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タクシー業界の動向、半数が赤字10年で人手が半減。ドライバー不足のなか賃上げや燃油価格上昇が足枷に

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株式会社帝国データバンクが全国の「タクシー・ハイヤー業界」について調査・分析を行い、その結果を発表した。調査は、8月末に行われた。コロナ禍を経て人々の移動が回復するにつれて、タクシー・ハイヤーの需要が高まるなか、ドライバーを含む従業員の深刻な人手不足や損益動向の実態が明らかになった。

タクシー会社の人手に関して、国内のタクシー・ハイヤー事業を営む企業で、2013年から23年の10年間の従業員数が判明した2,438社(2023年8月末時点)のうち、従業員が減少したのは69.7%にのぼった。

なお、10年前に比べて「5割以上」減少した企業は14.5%の352社と、全体の1割超の企業で従業員数が半数以下に落ちている。従業員の減少率が加速したのはコロナ禍でタクシーの売り上げが著しく低落した20〜22年で23年になっても回復が見られていない。23年8月時点で、1社平均の従業員数は、2013年の平均66人と比較すると2割減の平均52人となっている。

観光やビジネスのタクシー需要は、コロナ禍の移動制限の緩和から急伸し、初乗り料金は全国規模で引き上げが実施され客単価が上昇している。しかし実情はコロナ禍で転職や離職した従業員が戻ってこず、収入低下というイメージもあることから「若手が入ってこない」という企業も。若手社員や途中採用社員の投入で、高齢などの理由から退職する従業員の穴埋めをすることがままならず、地方部のみならず都心部においても、タクシー保有台数が上回り稼働率が低下しているケースがみられる。

従業員数が半減した会社の割合を都道府県別にみると、茨城県が最も高く29.2%、香川県が29.0%、奈良県が25.0%と都心部以外での減少率が高い。一方で大阪府や埼玉県といった都市部でも大幅な減少をみた企業が散見された。

ドライバー不足が慢性化しているなか、賃上げなどの待遇向上が必須だという指摘があるが、2022年度の業績動向からは、まだ半数の企業が赤字であり、賃上げ原資の確保が容易でない企業も多い。燃油価格の上昇から収益を圧迫しており、特に中小タクシー会社でドライバー不足が解消できない要因となっている。

一方、配車アプリなどを取り入れることで歩合制や流し営業を廃止し、ドライバー維持や確保に成果をもたらしたタクシー会社もある。時給制の導入や就労環境の整備で女性ドライバーを獲得する例もあり、今後の人材確保に向けて勤務体系や福利厚生などでの様々な対応が求められている。

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