インタビュー
「外国人向けの観光情報発信サイトを作ったのに、アクセスが伸びない」「地域の魅力を発信する多言語の記事をどれだけ発信しても読まれない」
政府が2020年訪日客4000万人を目標に掲げ、各地方自治体に割り当てられるインバウンド予算も増えている。こうした予算を活用してデジタルマーケティングに力を入れる地域も増える一方で、こんな声も聴こえるようになった。
この問題は、都市圏よりも地方圏でインバウンド誘致に取り組む観光事業者や地方自治体ほど深刻のように感じる。
地域でインバウンド誘致に携わる人が陥りがちなデジタルマーケティング施策の罠
こういった悩みを抱える地域ほど「観光情報発信サイトで良い情報を発信すれば自然と読んでくれる」と考えているケースが多く見受けられる。だが“良いサイトを作る” ことと“実際に作ったサイトや記事を訪日客に見てもらうための施策”は別ものだ。
東京、大阪といった訪日客によく知られている都市の場合、「Tokyo、Sightseeing(東京、観光)」などの検索ワードを入力して情報を探す外国人が多いので、観光情報を多言語で発信すれば記事を読んでもらえる。
ただ、訪日客にエリア名を知られていない地方の場合、その町の地名で検索する人が少ないため、どれだけ記事を作って発信したとしても、読んでもらいたい訪日客に情報を届けられないままに終わってしまう。
“うちの町は訪日客に認知されているはず”は多くの場合“思い込み”
「自分たちの町は、多くの日本人が訪れる人気の観光地。だから、訪日客にも知られているはず」そう思うかもしれない。しかし、私たち日本人の多くが、“韓国と言われて思い浮かぶ都市”がソウル、プサン程度なのと同じレベル、と考える必要があるのだ。
こういった多くの地方の町が抱える問題を解決するための施策として増えているのが、ネイティブ広告だ。
日常でよく目にするメディアやWebサイト上で溶け込むように表示されるスタイルのネイティブ広告は、インターネット上で広く情報を届けられるのが特徴となっている。広く届けられるといってもTVや雑誌といったマスメディアに出す広告ともまた違い、認知だけでなく理解してもらうことまでインターネット上で実現していることから「古くて新しい広告の形」ともいえる。
ネイティブ広告業界で国内1,2を争う規模を誇るpopIn株式会社に、インバウンド業界でどのようにネイティブ広告を活用できるのか、話を伺った。
埋もれた記事をキーワードでアピールして、外国人に読まれる記事に
「“外国人向けに作った記事がなかなか読まれない…”そういう悩みを抱えているのであれば、外国人に打ち出すべきは、地名や都市名ではなく、その地域でどんな体験ができるか。“千メートル級の登山体験”なのか“大自然で味わうカヌーやカヤック体験”なのか、その地域のウリをわかりやすく伝えることです。それを、似たような興味のある層に絞って発信することで、記事を読んでもらえる可能性がぐっと上がる。その際に役立つのが、ネイティブ広告です」同社副社長の高橋大介氏はそう話す。
ネイティブ広告には、その表示形式などの違いにより6種類あるといわれるが、popIn社のサービスは、人々が日常的に目にするインターネットメディアなどの記事下に表示される「おすすめ記事欄」に、メディアが出す記事と同じかたちで、読んでもらいたい自分たちの記事を見せることができるというもの。
このスタイルは、ネイティブ広告の中でもレコメンドウィジェット型と呼ばれ、記事をしっかりと読む人をターゲットにした広告だという。読者が面白いと思う記事であれば理解も深まりやすく認知効果も期待できるので、世界的にも成長している広告スタイルだそうだ。
インバウンド向けの観光情報発信にネイティブ広告が役立つ二つのメリット
「私たちのネイティブ広告を使うメリットは、大きく二つあると考えています。
一つは、埋もれてしまった記事を、地名ではなく興味のキーワードで見せ、興味のある層に読んでもらえること。例えば“登山”“カヤック”などの地域のウリを、関心のある人により具体的に魅力を伝えられます。
もう一つは、大手メディアを使ってリーチ出来るので、認知度拡大につなげられること。今後訪日を検討するかもしれない“潜在訪日層”に、地域でできる体験や魅力を伝えることで、興味を持ってもらうことができます」と高橋氏は話す。
潜在訪日層へ地域の魅力を伝えるために、インバウンド業界でもネイティブ広告活用へ
中国最大の検索エンジンを提供する百度(バイドゥ)社の子会社であるpopIn社のサービスは、台湾220媒体以上、韓国180以上のほか、今年5月にサービスインしたマレーシアや香港の媒体に記事を出せるのが強みで、大手の新聞社や通信社など優良なニュースサイトの記事下に「あなたにオススメ」として記事を出せるという。
日本の例で言うと、読売新聞や朝日新聞、時事通信といった媒体の読者にリーチできるようなものだ。
高橋氏によると、「韓国、台湾の潜在訪日層に、記事を通じて地域の魅力を発信でき、記事が読者にとって面白ければ、魅力的な場所として理解してもらえる。地域側からイメージ作りを仕掛けることができるのもメリット」という。
“アクセス数”と“理解度”の二つの視点で記事を評価し、次の記事作りを提案
認知と理解促進を狙って広く情報を届けられるのがネイティブ広告の特徴だが、広告の効果を検証するのは難しいのでは、という声もある。
その点、popIn社は “読了率”と呼ばれる独自の指標を用いて検証しているという。
読了率は、記事を読んだ人がどの程度理解したのか、流し読みだったのか、最後まで丁寧に読んだか、読者の熟読度や理解度を数値にしたもの。どれだけ記事が読まれたかの“数”と、どれだけ記事が深く読まれたかの“質”の二つの視点で記事を評価し、次の記事作りや情報発信方法の提案に繋げているそうだ。
「一般的には、例えばFacebook経由での流入が多いとかTwitter経由は少ないとか、アクセス数だけを見て判断してしまいがち。popInのサービスでは、よく記事を読み理解している“良い読者”はどこにいるのか、読了率から判断できる。読了率を活用して効率的に読者に伝えるための改善案をするなど、長期的な視点を持ってお客さまと一緒にPDCAを回しています」と韓国マーケットを担当するjung jooeon氏は語った。
ネイティブ広告をインバウンド業界でも活用へ
この仕組みは、JNTO(日本政府観光局)が運営する、多言語で日本各地の魅力や旬な話題を毎月伝える「Japan Monthly Web Magazine」のサイトでも利用されているそうだ。
JNTOはデジタルマーケティングに力を入れており、同サイト内の繁体字中文(台湾)、ハングル(韓国)の記事の下にpopIn社のレコメンドウィジェットを設置し、サイトへ訪れた海外読者の回遊を促す仕組みを整えたり、記事の“読了率”の分析にも活用している。また、今後は同サイトの記事広告への送客パッケージプランとしても、popIn社のネイティブアドの活用を検討しているそうだ。
将来日本を訪れる潜在訪日層に地域の魅力を伝え、地域の認知度アップを
ネット広告業界の中では、ネイティブ広告に潮流がシフトし、定着し始めている。インバウンド業界ではまだあまり馴染みがないように感じられるかもしれないが、訪日旅行が顕在化する前の人たちに対して広く魅力を伝えられるネイティブ広告を、インバウンド業界でも使おうという動きは確実に増えている。
「デジタルマーケティング施策で出来ることは一通りやってみた」「訪日メディアへの記事稿や、SNSを使ったターゲット広告、インフルエンサーを使ったプロモーション、外国人の専門家を招いての多言語でのコンテンツ作りなど…、あらゆる施策を試してみたが、イマイチ効果が出ていない」
そう悩んでいるのであれば、デジタルマーケティング施策の一つとしてネイティブ広告を活用し、将来、日本を訪れるだろう潜在訪日層に対して地域の魅力を伝え、認知度アップを狙ってみてはいかがだろうか。
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Contact:sales@popin.cc
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