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オーバーツーリズム対策で富士山五合目ゲート設置、登山者1人2000円徴収

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山梨県は7月1日から、富士山五合目登山道(吉田ルート)に初めてゲートを設置し、登山者に対する通行料(1人2000 円)の徴収を行うことになった。それについて、山梨県の長崎幸太郎知事が17日、日本外国特派員協会で記者会見を行った。

外国人観光客の増加に伴い、オーバーツーリズムの問題が指摘されるが、富士山も例外ではない。2023年の吉田ルートの登山者数は13万7236人と、コロナ前の水準(2019年は14万9949人)近くまで戻り、半数はインバウンドが占めるといわれる。山頂付近の過度な混雑や迷惑行為、弾丸登山者の高山病などのリスクも見聞きされる中、山梨県は富士山への登山ルートで最も人気のある吉田ルートの五合目にゲートを設け、通行料の徴収を行い、また午後4時から午前3時まではゲートを閉鎖、一日の登山者が4000人に達した場合にも通行を規制することになった。富士登山適正化指導員による登山マナーの指導も行う。

長崎知事によれば、富士山の登山道の一部を規制のできない県道の区分から外し、県有地とすることで、規制が可能になったという。富士山が2013年にユネスコ世界遺産に登録された際にも、「人が多い」「人工的景観が目立つ」「環境負荷が大きい」ことが指摘され、これら課題の解消が登録の条件となっていることから、来訪者コントロールは世界遺産のステータスにも関わる。

長崎知事は、入山規制に加え、古来の富士講登山のような麓からの登山の復活によって登山者の分散化を図る計画や、来訪者コントロールを目的とした麓から五合目吉田口までを結ぶ富士山登山鉄道構想についても説明。この夏の登山期間終了後には、今度の対策について静岡県側との話し合いの場を設けるともしている。



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