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「ワンピース」が熊本の訪日外国人増に大きく貢献、最大は宇土市で2019年度比7倍に ーナビタイムジャパン
2024.12.03
やまとごころ編集部ナビタイムジャパンが、訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」の移動データを基に、2019年度と2023年度の全都道府県における外国人旅行者の滞在増加率を調査した。
調査結果によると、熊本県が最も高い伸び率を示し、特に「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」で設置された「麦わらの一味像」が増加に大きく貢献していることが判明した。このプロジェクトは、熊本市出身で、人気漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎さんや集英社の協力の下、2016年4月に起きた熊本地震の被災地復興を後押しするために実現したものだ。
訪日客に人気の日本の漫画・アニメコンテンツが滞在客を急増させた好例として、さらに同社が具体的な来訪場所や周遊状況を分析した。なお「滞在」の定義は、30分以上同一1kmメッシュ内で測位が確認された状態を指す。
像を設置した9市町村で、滞在者の増加率は前年比2倍以上
熊本県の市町村で増加率1位だったのは宇土市で、7.33倍となった。市内の中でも、2022年11月に設置されたジンベエ像がある住吉海岸公園での滞在が最多で、ワンピース像の設置効果が顕著だった。県内の市町村別増加率ランキングの9位までの市町村には、いずれもワンピースの像(全10体)が設置されており、強い相関性が確認されている。
各像の訪問率を見ると、人気観光地、阿蘇駅前に置かれているウソップ像が最も高く、次にルフィ、チョッパー(いずれも熊本市内)、ゾロ(大津町)、フランキー(高森町)の順となった。
全10体あるワンピース像の周遊状況は?
国・地域の市場別に見ると、東アジア圏からのウソップ像の訪問率が特に高い。また、熊本駅近くにあるルフィ像への訪問率も高いことから、短い旅行期間の間で積極的に立ち寄ろうとする傾向が読み取れる。欧米豪は全体的に高い訪問率で、訪問地点数も多いことから、他市場と比べて複数の像を周遊している様子がうかがえた。
また、熊本駅から近い像ほど、より多くの人に訪問されており、最寄駅から500m、駅前設置など、駅からのアクセスがいい像の訪問率が高くなっている。周遊状況では、熊本駅近くで地理的にも近いルフィとチョッパー像の組み合わせが一番多く、電車・バスで周遊ができるゾロとウソップ像の組み合わせも多い。
ある地点を訪問した人が別地点を訪問する確率を示すリフト値では、公共交通機関だけでは移動時間が長いフランキー像〜ジンベエ像、ナミ像〜ロビン像などの組み合わせも周遊されており、その場合は車で移動している可能性が高いとみられている。
フランキー像からバスで行ける上色見熊野座神社や、ブルック像近くの御船町恐竜博物館への訪問など、コンテンツ目的で来訪した観光客が周辺観光スポットへ足を運ぶケースも見受けられた。今回の調査結果から、新たなコンテンツの設置が訪日旅行客の誘致に繋がるだけでなく、周辺地域の観光振興にも大きく貢献していることが明らかとなった。
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