外国人観光客受け入れノウハウ
小規模のお店でも実践できる、外国人観光客のお店立ち寄りや消費に繋がる効果的な多言語表記 —土産物店編
2020.04.08
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ケース3:高知県四万十町で土産物などの物販を手掛ける道の駅「四万十とおわ」で、外国人に売るためのPOP作成のコツをアドバイス
第3回目となる今回は、「観光客等に向けて地域の特産品を販売する土産物店が、外国人観光客に売れる看板やPOP作成のコツ」をテーマに、個別研修を実施した道の駅四万十とおわでの事例を交えながら紹介します。
目次
1)地域の産品などを販売する土産物店が抱える課題
2)外国人観光客に売るための商品の選び方とPOP作成のコツとポイント
3)研修を終えて今後への意気込み
1)地域の産品などを販売する土産物店が抱える課題
外国人観光客による消費額アップを目指し、道の駅がPOP作成に取り組む
今回の研修の舞台は、高知県高岡郡四万十町にある道の駅四万十とおわ。高知県南西部に位置する四万十町は、東は土佐湾(太平洋)、西は四国山地に面していて、海・山・川などの自然に恵まれた地域です。
四万十川の中流域にある道の駅四万十とおわでは、地元の農家が栽培する旬の朝採り野菜や果物などのほか、地元産品や土産物など、地元の素材にこだわった商品を販売しています。
また、雄大な四万十川を眺めながら食事が楽しめる食事処「とおわ食堂」もあり、観光客のみならず、地域住民も多く訪れるスポットです。
ところが、ここの道の駅は公共交通機関での訪問が難しいため、現時点では、外国人観光客の訪問はごくわずか。加えて、立ち寄ったとしても消費には繋がっていないのが現状です。一方で、地域を訪れる外国人観光客も少しずつ増えています。そこで、外国人観光客が立ち寄り、土産物を買ってもらったり、飲食してもらう環境を整えるべく、外国人専門家ポール・ウォルシュ氏による現地視察とアドバイスを行いました。
2)外国人観光客に売るための商品の選び方とPOP作成のコツとポイント
外国人観光客の視点や習慣は日本人とは違うことを念頭に
<基本の心構え>
・外国人観光客は、日本語が読めないことを頭に入れておく
・日本人にとってはごく一般的な考え方当たり前の習慣が、外国人にとっては特殊なケースもある
私たち日本人にとっては「普通」「当たり前」でも、外国人観光客にとっては当たり前とは限らないことは、常に念頭において対応をしましょう。
よく見える場所に英語やピクトグラムを設置して、外国人観光客の立ち寄りを促す
<英語(多言語)表記のポイント>
ポイント1:
外からよく見える場所に、自店が「何屋」なのか、日本語が読めない人でもわかるようになっているかを確認しましょう。
外国人観光客にお店に立ち寄ってもらうためには、英語での看板やピクトグラムなどが設置されているか確認し、なければ作りましょう。
1.飲食するスペースがある場合
Restaurant
Food & Drink
などと書くと「何か飲食できる場所」という認識を持ってもらえるため、立ち寄りの可能性が高まります。
特にお店や施設に打ち出せる特徴がある場合は、そのことも英語で表記するとよいです。
今回の研修場所となった道の駅からの眺望は絶景。そのため
Viewing Deck
Terrace Café
という表現をすれば、より魅力的に感じられます。
2.土産物を扱っている場合
Souvenir Shop
などと書くとよいでしょう。
ワンポインドアドバイス:
日本では全国どこにでもある「道の駅」。日本人にとっては「無料でトイレ休憩ができる」「お土産が買える」「ちょっとした飲食のできる休憩処」というイメージがありますが、外国人観光客にとってその常識は通じません。道の駅を示すピクトグラムだけでは何があるのか伝わらず、気軽に立ち寄れるスポットかどうかの判断がつきません。
飲食できる場所、休憩できる場所であることを伝えるためにも、英語の看板の設置は大切です。
日本語が読めない人にも分かるよう、パッケージやPOPに英語表記を
ポイント2:
実際に立ち寄ってもらった方に、土産物や特産品を買ってもらうために、英語POPを作成
仮に商品のパッケージがどれだけおしゃれで素敵でも、日本語表記しかない場合、日本語が読めない外国人観光客には、中に何が入っているのか分かりません。中身がわかる写真を添えたり、英語で商品を説明するPOPをつけて説明しましょう。
ここで一例として「お茶」のケースを紹介します。
小さくて軽くかさばらず、日本らしさ溢れる「お茶」は外国人観光客にお土産としてお勧めしやすい商品の一つですが「お茶」と書いているだけでは、日本語を読めない外国人には伝わりません。パッケージに英語表記がない場合、POPで「Tea」あるいは「Local tea」など書くことで、買ってもらえる可能性が高まります。
ここでしか買えない“地域の名産”は強みになる!
ここでは、外国人観光客に買ってもらいやすくするための表現する際のコツやポイントをいくつか例を挙げながら紹介していきます。
地域の産品を紹介したい場合
地域の特産品、この地域でしか買えないものは「local」で表現しましょう。
1.本当にその地域の特産品、地元で採れたものを紹介する場合
Very local
Grown (made) 1km from here!
などの表現を用いて説明
「この地域のオリジナル商品」「ここでしか買えない」という印象を与えられるので、手に取ってもらえる可能性が高まります
2.近隣の地域の名産品を扱う場合
例えば、広域で考えれば地域の産品だけど、地元の産品ではない物を紹介する場合
Local
From Kochi (地名)
などと表現するのがおすすめです。
※「隣町の商品だし“Local”と言えない」そう感じたとしても、多言語での説明は、外国人の視点で考えることが大切です。遠路はるばる日本を訪れる外国人にとっては、隣の地域であっても、十分ローカルと感じます。
県の名産品や、近隣の特産品でも、人気の商品やおススメしたい商品があれば、localと表現しておススメしてみましょう!
持ち帰りを想定した調味料や土産物は使い方もセットで提案
調味料の種類も豊富な日本。地域産品を使ったお土産として買ってもらおうと考える方もいると思います。
ただしお土産として買ってもらいたい場合は、相手の文化に合わせた提案をすることが大切です。想定するターゲットの国や地域の習慣を知り、相手に合わせた使い方や組み合わせを併記して、お勧めしてみましょう。
3.日本でおススメの調味料を土産物として買ってもらいたい場合
ここで一例として紹介するのは、「卵かけごはん用の醤油」。
海外では卵を生で食べるという習慣がないため、卵かけごはん用の醤油の場合、自国に持ち帰っても使える方法を提案することが大切です。
例えば「チーズと合う」「お肉にかけるとおいしい」など。どんなものと合わせるとおいしく食べられるのか、試してみると、新しい発見にもつながります。
○○によく合う という旨を伝えたいときは
Suitable with~
Great with~
といった表現を使うと良いです。
全ての商品の英語表記は不要 おススメしたいもの、よく聞かれるものに絞って紹介
ワンポイントアドバイス:
全ての商品に多言語POPを作る必要はありません。むしろ日本人の方が圧倒的に多いお店で、英語でのPOPが目立ちすぎると、イメージが悪くなる可能性もあります。
よく外国人観光客に聞かれる商品や、彼らに買ってほしいお勧めしたいものを選び、外国人の視点を取り入れ、英語や多言語で商品説明をしていきましょう。
外国人視点を取り入れるには、今回のように「外国人専門家によるアドバイス」があればベストですが、難しい場合は「地元の留学生や、近くに住む在日外国人に聞いてみる」「海外在住歴が長い日本人に相談してみる」などの方法も考えられます。
まずは身近なところから、取り入れてみてください。
3)感想&今後への意気込み
今回の研修を受講した、道の駅四万十とおわの上原さんは、お店に並ぶ商品一つ一つに、外国人目線で具体的かつ丁寧なアドバイスをもらえて、POP作成にとても参考になったとのこと。
なかでも印象的だったのは、地域産品の四万十栗を使ったロールケーキへの外国人専門家の方の意見。日本人には「大人の甘さ」「甘さ控えめ」をウリに販売していますが、外国人目線で見ると「甘いものを食べたいからケーキを食べる」「日本人に打ち出している“大人の甘さ”や“甘さ控えめ”というキャッチフレーズは、一般的には響きにくい」「地元の栗を使っていることを打ち出す方が刺さる」とのアドバイスをもらったことだそうです。
日本人にとっての魅力が、必ずしも外国人に魅力的に映るとは限らないこと、必要に応じて見せ方や売り出し方を変えていくことの大切さを実感したとのこと。
今回外国人専門家の方からのアドバイスをもとに、レジや商品を説明するPOPの英語表記を始めました。今後も英語表記を充実させながら、外国人観光客の方の反応を見ていくとのことです。
研修開催場所:
道の駅 四万十とおわ (http://shimantotowa.com/40010/)
講師:
株式会社JizoHat ポール・ウォルシュ氏
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