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福岡市、デジタルノマド誘致で1.1億円の経済効果。2024年イベントに430人参加

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福岡市が2024年10月に開催した「Colive Fukuoka 2024」では、世界45カ国から436人のデジタルノマドを誘致し、推定1.1億円の経済効果があったことが明らかになった。企画運営を担った株式会社遊行が発表した成果レポートによると、平均滞在日数は19日と長期にわたり、従来の観光型インバウンドとは異なる市場の広がりが見てとれる。

 

436人が参加したデジタルノマド誘致イベント、欧米からの訪問が6割超

福岡市が主催したデジタルノマド誘致イベント「Colive Fukuoka 2024」は、2024年10月1日から1カ月間にわたり開催された。全参加者の436人のうち、226人が海外からの来訪者で、うち欧米圏出身者が62.7%を占めた。福岡を初めて訪れる人も半数を超え、アジアからの短期訪問に偏りがちだった従来のインバウンド傾向とは異なる構成となった。

colive fukuoka2024参加者属性

期間中は、コワーキングスペースでのリモートワークに加え、屋台や酒蔵での食文化をはじめとした体験プログラム、空き家内見ツアーなど、デジタルノマドの日常を豊かにするコンテンツを提供。その結果、参加者の平均滞在日数は19日、1日あたりの平均消費額は2万364円にのぼり、福岡市滞在の経済効果は推定約1.1億円を記録したと見られる。インバウンドの新たな可能性を示す結果となった。

colive fukuoka2024参加者による経済効果

 

観光だけでなく、経済や共創にも貢献する関係人口作りが進む福岡市

福岡市観光産業課の横山裕一氏は、「デジタルノマドの世界人口は今後ますます拡大していくことが予想されており、地方にとっては観光による消費者としての意味合いだけでなく、域内経済に刺激を与え、グローバル化に貢献する貴重な人材でもあると考えている。福岡市は日本国内・さらにはアジアにおけるデジタルノマド滞在の拠点都市となるべく、今後も誘致・受入に力を入れていく」と述べ、今後も誘致に力を入れていく考えを示した。

福岡市内では、海外スタートアップやノマド人材と地元企業との交流も実施。福岡発の起業支援施設やネットワークを活用したビジネスマッチングも行われており、従来の観光型とは異なる関係人口の形成が進みつつある。

 

制度整備は道半ば、ノマドビザの実用性に課題も

一方で、国が導入したデジタルノマド向けビザ制度については、今回の参加者の中で実際に利用した人はいなかったという。今回のレポート発表した株式会社遊行の代表取締役・大瀬良亮氏は、「デジタルノマド市場に「FUKUOKA」の名が確実に広がってきつつある中で、こうした行政側の受入環境整備にも同時に取り組んでいかねばならないと感じている」と指摘する。

現地での受け入れ体制や滞在支援に加え、ビザ制度などの改善が今後の焦点となることが予想される。

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