データインバウンド
2026年米国のラグジュアリー旅行、投資意欲と計画性が加速。日本は人気渡航先3位に浮上
2026.01.15
やまとごころ編集部米国の富裕層向け旅行会社Classic Vacationsが、「2026年ラグジュアリー旅行トレンドレポート」を初めて公開した。同社は、旅行アドバイザーからの信頼が厚く、富裕層市場に精通している。
本調査は、米国のプロアドバイザーの視点から2026年の旅行ニーズを予測したもので、日本を含む人気渡航先や旅の価値観の変化が明らかとなった。
旅行回数よりも、1回の旅への「投資」が重視される傾向に
Classic Vacationsの調査では、2026年に向けてラグジュアリー旅行の需要は引き続き伸びていくと見られている。ただし、旅行回数ではなく、一度の旅にかける費用や準備期間に重点が移っている。
アドバイザーの77%がさらなる需要の拡大を予測し、71%が旅行への投資額の大幅な増加を見込んでいる。背景には「自己投資としての旅」への意欲の高まりがある。ラグジュアリー旅行者は、旅を思いつきで決めない。良い体験を確実に得ようと、半年から1年前から準備を始めるケースも多い。
この傾向は、ラグジュアリー旅行が衝動的な消費から計画的で意味ある選択へと移行していることを示している。
日本が人気渡航先3位に 「歴史・文化」目的の旅が支持集める
人気の旅行先ランキングでは、日本はイタリア、ギリシャに次ぐ3位に入り、アジア圏で唯一トップ5に入った。ポルトガルやクロアチア、フランスを上回ってのランクインは、日本が定番の目的地として認識されていることを示している。
さらに興味深いのは、旅行カテゴリー別の需要だ。王道のビーチリゾート需要が依然として高い一方で、日本やイタリア・ローマに代表される「歴史・文化」目的の旅も、半数以上の支持を集めた。
日本の強みは、分かりやすい豪華さではなく、文化・自然・人との距離感といった体験の「奥行き」にある。旅が終わった後も記憶に残り続ける要素だ。とくに、静けさや季節の移ろいといった要素は、世界的にも希少性が高まりつつある。ラグジュアリー旅行者のニーズと、日本が持つ魅力が、重なり合ってきているといえる。
14泊で周遊する「Best of Japan」に見る、日本の深層価値
Classic Vacationsが提案する日本の旅程「Best of Japan」を紐解くと、彼らが日本の何を価値として捉えているかがより鮮明になる。14泊という長期にわたるその行程は、東京、京都といった定番から、箱根、高山、金沢、広島、奈良までを網羅しており、日本の多様な顔を一つのストーリーとして繋ぎ合わせている。
特筆すべきは、単に名所を線で結ぶのではなく、各都市の持つ歴史的背景や文化的特性を重層的に体験させる構成だ。東京のダイナミズムと箱根の静寂を対比させた後、高山の古い町並みや金沢の伝統工芸、そして広島での歴史的省察といったプロセスを経ることで、旅行者は日本という国の輪郭をより立体的に理解することになる。最終目的地となる京都や奈良では、それまでの道中で触れた日本の精神性が集約され、旅のクライマックスとして深い感動を呼ぶ仕組みだ。
▲Classic Vacationsが提案する日本旅行
このように、地方都市を含めた広域な周遊を通じて、日本を多角的に、かつ深く掘り下げる旅のあり方は、「自己変革」や「本質的な理解」といったラグジュアリー層のニーズと合致する。緻密なストーリーテリングの中に、いかにして知的好奇心を満たす「深み」を組み込めるかが、選ばれる目的地となるための境界線となっている。
(出典:Classic Vacations 2026 Luxury Travel Trends Report)
【編集部コメント】
旅の「意味」への関心が拡大、設計・販売戦略の見直しが必要
本レポートが示すのは、富裕層旅行者が「どこへ行くか」以上に「なぜ旅をするのか」を重視しはじめているという変化である。回数ではなく、一度の旅への投資額や準備期間が伸びている点は、商品設計や販売タイミングを再考する重要な示唆だ。日本が欧州と並ぶ定番目的地として選ばれる今、自社の体験は“人生に残る物語”として語れるか。改めて問い直す局面に来ている。
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