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観光バス事業者の経営苦境 6割超が赤字。コロナ禍での倒産も過去最多を更新

2021.02.22

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コロナ禍によるインバウンドの消失や、緊急事態宣言による観光需要減少などの影響で、観光バス事業者の倒産が相次いでいる。2020年度の倒産は11件と年度ベースで既に最多を更新、休廃業・解散は12月までに24件発生し、こちらも過去最多を更新した。

帝国データバンクが調査した結果、通期予想を含めた2020年度業績が判明した約300社のうちの92%で、前年度から売り上げ減少となることが判明した。また、減収300社のうち利益動向が判明した企業約150社では、約6割が赤字となった。既に9割超の観光バス事業者が活用している雇用調整助成金等、各種支援もあるものの、売り上げの減少幅が大きく、損失の穴埋めには至っていない。

業績悪化の原因は、バスの実働率がかつてない大幅減少に見舞われた事による。移動の自粛などで独自のバスツアー企画は運営できず、東京五輪関連を含む大規模イベント、修学旅行などの学校事業も軒並み中止や延期となったことでチャーターバスの運行需要も消失した。

国土交通省が1月までにまとめた調査によると、昨年5月には実働率が前年の5%に落ち込み、6月以降も10%台で推移、Go To トラベルにより11月には4割台まで持ち直したものの、年末年始の移動自粛などでまとまった旅客需要は再び消失した。1月以降は約7割の事業者で運送収入が半減する見通しで、先行きはさらに厳しい。メイン収益となる貸切バス運行の売上は今後も大幅な低迷が続くとみられ、廃業や倒産などで事業継続を諦めるケースの増加が懸念される。

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