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LGBTQ+旅行者にとっての旅の理想と実態の差が明らかに、ブッキング・ドットコム調査

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世界最大級の宿泊予約サイト Booking.com の日本法人 ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社は、世界のLGBTQ+の旅行者を対象にアンケートを実施し、その調査結果を発表した。

毎年6月は、世界的なプライド月間とされており、世界各地でLGBTQ+コミュニティへの支持を示し、権利を啓発する活動やイベントが開催されている。

このアンケートは、LGBTQ+の旅行者を対象にブッキング・ドットコムが独自で調査。2022年4月から5月にかけオンラインで実施し、イギリス、アメリカをはじめとする世界25カ国5514名から回答を得たもの。

今回の調査から、LGBTQ+の旅行者にとって排除されない旅を実現する上での課題が明らかになると同時に、旅のあるべき姿と実際の姿が全く異なるものであることが分かった。日本のLGBTQ+の旅行者の50%が、「旅とはリラックスして心身ともにくつろげる時間を指すものだ」と回答している一方で、実際にはLGBTQ+の旅行者でなければ考える必要がないことや、LGBTQ+の旅行者だからこそ追加で考慮せざるを得ない事柄がいくつも出てきている。

例えば、日本のLGBTQ+の旅行者の75%は「旅行中に歓迎されていないと感じる体験や不快な体験をしたことがある」と回答、世界のLGBTQ+の旅行者の55%は、「旅行中に差別を経験した」と回答している。世界中の多くのLGBTQ+の旅行者にとって、旅がポジティブな体験だけでなく、ネガティブな体験にもなっていることが伺える。

一方で、ポジティブな交流や体験を楽しめている旅行者も多くいるようだ。実際、世界のLGBTQ+の旅行者の85%は、「これまでの旅での経験の大部分は歓迎されていると感じた」と回答し、特にゲイとレズビアンの旅行者の90%が同様の回答をしている。

本調査から、旅行会社に期待していることについても明らかになってきた。世界のLGBTQ+の旅行者の37%が「自分の好みや興味に合わせてよりカスタマイズされたおすすめの情報を望んでいる」、31%が「現地の法律や宗教による人々の感じ方、服装に関する制限、LGBTQ+へのヘイトクライムの統計情報など、旅先のLGBTQ+コミュニティの状況に関する追加の情報を得たい」と回答、30%が「LGBTQ+の旅行者がポジティブな体験を受けられる宿泊施設の絞り込みを望んでいる」と回答している。絞り込み条件は、ブラジル(40%)、ニュージーランド、アメリカ、ベトナム(それぞれ39%)の回答者の間で特に需要が高いことがわかった。

LGBTQ+の旅行者に限らず、全ての旅行者が歓迎されているように感じられる旅行体験を提供することが、旅行業界が目指すべきインクルーシブな旅の形の1つと言えそうだ。

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