外国人観光客受け入れノウハウ

多言語インフォメーションブックで、外国人観光客への接客やコミュニケーションに活用 —宿泊施設編

2020.04.13

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ケース4:高知県いの町の複合型宿泊施設 土佐和紙工芸村QRAUDで、外国人観光客とのコミュニケーションツールとして利用できる多言語インフォメーションブック作成のポイントをアドバイス

第4回目となる今回は、個別研修を実施した複合型宿泊施設 土佐和紙工芸村QRAUDの事例をもとに「地域の宿泊施設が、外国人観光客とのコミュニケーションツールとしても利用できるインフォメーションブック作成のコツ」を紹介します。

 


目次
1)地域の宿泊施設が抱える課題
2)外国人観光客にも充実した情報を伝え、より楽しんでいただくツール作成のコツとポイント
3)研修を終えて今後への意気込み


 

1)地域の宿泊施設が抱える課題

土佐和紙の町いの町で、周辺観光の拠点の役割を担う複合型宿泊施設

高知県中部に位置する吾川郡いの町は、土佐和紙の町として知られているほか、透明感が高く、独特の青色が特徴的な仁淀川が流れる場所としても有名です。

高知市内から車で40分ほどの場所にある土佐和紙工芸QRAUDは、宿泊施設だけでなく、レストランや古い蔵を改装したギャラリー、土佐和紙の紙すき体験場、産直市なども併設されており、周辺観光の拠点・地域域交流の場という2つの役割を果たしています。

また、「仁淀ブルー」の名称で親しまれている清流・仁淀川を眼下に眺められる自然豊かな場所に位置しています。

 

観光拠点として周辺地域の楽しみ方を提案し、お客様の満足度向上につなげる

併設する宿泊施設は、ブッキングドットコムやExpediaなどのOTAに掲出しており、月に20-30人ほどの外国人観光客も訪れます。全12室の小さな施設のため、宿泊は個人客が多く香港や台湾など東アジアを中心に、東南アジアや欧米圏のお客様も時折訪れます。

施設では英語の館内マップを用意しているほか、支配人や館内のスタッフは少し英語が話せるため、通常の接客や館内のご案内は何とか対応できています。

今回は、土佐和紙工芸村QRAUDが周辺観光の拠点としてレベルアップし、お客様の満足度向上と更なる消費につなげることを目的として、今足りていないことを明らかにし実施していくため、外国人専門家ポール・ウォルシュ氏による視察を実施しました。

 

2)外国人観光客にも充実した情報を伝え、より楽しんでいただくツール作成のコツとポイント

多言語のインフォメーションブック作成で、宿泊客にも体験コンテンツの魅力を訴求

土佐和紙工芸村QRAUDでは、紙漉き体験やカヌー、ラフティングなどのアクティビティも体験できる施設。外国人専門家による視察の結果、欧米圏からの観光客にとってはこれらのアクティビティは魅力的。ただし、多言語での情報発信ができていないために、宿泊客に知られていないのではないかとのことでした。

実際に、団体で訪れる外国人観光客が紙漉き体験をするケースはあっても、宿泊客が利用するケースは少ないとのことでした。

そこで今回は、施設内で提供するアクティビティの情報を宿泊客にも届けられるよう、英語版インフォメーションブックの作成を提案しました。

 

お客様とのコミュニケーションツールとしてインフォメーションブックを活用

ホテルや旅館などの宿泊施設には通常、館内の案内や施設内のサービスなどを示したインフォメーションブックが設置されていますが、地域の小規模な宿泊施設で多言語対応できていないケースもあるのではないでしょうか。

特に、多言語で流暢にコミュニケーションが取れるスタッフがいない、言語ができるスタッフが常駐しているとは限らない宿泊施設の場合、多言語のインフォメーションブックは、外国人観光客への接客やコミュニケーションに大いに役立ちます。

 

インフォメーションブック作成の際のコツとポイント

QRAUDの英語版インフォメーションブックは、今回以下の5つの構成でまとめました。

・館内施設紹介と営業時間
・施設内で体験できるアクティビティ概要と営業時間
・周辺のおすすめ観光スポット案内
・布団の敷き方説明
・施設案内図と避難経路

インフォメーションブックを作成するにあたってのコツとポイントをここで簡単に紹介します。

 

ポイント1:
宿泊施設周辺のおすすめ観光スポット案内は丁寧に

周辺の観光案内で大切なのは「写真」です。

写真を見た人が、思わず訪れてみたくなるような綺麗なものを入れることがコツです。できれば、ターゲットとする国や地域の観光客が写真に写っていると、より具体的にイメージがわくのでお勧めです。

写真は、観光地を訪問して撮影したのでも十分です。また手元にない、撮影に行くのが難しい場合は、観光協会などが持っている観光地の素材を借りて使用する方法もあります。

 

ポイント2:
布団の敷き方は、写真やイラストを入れてわかりやすく伝える

宿泊施設の中には、オペレーションなどの都合上、布団の上げ下げはお客様にお願いするというケースもありますが、そもそも、布団を敷いて寝るというのは日本ならではの文化。そういった施設に欠かせないのが、「布団の敷き方を説明するマニュアル」です。

ここでのポイントは、布団の敷き方は言葉だけでなく写真やイラストもつけること。

「布団」という名称は知らなくても、日本のアニメや漫画を通じて布団の存在を知っている人も一定数います。写真やイラストをつけることで、実際に敷く際にイメージがしやすいので、ぜひ取り入れてみてください。

 


3)研修を終えて今後への意気込み

土佐和紙工芸村QRAUD支配人の吉田さんは、今回新型コロナウイルスの拡大を受け、外国人観光客もほぼ訪れなくなってしまいましたが、お客様へのメッセージを届けたいと、専門家の方の添削を経て、投稿しました。

実際、土佐和紙工芸村QRAUDに宿泊するお客様の多くは、日本文化への理解や知識も深く、宿泊施設のルールへ理解を示してくれる人が多いそうです。

ただ一度だけ、欧米圏から来たお客様から、布団の敷き方が分からないから、敷いてほしいとのリクエストがあったそうです。敷き方を説明するも理解していただけず、支配人の吉田さんが自らお客様の部屋に出向き、布団を敷くことで事なきを得たとのこと。

ただ今後も同様のケースがあることを想定し、丁寧な説明ができるようにしたいと思っていたそうです。

今回外国人専門家の方の視点も入れて作成したインフォメーションブックを使って、宿泊するお客様へ心を込めたおもてなしをし、訪れた方に満足していただける宿泊施設を目指していくとのことです。

 

研修開催場所:
土佐和紙工芸村QRAUD(http://www.qraud-kochi.jp/

講師:
株式会社JizoHat ポール・ウォルシュ氏

 

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