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地方創生に向け埼玉県熊谷で視察会実施「開運」で観光客誘致を目指す

2022.02.24

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2021年に観光庁による公募・支援対象の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」として全国から採択された155件のうちの一つ、埼玉県熊谷市の「あついぞ!熊谷開運コンテンツ協議会」による「〜熊谷開運巡り〜内から外から”ととのう”〜」の視察会が2022年2月5日に開催された。

イベントの中心となったのは、1200年の歴史を持ち、関東で唯一、厄除けと開運のご利益が同時に得られという日本三大厄除け開運大師の一つ「龍泉寺」。2021年の観光庁事業に応募する前、熊谷市の地方創生を目的として埼玉厄除け開運大師地方創生プロジェクトをスタートさせ、江戸時代でいったん途絶えた初詣を復活させた。

2018年復活当初の初詣客は1000人だったが、その後、関東では珍しい護摩祈願と繊細な透かしが美しい切り絵御朱印が人気を呼び、年々参拝客が増加。龍泉寺が地方創生を実現できる地盤となりながら、地元熊谷市の他企業も巻き込んだ組織作りをして、本来めざしていた地方創生を前進させるべく観光庁の公募に臨んだという。龍泉寺としても初詣客は2022年には35万人までに増えた。


▲左:初詣で賑わう龍泉寺 右:切り絵御朱印とお守り

切り絵御朱印は同寺が発祥。旅行情報媒体『じゃらん』が選ぶ全国の御朱印9選にも選ばれ、3カ月ごとに季節の限定切り絵御朱印も出している。また、ご利益を込めた大開運守りもYahoo! が選ぶ全国最強開運守りに選出。これらによって年間を通して参拝があることから、 開運をテーマに地方創生を行うことで熊谷市のイメージアップにもなり、多くの方に熊谷に来てもらえるようになると考えたという。

今回の視察会では、龍泉寺での護摩焚きのご祈願を体験。ご祈願は厄除けや方位除けの大開運などご利益に分かれ、お札のサイズやお守り・縁起物(切り絵御朱印か開運タオル)などによって冥加料が4000円から1万5000円まで4通りに分かれている。僧侶が本堂内で読経を上げるなかの護摩焚きの儀式は、荘厳でありがたみを感じるものだった。

この参拝に、熊谷が全国第2位の小麦の産地であることから名物となっている熊谷うどんの昼食や循環型農業を行う「遠藤ファーム」でのネギ収穫と試食体験、熊谷唯一の蔵元「権田酒造」訪問、最後に心身が”ととのう”と人気のサウナも備えた温浴施設「ハレニワの湯」での入浴と盛りだくさんの内容だった。


▲左:冬には糖度が増しておいしい遠藤ファームのネギ 右:熊谷うどんの旨辛うどん(田舎っぺうどんにて)

今回の視察会参加者は、旅行メディアなどが中心。有識者の意見を聞き、熊谷の魅力や課題などの現状を確認するために開催された。視察を終えての感想は、東京から車でも在来線の利用でも約70分という地の利や護摩祈願と切り絵御朱印という他にない魅力を持つ寺を中心に、日帰り観光で地域の特色を味わえると好評。また、リピーターの誘致という点で、季節ごとにデザインが違う切り絵御朱印が人気というのも注目された。

 

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