インバウンドコラム

欧州でオミクロン株急拡大、英仏独で感染者数過去最多を更新。ワクチン義務化に抗議も

2022.01.18

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WHOは12日、1月9日までの1週間で、新型コロナウイルスの感染者が世界全体で1500万人を超え、過去最多を更新したと発表した。その後、感染者はさらに増加し、1月15日には1日あたりの感染者が258万2300人に上った。欧州の主要国では、年末年始に1日当たりの感染者数が過去最多を更新したことを受け、WHOは1月11日、欧州や中央アジアなどでは、今後6〜8週間で人口の半数以上が新型コロナウイルスのオミクロン株に感染する恐れがあると発表した。ここでは、欧州の英国、フランス、ドイツの感染状況と対策をまとめた。

 

英国、オミクロン株による感染がピークアウトか。政府はロックダウンを否定

英国では年末年始にオミクロン株への感染者数がピークを迎え、1月4日には1日あたりの新規感染者が20万人を超えた。同時期には新型コロナウイルスに関連して仕事を休んだ人の割合が過去最大になり、年明け以降も飲食店などの予約件数の減少が続いていた。また、清掃職員が多く感染したため、ゴミが収集されないといった状況や、鉄道職員の病欠による減便、一部運休など、インフラにも影響が出たという。しかし、その後減少傾向に転じ、1月16日の新規感染者は6万5509人となっている。

同国では、オミクロン株による感染がピークアウトしたとの期待が広がり、近く英経済が上向くという見方も出ている。これに伴い、政府は、オミクロン株の感染拡大を受けて導入した水際対策を緩和。また、1月17日には、新型コロナウイルスに感染した人の自主隔離期間を最短で5日間に短縮している。ジョンソン首相は1月4日、イングランドでは「70歳以上の9割以上、50歳以上の86%」が既に3回目のワクチン接種を完了していると発表し、ロックダウンなどの強い行動規制に踏み切らない意向を示した。

 

フランス、ワクチン接種を実質義務化。抗議デモに約10万人が参加

フランスでは、年明けに新型コロナウイルスの新規感染者が連日過去最多を更新し、1月11日には35万人以上の新規感染者が確認された。このうち、オミクロン株への感染が8割近くを占めているという。ベラン保健相は11日、感染者数が過去最大規模であることに言及し、「入院患者が2万2000人を超え、病床が逼迫している」と懸念を示した。同国では、医療や交通機関などの現場で公的なサービスを支える人員が不足するなど、社会生活への影響も広がっている。1月13日には、国内の教職員が大規模なストライキを行い、政府がコロナ対策の方針を頻繁に変えることで教育現場に負担をかけていると訴えた。これにより、小学校の半数が休校になったという。

フランス国民議会は1月16日、新型コロナウイルスワクチン接種を実質義務化する「ワクチンパス」導入に関する法案を可決した。1月20日にも施行される見通しで、16歳以上でワクチンを接種していない人は、飲食店や公共施設などを利用できなくなる。なお、これまでに許可されていた陰性証明書の提出も無効になる。1月8日には、この法案に抗議するデモが行われ、約10万人が参加した。

 

ドイツ、ワクチン接種「義務化」に向けて議論、野党や市民からは反発の声

ドイツでは1月12日、新型コロナウイルスの新規感染者が8万人を超えて、過去最多を更新した。政府は市民に繰り返しワクチン接種を呼びかけているが、接種完了者は人口の約72%にとどまっている。3回目の接種を受けた人は人口の47%だ。

こうした中、ショルツ首相は1月7日、新型コロナウイルス対策を強化する方針を発表し、レストランやカフェを利用する条件として、3回目のワクチン接種証明か、陰性証明の提出を義務付けた。さらに、同首相は12日、議会で全ての成人に対するワクチン接種の義務化を提案。しかし、野党議員からは社会的分断につながると反対の声が上がっているほか、国内各地ではワクチン接種の義務化を巡るデモが繰り広げられている。

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