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東南アジア2カ国で訪日好感度100%、Google活用は共通傾向 ー2025年親日度調査
2025.06.20
やまとごころ編集部世界14カ国、地域を対象に実施した調査で、日本への好感度が全体的に高く、とくに東南アジアでは訪日意欲が顕著であることが分かった。アウンコンサルティング株式会社が2025年5月8日から13日にかけて、各国・地域の20歳以上の男女を対象に行った。
日本への好感度、インドネシアとフィリピンで100%
調査対象の14カ国・地域のうち、インドネシアとフィリピンでは「日本が大好き」「好き」と回答した割合が100%に達した。前年に続きトップとなったが、日本との貿易や政府開発援助(ODA)、人的交流などが影響していると考えられる。
中国では依然として約40%が「嫌い」「大嫌い」と回答しており、他国、地域と比べて高い割合ではあるが、前年から約10ポイント改善した。
特に、「魅力的な観光地がない」「街が混んでいる/汚い」といった否定的な印象が減少し、訪日イメージの改善が進んでいることがうかがえる。
また、韓国でも「嫌い」「大嫌い」の回答が前年より約7ポイント減少しており、2023年以降の首脳会談再開などの二国間の関係改善が、感情面にも好影響を与えたと考えられる。
日本の魅力は「食」「自然」「文化」に集中
日本への好感度を支える要因としては、「日本食」が最も多く支持され、9カ国・地域で20%を超えた。次いで「四季の風景や自然」「商品の質の高さ」「歴史や文化」が挙げられており、日本の魅力は多面的であることがわかる。
特に欧米豪では「日本食」に加え、「歴史・文化的な背景」や「製品クオリティ」への評価が高く、文化や信頼性のある商品への関心が集まっており、観光地の紹介だけでなく、文化体験や工芸品など、深い価値を伝える工夫が効果的といえる。
▶日本が好きな理由
訪日意欲、東南アジア諸国で高まる
訪日経験に関しては、香港・台湾・韓国では「3回以上訪れた」の回答が多く、リピーター層の厚さが際立った。一方で、中国、インドネシア、フィリピン、マレーシア、欧米諸国では「訪日未経験」の割合が比較的高く、市場による経験差が明確に出ている。
また、希望の訪日時期については、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国で「すぐに行きたい」「すでに予定がある」との回答が多く、直近での訪日ニーズの高さが示された。欧米豪市場では「2026年4月以降」「訪日予定なし」の回答が相対的に多く、中長期的な関心にとどまっている。市場ごとの関心フェーズの違いをふまえたプロモーション戦略が求められる。
訪問希望地は「東京」「大阪」「京都」が上位、「北海道」も根強い人気
訪問希望地については、「東京」が市場でで上位に入った。加えて「大阪」「京都」も多くの市場で人気があり、都市型観光の関心が高いことが分かる。加えて、台湾、タイ、シンガポールでは「北海道」の人気が根強く、雪景色や温泉、海鮮など地域固有の魅力が訪日意欲を高めていると見られる。
訪日時の不安要素は「言語の壁」と「災害リスク」
訪日旅行にあたっての不安要素としては、「店員との会話が通じない」がベトナムを除く13カ国・地域で10%以上、「地震などの災害への懸念」は台湾・アメリカを除く多くの市場で10%を超え、言語と災害リスクが市場共通の課題として浮き彫りになった。
加えて、「道路標識が読めない」「公共交通の利用方法が分からない」といった移動面での懸念も多く、受け入れ体制の整備が重要となる。
多言語対応の充実、防災情報のわかりやすい発信、交通案内の整備など、安心して旅を楽しめるインフラの整備が引き続き求められることが予測される。
▶訪日旅行にあたっての不安要素
情報収集は「Google Map」「検索エンジン」が主流
情報収集方法については、観光地・ホテル・飲食店すべてのカテゴリで、全市場で「Google Map」の利用率が15%超、「検索エンジン」も10%以上と広く活用されている。
観光地の情報収集について「口コミの活用」は地域差があり、台湾や香港では重視されるのに対し、インドやイギリスでは低かった。
▶観光地の情報収集方法
ホテル探しについては、「旅行予約サイト」もマレーシアなどで高い支持を得ているが、「SNS投稿」や「SNS広告」の影響は限定的だった。
▶ホテルの情報収集方法
飲食店探しについては、「旅行情報プラットフォーム」はタイ、インド、イギリスで支持されており、レビュー重視の傾向が見られる。
▶飲食店の情報収集方法
<編集部コメント>
全市場で通用する情報対策と東南アジア市場への戦略的接近を
訪日意欲には市場間でばらつきがあるものの、観光地・宿泊・飲食の情報収集において、Google検索やGoogle Mapが全市場で広く使われている点は共通している。中国市場でも同様の傾向が見られることから、Google Map上での基本情報の掲載、更新などのMEO対策は、市場を問わず効果的であり、未対応の事業者は早急に取り組む価値が高い。
また、親日度が高く、経済成長が見込まれる東南アジア市場は今後の訪日拡大が期待される。ニーズや特性を踏まえた戦略的な訴求が、継続的な誘客につながるだろう。
さらに、受け入れ環境の整備においては、多言語対応だけでなく、災害リスクに備えた情報提供や対応体制の可視化も不可欠である。安心して訪日できる環境づくりが、信頼獲得のカギとなることが予測される。
出典:アウンコンサルティング株式会社「世界14の国と地域における日本への好感度、訪日意欲、訪日計画時の情報源について」
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