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LGBTQ+旅行者の関心と不安を調査、受け入れに積極的な地域が選ばれる傾向が明らかにーブッキング・ドット・コム調査

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日本を含む世界27カ国のLGBTQ+旅行者1万1469人に、旅行先を検討する際の関心事などをブッキング・ドット・コムが調査し、その結果を発表した。2024年4~5月に行われた調査から、様々なセクシュアリティを持つ人々の旅中での不安や旅の過ごし方、実際の経験などの実態を探り、今後の旅行業界が改善すべき課題などを提示している。

旅行中に不当な扱いを受けた人、前年調査より増加

「旅行中に不当な扱いを経験したことがある」としたのは世界のLGBTQ+旅行者の59%(日本36%)で、前年より増加していることがわかった。「旅行中のさまざまな状況を安全に乗り越えるために、別の自分を装ったことがある」と答えたのは、世界で41%(日本32%)となった。

また「LGBTQ+旅行者としての不安や自意識が高まっている」としたのは世界51%(日本40%)だった。特定の性自認の人ほど高い数値になっており、同じ質問に対してトランスジェンダーは64%、インターセックス(身体的性において、男性・女性の中間またはどちらとも一致していない人)が57%となっている。

LGBTQ+フレンドリーかどうかが旅先の決定に大きく影響

「旅行中にありのままの自分でいられることが重要な要素である」は世界63%(日本46%)で、旅先の決定にも大きな影響を与えていることが明らかになった。「過去1年以内に、旅行先がLGBTQ+の人々に協力的ではないと感じ、旅行を取りやめたことがある」としたのは世界で43%(日本34%)だった。また同じ質問に対し、子供のいるLGBTQ+旅行者は48%、いない旅行者は40%と、家族で楽しめる旅先を慎重に選んでいることがわかる。過去12カ月間のデータでは、LGBTQ+旅行者に協力的な地域への旅を予約している人は世界で56%(日本44%)と、約半分に達している。「LGBTQ+ツーリズムが確立されている旅先を選ぶ」としたのは世界57%(日本57%)と、いずれも6割近くが確実に楽しめる旅先を選んでいることがわかった。

旅行業界の改善により、より快適な旅行が可能に

またフライト中や旅行中の過ごし方では、「見知らぬ人の隣に座ることに不安がある」が世界36%(日本30%)で、LGBTQ+の自分に対する他人の反応や行動に懸念がある人が約3人に1人いることがわかった。そのため「不当な扱いを恐れて他人との接触を最小限にするため、特定の席を選択する」という回答が世界46%(日本35%)だった。特に、トランスジェンダーや、インターセックス、ノンバイナリーではその傾向が顕著になっている。「自分自身を守り注目を避けるため、外見や行動の一部を変えている」も世界40%(日本29%)で、過ごし方に気を遣っている人が多い。

「より良い旅をするために旅行会社に要望する改善点は」と聞くと、「歓迎されていると感じられる宿泊施設を見つけ、絞り込む機能」が世界で28%(日本11%)で、同じ質問に対しトランスジェンダーは世界48%、ジェンダーフルイド(性自認が複数の性の間で揺れ動くセクシュアリティを持つ人)は世界40%と、多くなっている。しかし「インクルーシビティが高まったことで、旅行がより快適になった」と回答したのは世界で73%(日本53%)となり、旅行業界の改善への認識も増えてきているようだ。

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