インバウンドコラム

北欧を中心に規制撤廃の動き、ヨーロッパは「 コロナとの共存」時代へ

2022.02.09

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世界中で新型コロナウイルスのオミクロン株が拡大し、感染者が増加しているが、欧州では重症者がこれまでのように増えてないことから、通常の風邪のように扱おうとする動きが広がっている。WHO欧州地域事務局は2月3日、パンデミックは終わっていないものの、ワクチンやオミクロン株による免疫の拡大、オミクロン株が重症化しにくいことなどを理由に、ヨーロッパでは「長期の安定期」が訪れる可能性があるとの見通しを示した。ここでは、感染者数が減少傾向にあり規制緩和に踏み切った北欧を中心に、ヨーロッパの状況をお伝えする。

 

北欧3カ国、新型コロナウイルス規制をほぼ撤廃

スウェーデン政府は2月3日、飲食店の営業時間の短縮や、屋内の大型施設における人数制限など、これまでに講じてきた規制を2月9日からほぼすべて撤廃することを発表した。同国のアンデション首相は3日の記者会見で、「スウェーデンの社会を再び動かす時が来た」と強調。スウェーデンでは、感染者数は減少傾向にあり、医療がひっ迫する状況にはなっておらず、ワクチンのブースター接種も順調に進んでいる。

スウェーデンの1日の感染者数(2月6日までの1週間の平均):3万1047人

 

デンマークでは2月1日、公共交通機関でのマスクの着用義務や、陽性者の隔離義務など、新型コロナウイルスの規制をほぼ撤廃した。デンマークでは、変異ウイルスのオミクロン株のうち、「BA.2」と呼ばれる、世界的に主流になっているものとは異なる派生株が拡大している。1日の新規感染者が5万人を超える日もあるが重症者は少なく、ワクチン接種が順調に進んでいることから、規制撤廃の措置に踏み切った。同国のフレデリクセン首相は1月26日の記者会見で、「規制に別れを告げ、コロナ前の生活に戻る」と述べている。

デンマークの1日の感染者数(2月6日までの1週間の平均):4万1365人

 

ノルウェーのストーレ首相は2月1日の記者会見で、新型コロナウイルスに関する規制を解除すると発表した。これに伴い、午後11時以降も飲食店での酒類の提供が可能になるほか、10人以内とされていた私的な集会での人数制限や、在宅勤務の義務もなくなる。同首相は、「医療がひっ迫していないことを考慮すると、ビジネスに影響を及ぼすほどの行きすぎた対策はつり合わない」と強調し、コロナとの共生を歩む方針を示した。

ノルウェーの1日の感染者数(2月6日までの1週間の平均):1万8357人

 

英国、ワクチン接種証明の提示など規制撤廃「コロナとの共存」へ

英政府は「コロナとの共存」を目指す計画を打ち出している。1月27日からは、屋内の公共の場でのマスクの着用や、大型イベントなどでのワクチン接種証明の提示など、新型コロナウイルスに関連する規制をほぼ撤廃した。ただし、公共交通機関では引き続きマスク着用が義務付けられる。英政府は、新型コロナウイルスをインフルエンザなどと同等に扱う方針で、3月には感染者の隔離義務もなくす。同国のジャビド保健相は1月27日、「コロナとの共生を学び始めると同時に、このウイルスが無くなることはないのだと、はっきり認識する必要がある」と述べている。

2月11日以降は、外国から入国する際の規制も解除すると発表し、ワクチン接種済みであれば、入国者に義務付けられていた新型コロナウイルス検査が不要となる。英政府はさらに、2月から外国人観光客の誘致を促進するキャンペーンを開始すると発表した。

英国の1日の感染者数(2月6日までの1週間の平均):7万8788人

 

フランス、週3日以上の在宅勤務や屋外でのマスク着用義務を撤廃

フランス政府は2月2日、病床がひっ迫していないことや、専門家が今後数週間で感染者数が減少に転じるとの見解を示したことを踏まえ、新型コロナウイルスの感染防止策として講じてきた規制の一部を緩和した。これにより、屋外でのマスク着用義務や、週3日以上の在宅勤務、大規模イベントの人数制限といった規制が撤廃された。2月16日には、緩和の第二弾として、ナイトクラブの営業や、映画館などでの飲食も解禁される。規制を緩和する一方で、同政府は2月2日から、免疫不全などの人に対し、高性能マスクを無料で配布することを決定した。

フランスの1日の感染者数(2月6日までの1週間の平均):23万2814人 

*感染者数のデータはすべてOur World in Dataより

 

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