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中国10都市で安全安心に関する意識と要望を調査。訪日客の災害時の不安や対応方法が明らかに

2024.11.01

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11月5日が「世界津波の日」であることを受け、インタセクト・コミュニケーションズ株式会社が「海外からの訪日客の安全に関する意識や要望」を調査し、その結果を発表した。調査対象は北京市や上海市、広州市などに中国国内の10都市に住む20歳以上の中国人で、調査は10月6〜8日の間にインターネットで行われた。日本での災害に対する訪日外国人の意識調査や、対応力を把握できるものとなっている。

日本の災害に対する不安に関して「訪日経験ありの人」は「訪日経験なし」の人に比べて、不安が少ないことがわかった。実際に日本を旅行してみて治安やインフラなどが安全であるという経験が、この違いになっているようだ。

「地震が不安か」という質問に対し、全体では36.4%の人が「やや不安」とし、最多になった。2番目は「非常に不安」で25.8%、次いで「安心」「非常に安心」が16.3%だった。訪日経験ありとなしで比べると、「訪日経験あり」の「やや不安」が43.4%と一番多いが「安心」「非常に安心」とした人が2番目で24.5%となった。「なし」では、「発生する恐れのある所は訪問しない」が最多で32.7%と、予期しにくい地震に対する、訪日経験がない人ならではの回答だった。「訪日経験なし」の他の回答は「やや不安」が30.2%、「非常に不安」が28.3%となった。

▶災害への不安

津波に関しては全体の32.6%が「やや不安」と答えている。2番目に多かったのは「発生する恐れのある所は訪問しない」で24.8%だった。東日本大震災の記憶からか、半数以上の54.7%が「やや不安」「非常に不安」としている。

▶津波への不安

また災害時の鉄道や飛行機などの交通機関の遅延については、「訪日経験あり」は「安心」「非常に安心」合わせて54.2%と半数以上が安心感を抱き、「やや不安」「非常に不安」は4割程度にとどまった。災害時の情報収集方法については、全体的に日本政府観光局等の公式情報や中国国内のSNSなどが主要で、テレビやラジオよりインターネット上の情報を重視している。「訪日経験あり」で最多は「日本政府観光局などのウェブサイト」で67.5%、「なし」は53.7%とその差13.8%となった。SNSは、「RED」や「WEIBO」の利用率が多く「あり」の人は利用率50%台、「なし」は40%台だった。

▶災害時の交通機関の遅延について

災害時の情報収集方法を見ると、訪日経験の有無に関わらず、日本政府観光局(JNTO)などの公式WEBサイトの情報や中国国内のSNS(中国版インスタグラムのRED、中国版XのWEIBOなど)が主流となっている。

一方で、情報収集にJNTOなどの公式サイトを活用すると答えた割合について、訪日経験ありは最も多く67.5%となったが、訪日経験なしの人は、53.7%となり、訪日経験の有無で大きな差があった。

訪日経験の有無にかかわらず、テレビやラジオよりも、SNSを含むインターネットでの情報収集をより重視する傾向にあることが見て取れる。

▶災害時の情報収集について

希望の情報受け取り手段で全体的な支持を集めたのは、「Wechatミニプログラム」と「ウェブサイト」で、半数以上が、これらを介して訪日観光客向けの災害情報を受け取りたいとした。「RED」「WEIBO」も多くに支持されている。「テレビ」としたのは全体の37.8%だが、「なし」だけ見ると40.0%と少し上昇した。

▶希望する情報受け取り手段

緊急事態の際に希望する情報内容は、「近くの避難所への行き方」が全体の87.9%となった。「近くの避難所の内容」は67.4%、「医療機関の情報」は64.1%となった。また観光庁監修の訪日客向け災害時情報提供アプリ「Safety Tips」を知っている人は、全体で73.8%と高い。日本政府観光局運営のWEIBO「安心访日Japan Safe Travel」も、72.1%が知っていることがわかった。日本政府観光局のウェブサイト「Japan Safe Travel Information」は62.6%、「Japan Visitor Hotline JNTOコールセンター」を知っている人は62.6%、「救急/消防119番」「警察110番」は94.4%と、どれも高い数値となった。

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