予測、個性・内面を映し出す「10のトレンド」ーBooking.com調査 (2025.11.17)
-

2026年の旅は“自己表現”が主流に、ミレニアル・Z世代が旅行支出押し上げ ーSkyscanner調査 (2025.11.13)
-

2026年の旅は“生き方”を映す Z世代がけん引する5つの変化 Trip.com×Google調査 (2025.11.11)
