インバウンドコラム

【コロナ:世界の動き】日本、72時間以内のビジネス渡航者受け入れへ。台湾もビジネス客の規制緩和検討。中国、海外への団体旅行禁止を継続

2020.10.24

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新型コロナウイルスの感染拡大は世界の地域により差が出ている。新規感染者数が再び急増している欧米に対して、今のところ比較的抑制できているアジアでは、フィリピンや感染防止対策の優等生である台湾でもビジネス関係者などの受け入れ再開の動きが出始めている。日本政府もビジネス目的の渡航者やオリンピックに向け規制緩和の方向で協議を開始した。

 

日本政府、30カ国・地域を対象に11月中実施予定

日本政府は、72時間以内の短期滞在をする海外からのビジネス渡航者に対し、条件付きで受け入れる方向で協議を進めている。中国や韓国、台湾など、経済的に関係の深い30カ国・地域を対象に11月中に実施する予定だ。ビジネス客受け入れの条件には、(1)新型コロナウイルスのPCR検査を受ける(2)入国後に公共交通機関を使わない、不特定多数が出入りする場所は避ける(3)移動は仕事先などに限定し、滞在先を含む活動計画書を提出する、などが含まれるという。現在は入国後14日間の自主隔離が義務付けられているが、条件をクリアすればこれも免除となる。

 

オリンピック、外国人観光客の入国許可の方向で検討

政府は23日、東京オリンピック・パラリンピック推進本部会合を開き、日本が入国を原則拒否している国・地域の選手らの入国を認めることを確認した。月内にも開く次の会合では、職員や報道関係者などの大会関係者の入国も認める見通しとなっている。オリンピックには約1万5000人程度の選手、大会関係者も含めると7、8万人の来日が見込まれている。いずれも日本が入国を拒否している国や地域からも特例的に入国を認めるもので、活動計画書の提出や入国時のウイルス検査が条件となる。選手らの移動は選手村や、競技会場、練習会場に限定される。

外国人観光客についても、「年明けの以降の感染状況をみた上での最終的な判断になる」とするものの、観戦目的限定で入国を許可するかどうかの検討に入った。空港での検査体制の拡充や、入国時のチケット保有確認、国内での移動制限、世界各地から訪れることで、日本各地で感染が拡大した場合の自治体の対応や医療体制なども今後の課題となってくる。

 

コロナ禍の意識調査、五輪開催「来年も難しい」85%

産業能率大スポーツマネジメント研究所はこのほど、「コロナ禍のスポーツ観戦意識調査」の結果を発表した。これによると、東京オリンピック・パラリンピックの開催について、「現実問題として、来年の開催も難しいと思う」と回答した人が84.8%に上っていることがわかった。同調査は7月23日から25日までの期間に行われたもので、全国の20歳から69歳を対象に、2998人から回答を得ている。

 

IMF、経済回復のカギは新型コロナの早期封じ込め

国際通貨基金(IMF)は21日、アジア太平洋地域の経済見通しを発表し、新型コロナウイルスの早期封じ込めが経済回復のカギを握ると分析した。また、第2波の発生を防ぐためには、徹底的な検査や感染経路の追跡が重要だと指摘した。IMFは、アジアの各国政府は新型コロナの対応が早かったとした上で、感染を押さえ込んだ中国は7〜9月期の実質経済成長率が前年同期比で4.9%に達したと発表。また、ベトナムも累計感染者数が約1100人にとどまっており、今年は経済成長率がプラスになるとの見通しを示した。一方、インド、フィリピン、インドネシアでは早期封じ込めがうまくいかなかったことで、経済の低迷が長期化したとの見解を示した。

 

中国、引き続き海外へ渡航を制限

中国文化観光省は21日、冬季の新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、引き続き海外への団体旅行を禁止することを明らかにした。中国では今年1月に国内外への団体旅行を禁止し、7月に国内旅行は解禁した。中国国内の感染状況は落ち着いてきたものの、水際対策として引き続き海外への渡航を制限する考えだ。

 

北京市、海外からの渡航者に3度のPCR検査義務付け

北京新型コロナウイルス感染症対策指導グループは14日、新型コロナウイルスの水際対策として「北京市に到着する海外からの渡航者は、PCR検査を3回受けなければならない」と発表した。それによると、1回目は搭乗前の5日以内に実施し、2回目は到着後の税関で実施、3回目は政府が指定した施設での経過観察期間終了後に実施し、陰性になれば経過観察が解除される。施設での宿泊費や食費は渡航者の自己負担で、施設到着後は外出禁止となり、検温や健康状態の報告が義務付けられる。

 

香港、域内の団体ツアー規制緩和

香港政府は20日、新型コロナウイルス対策に関連する規制を一部緩和し、23日から域内団体ツアーの参加人数を現行の4人から30人に引き上げると発表した。これを受け、地元の旅行代理店は20日より新商品を相次いで発表し、受付を開始している。ツアーの参加費用は約100〜400香港ドル(約1,350〜5,400円)で、郊外の自然や観光地を巡るものが多いという。香港では引き続き公共の場で5人以上集まることが禁止されているため、窮地に追い込まれている観光業への特例措置となる。

 

香港-シンガポール間にトラベルバブル

香港とシンガポールは、入境後2週間の隔離措置を免除する「トラベルバブル」を構築することで合意した。承認されている施設で新型コロナ検査陰性結果を取得するのみで移動できるようになる。トラベルバブルの開始日や具体的な運用内容などの詳細は、近く発表される。

香港 -シンガポール間のトラベルバブルには渡航目的に制限はなく、事前の行動計画の提出も必要ない。ただし、移動にはトラベルバブル専用の航空便が使用され、その他の乗客が乗ることは認められないとしている。

 

台湾、ビジネス目的の入境に対し、規制緩和を検討

台湾の中央流行疫情指揮センターは21日、ビジネス関係者などについては徹底した感染対策を講じることを条件に、入境後の隔離期間を短縮する規制緩和を検討していることを明らかにした。一方、不必要な旅行については、入境規制や域内での規制をより強化する可能性があるとの考えを示した。台湾では秋から冬にかけて新型コロナウイルスの感染が再拡大するとの懸念が高まっているが、経済回復のためにビジネス関係者の入境規制緩和を求める声も出ている。

 

台湾ーパラオ間に「トラベルバブル」構築を協議

現在、海外への団体旅行の催行は「無期限延期」としている台湾。しかし、台湾の陳時中衛生福利部長(保健相)は、パラオとの相互往来となる「トラベルバブルの構築」に向けて協議を進めていることを発表した。まずは団体旅行のみで、参加者はスケジュールに沿って観光し、自由時間は設けない。旅行者にはPCR検査の陰性証明書の提出と医療保険の加入を義務付け、入国・入域後の隔離措置は相互に免除する方向で検討しているという。陳保健相は、その他の国については現時点では検討していないと説明している。

なお、台湾へ入境する短期滞在ビジネス客のうち、中低リスク国からの入境者については通常14日間の隔離を7日間へ短縮、低リスク国からの入境者は5日間への短縮が認められているが、10月21日より韓国が中低リスク国に加わった。日本は、 6月22日に中低リスク国に指定されたが、日本国内で感染者数が再び増えたことから8月5日に取り消された。

 

海外から台湾を訪れる訪台者数、前年比約11.8%の見通し

交通部観光局は、今年の訪台者数が推計で約135万人にとどまるとの見通しを発表。年間の訪台者数が140万人を下回るのは1980年以来のことで、昨年の訪台者数約1186万人と比較すると、前年比約11.8%となる見込み。海外からの域外学生も今年は約3000人が断念したとみられており、教育部ではこれらの損失額は3億元(約11億円)になると試算する。

 

タイ、7カ月ぶりにインバウンド客受け入れ

タイ政府は20日、新型コロナウイルスの感染リスクが低い一部の国・地域を対象に特別観光ビザを発行し、外国人観光客の受け入れを再開した。タイでは厳しい入国制限を行ってきたため、4月以降、外国人観光客ゼロの状態が続いており、観光業が大きな打撃を受けている。今回の規制緩和により、20日には中国からの客がバンコクの空港に到着し、7カ月ぶりに外国人観光客がタイへ入国した。特別観光ビザで入国する観光客には14日間の隔離が義務付けられている。日本は現在特別観光ビザの対象国に含まれていないが、タイ政府は21日、日本からの観光客受け入れも検討を続けている旨を明らかにした。

 

フィリピン、ビジネス関係者の再入国を11月1日より

フィリピン政府は新型コロナウイルス抑制のため全面的に禁止している外国人の入国を、11月1日から一部緩和し、ビジネス目的での再入国を認めることを発表した。3月中旬から禁止しているため7月半ぶりの解禁となる。

 

やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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各国・地域の入国規制まとめ

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