インバウンドコラム

【コロナ:世界の動き】緊急事態宣言3月7日まで Go To トラベル、ビジネス往来一時停止も延長。台湾では「日本ロス」解消のためカニ完売

2021.02.03

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緊急事態宣言1カ月延長、水際対策も引き続き強化

政府は、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を、3月7日まで1カ月延長することを決定した。延長の対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡の10都府県。これまで対象となっていた栃木県は、新規感染者数が改善していることから除外された。緊急事態宣言期間中は、観光需要喚起策「Go To トラベル」事業の全国一斉停止も継続される。

また、海外からの入国者に対する水際強化策も継続。外国人の新規入国停止や中国や韓国など11の国と地域を対象として始めていたビジネス往来も引き続き停止される。日本政府は、段階的な入国緩和の手始めしてとして11の国と地域を対象としたビジネス往来をスタートさせていたが、京都や大阪、愛知などに緊急事態宣言が発令された1月14日より一時停止している。

 

香港とベトナム、エアラインの乗務員などに対する検疫を強化

香港政府は水際対策の強化に向け、エアラインのパイロットと客室乗務員に対し、2週間の隔離措置を義務付ける方向で検討していることを明らかにした。現行の措置では、香港到着時にPCR検査を受け、結果が出るまでの24時間はホテルで過ごす必要がある。海外からのフライトにおいても、出発前に陰性証明書を提示し、香港到着時にも検査をした上で、再出発するまで政府指定のホテルで隔離されるため、「現行の措置で十分」との声も上がっている。2週間の隔離を義務付けることで、運用効率が低下することや、乗務員が家族と会う時間が失われてしまうなど、問題は山積している。

ベトナムの保健省は20日、世界各国で変異種が確認されていることを受け、全ての入国者に対し、14日間の集中隔離を義務付ける意向を示した。現行の措置では、外国人専門家やエアラインの乗務員に対しては検疫を緩和し、集中隔離施設での短期隔離(14日未満)を受けた後、自宅や宿泊施設で自主隔離をすることが認められていた。ベトナム政府はさらに、海外からの航空便の受け入れも制限し、必要不可欠な航空便のみを受け入れる体制に切り替えるという。

 

シンガポール、渡航者が初めて入国審査で健康認証アプリを利用

インターナショナルSOSは22日、国際商業会議所(ICC)およびAOKpass社と共同で開発した健康認証アプリ「ICC AOKpass」がシンガポールへの入国審査で初めて使用されたと発表した。デジタル健康証明書の発行が可能な医療機関で検査を行った場合、デジタル版陰性証明書をアプリ内で管理することができる。今後はワクチンの接種記録も認証できるようにし、安全かつ効率的な海外渡航の再開を促すという。

 

UAE、エミレーツ航空では健康認証アプリ「IATAトラベルパス」を試験導入

エミレーツ航空は、IATA(国際航空運送協会)と提携し、新型コロナウイルス検査やワクチン接種に関する情報を一元管理するアプリ「IATAトラベルパス」を試験的に導入すると発表した。第1段階は4月からの実施を予定しており、ドバイからエミレーツ航空に登場する乗客は、アプリを通じて事前にPCR検査結果を航空会社と共有することができるため、空港でのチェックイン時の手続きも円滑になる。

 

ワクチン接種者には、レストランなどの割引サービス

UAEの首都ドバイでレストランやホテルなどを運営するGates Hospitalityは、新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませた客に対し、最大20%の割引サービスを提供している。このサービスでは、1回目の接種を受けた人には10%、2回目の接種も済ませた人には、食事代金の20%を割り引くという。「ワクチンは医療専門家とWHO によって承認されています。責任ある方法でビジネスを続けることが私たちの使命です」と言い、政府のガイドラインを順守しながらサービスを提供している。

 

台湾、北部の病院で15人が陽性、5000人を隔離。医療従事者への手当て約93億円を用意

台湾の中央感染症指揮センターは24日、台湾北部に位置する桃園市の病院でクラスターが発生し、15人が感染したと発表した。台湾は感染抑制に成功していたが、人の往来が増える2月の春節連休を目前にクラスターが発生したことで、懸念が強まっている。これを受け、同センターは、6日以降に入院した患者や、6〜19日に退院した患者、入院中に付き添っていた家族なども含めて約5000人を14日間の在宅隔離の対象とした。

同センターは26日、感染者の対応に当たる医療従事者への手当てを25億台湾元(約93億円)支出したと発表。隔離施設や集中治療室で働く医師に毎日1万元(約3万7000円)、看護師に1勤務1万元、放射線技師と感染制御担当職員に月1万元をそれぞれ支給しているという。また、27日には外国人の入境制限を2月末まで延長することも発表した。居留証を所持する人や、外交公務に従事する人、人道的な理由による入境などについては免除される。

このクラスターを皮切りに域内で感染が拡大していることを受け、春節に予定されていたランタン祭りなどの行事が相次いで中止・延期となっている。新竹市の「台湾ランタンフェスティバル」や新北市の「新北ランタンフェスティバル」、桃園市の「桃園ランタンフェスティバル」などは中止、台北市の「台北ランタンフェスティバル」などは延期を発表した。

 

ドン・キホーテ台湾1号店、オープンに500人が列

そんな中、台湾では日本発のディスカウントストア「ドン・キホーテ」の1号店が19日に台北市でオープンし、開店前には500人以上の列ができたという。日本の商品が並ぶドン・キホーテは、新型コロナの影響で海外旅行に行けない台湾人の旅行欲を満たすとの声がある一方で、日本とほぼ同価格で展開するため、物価の違いが障壁になるとの意見もある。

同店は、その後も連日行列ができるほどの賑わいを見せているが、店内が密の状態になることを懸念する声が上がった。市の衛生局はこれを受け、感染対策を強化するよう要請。店内の人数を250人に制限することを求めたという。

 

LCCタイガーエア台湾と鳥取県がコラボでカニ販売

LCCのタイガーエア台湾は日本の鳥取県と連携し、鳥取から直送されたカニをオンラインショップで販売している。新型コロナウイルスの影響で海外旅行ができない人々の旅行欲を満たすために、日本の味を楽しんでもらおうというのが目的。春節のギフト需要に着目したこともあり、数量限定で販売したカニは早々に完売したという。タイガーエア台湾はこれまでにも茨城県、岡山県、佐賀県などとコラボし、「日本ロス」を解消するために、各地の県産品を販売している。

一方で日本人の「台湾ロス」を解消する動きもある。台湾観光局は30日、現地からライブ中継でバーチャルツアーを開催。春節前の華やかな街の様子や、旧正月の伝統的な文化を映し出し、日本の視聴者はYouTube経由でその様子を堪能することができた。

 

中国、「春運」で列車の前売りチケットが6割減

中国では毎年、春節連休中に起きる帰省ラッシュ「春運」が話題となるが、今年は新型コロナの影響で春節連休の列車の前売りチケットが前年同期比の約6割減となる見込みとなっている。

中国の省や直轄市が、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、春節連休中に帰省しない人に報奨金や特典を支給する動きが相次いでいる。春節中に帰省しなかった場合(出稼ぎ先にとどまった場合)、1人当たり8000円程度の現金を支給したり、スマホのデータ通信量20ギガバイトを贈呈したり、観光地などの入場無料券を進呈したりするなど、様々な施策を打ち出している。中国政府は、今年の春節期間である1月28日から3月8日までの間に都市部から農村部へ移動する人に対して、PCR検査の陰性証明書の提出を義務づけるという。

中国青年報社社会調査センターと問巻網(wenjuan.com)の共同調査によると、「今年は現在地で年を越す」が85.4%となり、今年の春節連休は帰省を自粛する人が多いことがわかった。

一方で、中国では人の移動を抑えることによる消費の冷え込みが懸念されている。春節期間中の旅客数は新型コロナ前の6割弱にとどまる見通しで、旅行業界への影響は不可避だ。中国民用航空局は、すでに購入済みの春節連休中の航空券を無料でキャンセルできるよう、各社に通達を出した。テンセント系旅行会社「同程芸龍」によると、今年の春節連休中の航空運賃は例年よりも15%以上も低いという。長距離旅行が阻まれる中、旅行業界はいかに地元の観光客を取り込むかがポイントとなってくる。

 

北京に地方から入る全員に血清抗体検査

北京の新型コロナウイルス対策指導グループは、1月20日と21日に会議を開き、昨年12月10日以降に北京入りした全ての人に対して血清抗体検査を行う方針を示した。また、海外から北京に到着した人には14日間の集中隔離を行い、その後7日間は自主隔離もしくは集中隔離、その後さらに7日間は健康モニタリングを行う。また、海外から北京以外の地域に到着した場合は、渡航日から21日が経過するまで北京に入ることはできない。

 

香港、感染拡大で春節の花火大会を中止

香港政府は例年開催されている春節の花火大会と、ランタンフェスティバルを中止すると発表した。香港の累計感染者は1万486人、死者は182人となっている(2月2日現在)。

香港政府は1月23日、新型コロナウイルスの感染拡大が確認された九龍地区・佐敦の一部地域をロックダウンした。政府は封鎖されたエリアの住民にPCR検査を義務付け、結果が出るまで自宅待機を指示。臨時の検査会場を51カ所設置したほか、過去14日間で2時間以上このエリアにどとまった人に対しても強制検査を行った。このロックダウンは1月25日に解除されている。

2月12日に春節を迎える香港では、金融管理局がお年玉を電子マネーに切り替えるよう呼びかけている。香港では例年、旧正月が近づくと新札の需要が増えるため、銀行は新札への交換業務を行うが、今年は密を避けるためにその期間を延長。電子マネーを使わない高齢者などへの配慮として交換業務は行うが、感染防止のためにも電子マネーを推奨する方針だ。

香港では2月よりワクチン接種を開始するが、各保険会社は副作用に対する保障プランを相次いで打ち出しているという。プランには外来診察の保障や、入院保障、生命保険などが含まれている。

 

韓国、外国人留学生に3度のPCR検査を義務付けへ

韓国教育部は27日、外国人留学生に対し、入国前後で計3回の新型コロナウイルス検査を義務付けると発表した。具体的には、外国人留学生はまず出発72時間以内にPCR検査を受け、空港での検疫時に陰性証明書を提出。入国直後に空港などで2度目の検査を受ける。その後、2週間の自宅隔離が解除される前に3度目の検査を実施するという流れだ。韓国では昨年3月から12月に入国した留学生から165人の感染が確認されており、可能な限り自国でオンライン授業を履修するよう呼びかけているが、やむを得ない事例に備えて対策を進めている。

 

タイ、57路線で鉄道サービスを停止

感染を抑制していたタイでは昨年末に、バンコク近郊のサムットサコン県にある海鮮市場でクラスターが発生して以来、各地に感染が拡大。新型コロナウイルス感染症対策センターは19日、バンコクの累計感染者がサムットサコン県とチョンブリ県に次いでワート3位になったことを発表した。

タイ国有鉄道(SRT)は新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、1月26日から57路線で鉄道サービスを一時停止している。SRTは、政府や各自治体による移動の自粛要請を受け、2月末まで多くの長距離列車や観光列車を運休しているが、より踏み込んだ対策を講じることとなる。

しかし一方で、バンコク首都庁は1月2日から講じていた規制措置を22日より一部緩和。これまで閉鎖していたゲームセンター、インターネットカフェ、介護施設、ジム、美容施設、マッサージ店などの13業種の営業が再開した。ただし、午後9時以降のレストランでの店内飲食などについては引き続き制限される。

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