外国人観光客受け入れノウハウ

簡単な英単語やフレーズを使って外国人観光客をスマートに接客するコツ —飲食店編

2020.03.13

Sponsored

ケース1:高知市内にお店を構える寿司店菊寿しでの、簡単な英単語やフレーズを使って、外国人観光客へスマートに接客するコツをアドバイス

全5回のシリーズの第1回目は、「飲食店で簡単な単語やフレーズ使って外国人観光客をスマートに接客するコツ」をテーマにお届けします。

観光庁が訪日外国人に行ったアンケートによると、彼らが日本で一番楽しみにしていることは、「日本食を食べること」です。寿司・天ぷらといった典型的な日本食から、ラーメンやお好み焼き、焼き鳥など様々な料理が注目を集めています。

外国人観光客の増加に伴い、外国人のお客様が来店するケースも増えているなかで、英語が堪能でなくても、簡単な単語でスマートに接客するコツを、研修を実施した寿司屋「菊寿し」の事例とともに紹介します。

 


目次
1)地域の飲食店が外国人観光客を受け入れるにあたっての課題
2)英語が堪能でなくても、簡単なフレーズでスマートに接客するコツとポイント
3)感想と今後への意気込み


 

1)地域の飲食店が外国人観光客を受け入れるにあたっての課題

クルーズ船の寄港がきっかけで、外国人旅行客の来店が増加

今回研修を行ったのは、高知市内で寿司屋を3店舗営む菊寿し。高知市のメイン通りから少し入ったところにある菊寿し本店は、日ごろから多くのお客様でにぎわっています。2階建ての店内の1階は、板前さんと会話しながらお寿司を楽しめるカウンター席、2階は家族や友人でゆったりと楽しめるテーブル席がメインです。

高知の中心地にお店を構える菊寿しさんでも、ここ最近は、特にクルーズ船が高知港に寄港する際など、外国人観光客を見かけるケースが増えているとのこと。お客様は少人数での来店で、中国、台湾、韓国、アメリカ、イギリス、ロシアなど多様なお客様が訪れます。

スマートな接客で外国人観光客に対応

菊寿しで働くスタッフの中でも、ホールで接客をする若いスタッフの方は、英語を学びたいと、語学プログラムや英会話レッスンに参加したり、映画などを見て勉強するなど、自主的に取り組んでいました。そんな努力の甲斐もあり、簡単な英語は話せるようになり、簡単な単語とジェスチャーで外国人のお客様ともコミュニケーションをとっています。

こういった前向きなスタッフがいるものの、まだぎこちなさもあるので、もう少しスムーズに外国人のお客様とコミュニケーションが取れるようになりたいとのこと。また、お店で扱うメニューの価格帯が少し高めなので、お客様に失礼のないように対応したいという思いもあります。そこでまずは、簡単な単語やフレーズ使ってスマートに接客できるようになること、また若手のフロアスタッフ以外の方も、英語での会話への苦手意識をなくしてもらえるよう、接客英語研修を行いました。

 

2)英語が堪能でなくても、簡単なフレーズでスマートに接客するコツとポイント

スマートな接客でお客さんに満足してもらうために、飲食店のスタッフの方が押さえておきたい心構えと、実践的なフレーズを紹介します。

第一印象は笑顔で! 最初は日本語の挨拶ではきはきと

<基本の心構え>

ポイント1:
最初の挨拶は、日本人外国人拘わらず「こんにちは」「いらっしゃいませ」と日本語でOK。大切なのは「笑顔」でいつもどおり対応することです。あえて日本語の挨拶でスタートすることを勧めているのは、

・来店したお客様を「外国人」と区別することなく、日本人と同じように受け入れていることを示せる

・「いらっしゃいませ」と第一声に日本語を発することで、スタッフの方が英語を話さなければというプレッシャーから解放され、普段通りの笑顔でお客様をお迎えすることができる

といった理由があります。

 

お客様とのやりとりは「返事」が大切、4パターンを覚えてスマートに対応

ポイント2:
お客様とのコミュニケーションの時に気をつけるのは、きちんと返事をすること。困った時に日本人がやりがちな「愛想笑い」は避けましょう。

1.お客様の言っていることが分かったとき

OK
オーケー

Thank you
テンキュー

など、簡単な単語で大丈夫なのでしっかりと返事をしましょう

 

2.お客様が言っていることが分からないとき

one more time please
ワン・モア―・タイッ・プリーズ

もう1回お願いします

slowly please
スロウリー・プリーズ

ゆっくりお願いします

といったフレーズで聞き返しましょう。

 

3.お客様が言っていることが分かったが、今答えがない、確認が必要というとき

just a moment, please
ジャスタ・モーメンッ・プリーズ

少しお待ちください

Let me check
レッ・ミー・チェッ

確認してきます

と一言添えたうえで確認しにいきましょう。

 

4.お客様が言っていることに対応できない場合

Sorry, no
ソ㋒リー・ノー

すみませんが、できません

出来ないことを伝えるのも時には必要なことですが、このような短いフレーズでも伝えられます。ここで気を付けたいのは、「Sorry, no」の伝え方やその際の表情、声のトーンです。申し訳なさを表情で示したり、残念さが伝わるよう声のトーンを低くすることで、申し訳ないという気持ちもしっかりと伝わります。

また、「no」と言った後に「but…(バッ…)」と続けて代わりにできることを伝えられればベストです。

 

「伝えたい」という気持ちを持って。身振り手振りも活用

ポイント3:
完璧な英語を話そうとしなくてもOK。大切なのは「伝えたい」という気持ち。簡単な単語と身振り手振りだけでも伝えられることはたくさんあります。

ここでは、簡単なフレーズだけで伝えられる実践的なフレーズを紹介します。

 

<飲食店の接客で使える簡単なフレーズ>

ケース1:お客様をご案内する際に使えるフレーズ

1.お客様が来店されたとき

「こんにちは」
「いらっしゃいませ」

と笑顔で対応。ここは、外国人が来店されたとしても、日本語での接客で十分です。

 

2.お客様を席までご案内するとき

This way please.
ディス・ウェイ・プリーズ

(※手で向かう方向を指しながら) 
こちらへどうぞ

 

3.お客様が来店したが、満席で待ってもらう必要があるときの一番簡単な言い回し

Sorry, No tables. (About) 20 minutes OK?
ソ㋒リー・ノー・テイボー (アバウッ)トゥウェンティー・ミニッ・オーケー?

すいません、テーブルがありません。約20分大丈夫ですか?

「No tables(テーブルがありません)」だけだと、お客さんが諦めて帰ってしまうかしれません。
「About 〇 minutes OK?(約〇分大丈夫ですか?)」で、目安の待ち時間も伝えましょう

 

ケース2:注文を受けるときに使える簡単なフレーズ

1.注文が決まったかどうか確認したいときのフレーズ

Ready to order?
㋒レディー・トゥー・オーダー?

注文の準備はできましたか?

難しければ、語尾のイントネーションを挙げながら「Ready? ㋒レディー?」の一言でも通じます!

 

2.お店のおすすめを聞かれたとき。また、お勧めしたいとき。

おすすめを表す単語は「Recommend ㋒レコメン」です。
おすすめを聞かれたときは、メニューを指しながら笑顔で

This is my No.1
ディスィズ・マイ・ナンバーワン!

これが、私の1番のおすすめです

と伝えてみましょう!

 

3.オーダーを一通り受け終わった時に確認する際の一番簡単な言い回し

Is that All?
伊豆(イズ)ダロー?

これで全部ですか?

お客様からの注文が一通り終わったので、最終の確認をしたい、そんなときに使ってみましょう。
また、お客様が「Yes」「That’s All」などの返事があった場合は

OK!
Thank you

と笑顔で伝えるのも忘れずに!

 

ケース3:お客様とのやり取りの最後に気の利いた言葉をかけて挨拶

Enjoy!
インジョイ!

楽しんで!

Have a nice day
ハヴァ・ナイス・デイ!

良い一日を!

Enjoy!:食事の提供がすべて終わった時に「食事を楽しんで!」という思いを込めて使ってみましょう!
Have a nice day!:お会計が終わってお客様が帰られる際に、「今日一日を楽しんでください」という思いを込めて最後添えてみると、お互い気持ちよくお別れができますね。

 


3)研修を終えて今後への意気込み

カウンターで、板前さんと外国人のお客様が鮨を語れる環境を

菊寿し専務取締役の倉橋氏によると、3回の研修を通じて、スタッフの方の英語力がみるみるアップするのを感じたとのこと。1回目はスクール形式での授業、2回目は講師とのロールプレイング、3回目は英語ネイティブ講師の方とのロールプレイングといった段階を経た研修を通じ、洋画鑑賞など主体的に英語学習に取り組み、3回目にはネイティブ講師の方相手に堂々と話しているスタッフの姿が見れたのは、とても印象的だったとのこと。

今後も何かしらの形で、スタッフの英語力を向上させていきたいという言葉とともに、自社での研修となると大変なので、県や市主催で研修をやっていただけるととても助かるとのコメントもありました。

また菊寿しの課題の一つに、1階のカウンター席を好むお客様が少ないことが挙げられるとのこと。

これは日本人外国人限らずですが、家族や友人との来店が多く、テーブル席で会話を楽しみながら食事したい人が多いのだと思います。

ただ、カウンターは魚や鮨に関して豊富な知識を持つ板前さんと直接話せる貴重な場なので、今後は板前さんにも英語力をつけてもらい、菊寿しのカウンターが、外国人のお客様と鮨について語れる場にしたいとのことです。

 

研修開催場所:
菊寿し (https://kiku-zushi.com/)

講師:
株式会社ライフブリッジ堀岡三佐子氏

 

Sponsored by  高知県観光振興部おもてなし課

外国人観光客受け入れノウハウ関連記事