インバウンドコラム

観光再開に動き出した台湾、6月より入国規制緩和を順次発表。観光産業支援に200億円超を投入

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全世界で入国規制の緩和に踏み切る国が続出する中、日本政府は約2年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開すると発表した。これまで国境再開に対して慎重な姿勢を見せてきた台湾でも、6月にはその兆しが見られることになりそうだ。今回は、「ウイルスとの共存」に向けて動き出した台湾の状況をまとめた。

 

台湾LCC、24時間限定の航空券販売キャンペーンで観光往来に備え

日本と韓国が外国人観光客の受け入れ再開に向けて水際対策を緩和する中、台湾のLCCタイガーエアは下半期の旅行市場回復を視野に、5月25日から24時間限定で日韓行きの冬ダイヤの航空券を発売した。同社は自由な旅行ができなかった期間が798日続いたことから、日本の東京、関西、岡山、福岡沖縄や、韓国のソウル、釜山などへの片道航空券を798台湾ドル(約3500円)で販売したところ、アクセスが殺到し、サイトがつながりにい状況に陥るほどだったという。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年のデータでは、台湾からの訪日客・訪韓客はいずれも3番目に多かった。

 

渡航規制が解除された際に行きたい国・地域の1位は「日本」

台湾の求人求職サイト「yes123求職網」は5月17日、海外旅行に関するオンライン調査結果を発表した。それによると、渡航規制が解除された際に行きたい国・地域は「日本」が33.4%で1位となった。2位は「ヨーロッパ」32.4%、3位は「韓国」30.7%、4位は「米国」27.9%、5位は「ニュージーランド、オーストラリア」26.9%の順となっている。また、渡航規制の解除後の海外旅行費用については、44.3%の人が「高くてもよい」と回答したという。

日本政府は6月10日より、添乗員付きの団体ツアー客のみを対象に外国人観光客の受け入れを再開するが、台湾政府は海外への団体ツアーを禁止しているため、まだ日本へ渡航することができない。

 

台湾の入国規制、6月から緩和。入国時の隔離期間も短縮

台湾の中央感染症指揮センターは5月27日の記者会見で、入国規制の緩和を6月から順次発表する方針を示した。同センターの陳指揮官は、台湾の国境解放は「遅かれ早かれ行われることだ」とし、域内感染と輸入症例による感染のリスクが同程度になっていることを理由に挙げている。

台湾では外国人観光客の受け入れを行っていないが、同政府は5月9日以降、海外から到着する人の隔離期間を10日間から7日間に短縮した。現在主流となっているオミクロン株の潜伏期間が比較的短いことや、経済活動などのへの影響を抑えることを考慮したという。5月27日の中央感染症指揮センターの記者会見では、ビジネス客を対象に7日間の隔離期間を3日間以下に短縮するプランが検討されていることが明らかになった。

 

台湾政府、観光業の支援に向けて200億円超の予算投入へ

台湾行政院(内閣)は5月26日、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた企業や個人を支援するための振興予算345億6000万台湾元(約1500億円)を閣議決定した。交通部は9月〜12月に1泊以上の団体ツアーや個人旅行に対して最大3万元(約13万円)を支給するなど、観光業に55億元(約238億円)を投じる計画だという。交通部の王部長は、ウイルスと共存し、日常生活を取り戻すためには、宿泊施設に泊まったり、レジャー施設に出かけたり、公共交通機関を利用することが産業の支援になると述べている。

 

台湾の新規感染者、過去最多を更新

 台湾の中央感染症指揮センターは5月27日、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が9万4808人だったと発表した。前日から1万2956人増加し、過去最多を記録した。5月26日より、家庭用抗原検査キットで陽性反応が出たことを医師が確認すれば感染を確定する制度が始まったことも影響していると見られているが、これまで抑え込まれていた台湾の感染者は、今年4月以降急増している。5月29日には新型コロナウイルスによる1日の死者が145人で過去最多となった。

 

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