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台湾・アメリカの訪日客「旅ナカ」体験情報から、次の日本旅行で行ってみたい場所が明らかに

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地理的に近いアジア諸国・地域や、ビジネスなどで接点があるアメリカからの訪日客は、繰り返し日本を訪れるケースが多い。そうした旅行者の次の訪日を見据え、株式会社JTB総合研究所が「インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)」を行った。調査対象は過去1年以内に観光目的で訪日した18歳以上の男女で、台湾319名、アメリカ371名を含み、期間は2024年7月8〜19日で、ウェブ上のアンケート調査による。

1年以内の訪日再訪意欲、台湾7割超、米国も半数超に

同調査では、訪日客の「旅ナカ」体験を、次の旅行に繋げるためのキーファクターとして取り上げている。対象者に「観光目的でまた訪日したいか」と尋ねたところ、「1年以内に訪れたい」と回答した割合は、台湾で77.4%、アメリカで53.6%であり、どちらも半数以上となった。再訪希望が多い理由としては、台湾は親日家の多さと地理的な近さ、アメリカはビジネス上のつながりから、家族や友人を訪問する機会の多さが挙げられる。次回の訪日旅行で行きたい都道府県は、東京、大阪、京都、北海道を挙げる人が多かった。他に、台湾では沖縄、アメリカでは福岡も上位にランクインしている。

神社仏閣、地元に人気の飲食店が人気の場所に

「訪日中に触れた情報で、次回の日本旅行で行ってみたいと思ったのはどこか」という質問には、台湾旅行者からは「温泉」「観光施設」「スイーツ・お菓子屋さん」がトップ3として挙げられた。アメリカでは「テーマパーク」「高級レストラン・割烹」「地元の人に人気のカジュアルな飲食店」が上位に選ばれた。また両市場共通して「神社仏閣」「地元の人に人気のカジュアルな飲食店」が人気であることが分かった。

次の行き先の決め手になるものは?

「次回の旅行で行ってみたいと思った理由は」という質問には、37.2%が「直近の旅行の予定が詰まっていて時間がなかった」と回答し、次いで「直近の旅行で訪れて気に入ったから」が35.4%で挙げられた。同じ場所を訪問することを想定し、「旅ナカ」で情報収集をする旅行者がいることも考えられる。「直近の旅行先から離れた場所だった」と回答した人も3割程度おり、例え距離がある場所でも、旅行者の興味を惹ければ、次回の訪問地候補になり得ることがわかった。

「日本での滞在中に、どのようなところから情報を得ているか」という質問には、「SNS」「ネット検索」「動画投稿サイト」「家族や友人の体験談」などが上位として挙がった。台湾では「動画投稿サイト」「ネットサーフィン」、アメリカでは「SNS」で情報収集することが多いようだ。

体験や食、景観などの画像を提示し、「行ってみたいと感じる画像はどのようなものか」と聞くと、年代別に異なる回答が寄せられた。20代はビーチや野球場などのアウトドア、アルコールの画像に惹かれる傾向が見られた。30〜40代はキャラクターや体験(いちご狩りや奈良の鹿との触れ合い、鉄道など)、50代から上は食や景観(芝桜など)に魅力を感じていることが分かった。

帰国後に9割近くが日本関連の商品を購入

「帰国後に日本の土産物を購入したか」という質問の回答からは、全体で88.8%の旅行者が帰国後に自国で購入していることが分かった。台湾の旅行者は日本で訪れた店や街のECサイトを通じて購入し、アメリカの旅行者は普段から使っている自国の店舗やECサイトから購入する割合が高い。また、台湾では「スナック菓子」「食品」が、アメリカでは「伝統工芸品」「キャラクター商品」「革製品、ファッション雑貨」など食品以外が上位を占めている。

2023年に実施された「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」では、訪日客の約8割が「旅マエ」に旅程をほぼ決定していることが明らかになった。今回の調査からは、「旅ナカ」の体験や情報収集が、次回の訪日に少なからず影響を与えていることが分かる。同調査では、「旅ナカ」も「旅マエ」時期と位置付け、国や地域、年代などターゲット別に情報提供を行うことが、日本旅行の機会を増やすきっかけになると考察されている。

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