外国人観光客受け入れノウハウ

キャッシュレス決済の導入で、観光客の消費額や購入単価向上を目指す —地域・DMO編

2020.04.15

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ケース5:高知県黒潮町で、観光客による地域での消費額や消費単価向上を目指し、キャッシュレス決済への理解度アップセミナーを開催

第5回目、最終回となる今回は高知県黒潮町で地域DMOとして観光振興に取り組むNPO砂浜美術館が主催した、キャッシュレスセミナーの内容を抜粋してお届けします。

 


目次
1)観光施設や土産物店などで外国人観光客を受け入れるにあたっての地域全体の課題
2)キャッシュレス決済導入検討にあたり知っておきたいポイント
3)セミナーを終えての感想と今後への意気込み


 

1)観光施設や土産物店などで、外国人観光客を受け入れるにあたっての地域全体の課題

地域の消費や購買単価アップを目指し、キャッシュレス決済の理解を深めるセミナー実施

今回研修を行ったのは、高知県幡多(はた)郡黒潮町。高知市内から車で西へ進むこと約1時間半。日本最後の清流として知られる四万十川へ向かう道中にあります。

毎年ゴールデンウィーク中に黒潮町の砂浜で開催されるTシャツアート展の時期には、多くの観光客で賑わいます。

また、豊富なスポーツ施設を持つこの地域では、合宿やスポーツ大会を誘致するなどスポーツツーリズムにも力を入れています。

特に、四万十川を訪れる観光客や四国八十八カ所巡りを楽しむお遍路さんの立ち寄りスポットともなっている黒潮町。豊かな自然を生かしたホエールウォッチングを楽しむ外国人観光客もいます。

このように観光やスポーツツーリズムによる訪問が増えつつありますが、黒潮町を訪れる外国人観光客はまだわずか。さらに、宿泊施設以外でキャッシュレス決済を導入している観光事業者はまだ多くありません。最近はPayPay導入施設が増えつつありますが、、それ以外の決済手段は普及していません。

そのため今回は、黒潮町の観光事業者を対象にキャッシュレス決済の理解と普及啓蒙を目的としたセミナーを行いました。

今回は、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会の講師によるキャッシュレスセミナーの内容をもとに、キャッシュレス決済の導入が必要な理由や、導入にあたって知っておきたいポイントをお届けします。

 

2)キャッシュレス決済導入検討にあたり知っておきたいポイント

<基本の心構え>

観光客は、環境が整っていれば地域でお金を使ってくれる可能性が高い

どれだけ多くの観光客が地域を訪れ、美しい景色に感動し、写真を撮ってSNSでシェアしても、一体どれだけの経済的なメリットがあるのでしょうか。大切なのは、観光客に対して価値を提供し、その対価としてお金を受け取るという意識を関係者全員で持つことです。

旅行中に、ついつい財布のひもが緩み、お金をいっぱい使ってしまった、ということはありませんか。なかには、旅先で思う存分やりたいことにお金を使うために日常生活を節約するという人もいます。

遠くから何万円も、何時間もかけて旅行に来てくれた外国人観光客に満足してもらうためにも、そこでしか体験できない価値を提供し、対価としてその分のお金を受け取るという意識を持つことは大切です。

 

<キャッシュレス決済検討にあたって押さえておきたいポイント>

地域の事業者が、日本人+外国人観光客も見据え、キャッシュレスを導入するメリット

観光客の受け入れ環境整備が大切とはいえ、現金で十分と考える人も多いかもしれません。ただし、現金のみ扱うより、キャッシュレス導入をしているお店の方がお客様の購入単価が高いという調査結果がでています。日本クレジットカード協会が浅草の仲見世商店街を対象に行った調査によると、クレジットカード支払いにおける一人あたりの平均購入金額は4557円で、現金の場合の平均購入金額2825円の1.6倍になりました。さらにキャッシュレス決済導入店舗へその理由を聞くと、クレジットを導入していなかったがために売り逃しを経験したことを挙げた店が3割にのぼりました。このことからも、クレジットカード導入が売上上昇に寄与していることが分かります。

 

訪日リピーターは地方を訪問、キャッシュレス導入がますます重要に

また、観光庁の調査結果によると、インバウンド客の中で訪日2回以上のリピーターが占める割合は6割超。それに伴い、東京大阪などの都市部だけでなく、日本の地方を訪れるケースも増加しています。

さらに、外国人観光客は日本人以上に時間とお金をかけて訪日します。遠方であればあるほど、「もう二度と来ないかもしれないから買っておこう、体験しておこう」という気になりやすく、購入や消費増につながりやすくなります。

特に、外国人観光客の場合は、自国の通貨を円に両替しておく必要があるゆえに “購入したかったけど手持ちの現金がない、このあとのスケジュールでいくら使うか分からないため控える”といった売り逃しを防ぐためにもキャッシュレス決済の導入は効果的です。

 

キャッシュレス導入のデメリットは発想の転換でメリットに

キャッシュレスのメリットは分かるけど、初期費用もかかるし、手数料もかかる。さらにレジでのオペレーションが増えて煩雑……そういった声も聞かれます。

ただし、どのような施策も一長一短です。であれば、デメリットをメリットに切り替える発想を持ってみるのも大切です。

例えば
・初期費用がかる → キャンペーン中に加入して、初期費用無料を活用
・キャッシュフローが悪くなる → 最短翌日入金というサービスも活用
・手数料が発生 → 消費税アップに伴うポイント還元制度に伴う事業者のキャッシュレス手数料一部負担の制度がある今のうちに導入し、本格導入にあたってのメリットを検証する機会に
・スタッフ教育がかかり手間 → 長い目で見れば、コストダウン。受け取りやおつりを渡す際のミスも減る

などが挙げられます。

発想の転換をし、メリットに着目すれば、導入のメリットも見えてきます。

 

乱立するキャッシュレス決済サービスを正しく理解し、自社にあったサービスを導入

いざキャッシュレスサービスを導入するにも、キャッシュレス決済の種類もサービスも乱立していて、どれを選べばいいのかわからない。そんな方のために、キャッシュレス決済の分類や、導入する際の選び方のコツをいくつか紹介します。

◎キャッシュレス決済方法の分類

キャッシュレス決済のツールは、大きく分けて以下の3種類があります。

・IC電子マネー
 交通系IC(Suica, ICOCA…) 流通系IC(Waon, nanaco…) 電話系(iD…)
 →日本人の利用が多い

・クレジットカード
 クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード
 →世界共通のキャッシュレス決済

・QRコード決済
 ○○Pay系(Paypay, Line Payなど)
 →日本人+中国人旅行者(Alipay、WeChat Pay)

どのキャッシュレス決済の利便性が高いかは、店舗形態や規模によって変わるので、それぞれの特徴を見据えたうえで、どの決済手段を導入すべきか検討しましょう。

以下の表も、一つの考え方として参考にしてみてください。

 

今後導入する場合は「マルチ決済型」がおすすめ

一方キャッシュレス決済を受け入れる店舗側で導入が必要な決済端末も、大きく3種類あります。

・ICカードリーダー
・専用端末
・スマホ・タブレット利用型

事業形態によっておすすめのツールも変わります。

例)
・パン屋や喫茶店など
 →衛生的で早いICカードリーダー型

・高額品を扱うお店
 →クレジットカード決済もできる専用端末でレシートも発行出るタイプを利用

・露店・出張販売が多い店
 →いつでもどこでも決済できるスマホ・タブレット利用型が便利

そのうえで、これからキャッシュレス決済を導入する場合は、一つの端末で複数の決済手段が利用できる「マルチ決済型」がおすすめです。

導入する店舗としては、1社(1サービス)を導入すれば、クレジットカードやQRコード決済、IC電子マネーなど、複数の決済方法に対応可能です。

 

日本人の当たり前が外国人にとっては魅力になる

キャッシュレス決済を導入することの意義とメリットについてここまで紹介してきましたが、一番大切なのは、「買ってもらうべき商品」があることです。

買ってもらうべきものがなければ、どれだけキャッシュレス決済を導入しても、売上増にはつながりません。商品を多言語で説明するPOPの作成や、ホームページの多言語化、館内を説明するインフォメーションブック作成など、これまでこのコーナーで紹介してきたアドバイスとの組み合わせが欠かせません。

また、「うちの地域には何もない」そういう声もよく聞かれますが、キーワードは「日本人のあたり前」。私たち日本人が無意識にやっていることが魅力的に映るケースも多いのです。

いきなり大掛かりな投資は必要ありません。まずは、何が魅力に映るのか、外国人専門家や留学生、地域外の人の視点なども活用しながら、地域を見直していくことが大切です。

 


3)セミナーを終えての感想、今後の意気込み

今回のキャッシュレスセミナーを主催したのは地域DMOとして、黒潮町の観光振興やスポーツツーリズムなど多岐にわたって事業を展開するNPO砂浜美術館。同美術館理事長の村上さんによると、セミナーに参加した観光事業者の方も、改めてキャッシュレス決済導入の重要性を認識したようで、導入へのハードルはあるものの、今回のセミナーを機に、徐々にでも進めばとのことです。

NPO砂浜美術館はTシャツアート展やホエールウォッチングなど、地域資源を活用した観光振興で地域に経済効果を生み出していきたいとのこと。観光事業で地域の稼ぐ力をつけるためにも、訪問者や宿泊者の「数」だけでなく、観光客による消費単価アップにも取り組んでいきたいと村上さんは話してくれました。

さらに、黒潮町は今防災にも力を入れています。太平洋に面した黒潮町にとって、過去の経験からも、100年に一度の大規模自然災害に伴う津波とは隣り合わせですが、2012年、南海トラフ巨大地震時に発生する津波最大34.4mと内閣府と高知県から発表されて以来、防災計画や対策事業の見直しに取り組んでいます。そういった対策や、防災への考え方や防災教育などが評価され、最近では防災関連の視察の受け入れも増えています。過去には、外国の方に関しては、中国と韓国の学生受け入れをしました。観光、スポーツツーリズムに加え、防災関連での誘客や受け入れも強化したいとのこと。

また黒潮町では、新産業創出の一環として、行政支援のもと株式会社黒潮缶詰製作所を2014年に設立。災害時の常備食である缶詰めを日常的にも楽しめるよう、地元の食材を活用して味にもこだわり、パッケージにも力を入れた缶詰めを販売しています。

今後も、地域の素材や魅力を活かした新産業創出や高付加価値商品の開発などを通じて、稼ぐモデルの構築にも引き続き取り組んでいきたいとのことでした。

研修開催場所:
NPO砂浜美術館(http://www.sunabi.com/

講師:
(一社)ジャパンショッピングツーリズム協会

 

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