インバウンドコラム
新型コロナウイルスによる死亡率が下がり、世界中の国々が国際的な人の往来再開を進める中、韓国でも今年に入って段階的に入国規制の緩和が進められてきた。日本も10月に入ってさらなる水際対策の緩和を実施したため、地理的に近い韓国との往来が活発化しているという。今回は韓国からへの訪日旅行や、韓国の現在の状況などを紹介する。
日本の入国規制緩和を受け、韓国では日本旅行の人気が爆発
日本政府が10月11日、新型コロナウイルス対策の入国規制を緩和し、韓国を含む68か国・地域を対象にビザなしでの入国を再開したことを受けて。韓国では日本旅行の人気が爆発している。日本が韓国人を対象にビザなし入国を再開するのは約2年7か月ぶりとなる。
訪日旅行に強い韓国の大手旅行会社「旅行博士」では、日本の入国規制緩和が発表されて以降、問い合わせが殺到し、9月に受けた予約数は8月に比べて約530%増えたという。同社における人気の地域は九州、大阪、東京の順となっている。韓国のオンライン旅行会社Tripbtozも10月7日、9月の日本のホテルの予約件数が前月比26倍に増加したと発表した。同社が予約を受けた渡航先の国・地域のうち、日本は8月の22位から9月には2位まで上昇している。地域別では、東京が全体の36%、福岡が24%、大阪が22%の順で多かった。
韓国からの日本旅行需要急増で、航空各社が日本路線を増便
日本旅行の需要急増を受け、韓国から日本に向かう多くの航空路線は10月の予約がほぼ満席になっている。韓国のLCCチェジュ航空の10月の「仁川―成田」線、「仁川―関西」線、「仁川―福岡」線、「釜山―成田」線の予約率は90%台で、ティーウェイ航空も日本路線の予約率が今月に入って90%を超えた。
こうした状況を受け、韓国国土交通部は10月11日、10月30日から「金浦-羽田」線の運航回数をこれまでの週28回から2倍の週56回に増便すると発表した。これに伴い、10月30日以降は同路線を運航する韓国の大韓航空とアシアナ航空、日本のJALとANAはそれぞれ毎日2往復まで運航が可能になる。
大韓航空は10月11日より「仁川―成田」線、「仁川―関西」線を週7往復から週14往復に増便し、アシアナ航空も10月30日より「仁川―成田」線を週10往復から12往復に増便するなど、多くの航空会社が増便を進めている。
韓国、入国規制を完全に撤廃。8月の訪韓外国人客数は220%増
なお韓国政府は10月1日より、これまで義務付けていた入国後1日以内のPCR検査を廃止した。新型コロナウイルスの輸入症例が減少傾向にあったことや、オミクロン株派生型「BA.5」の死亡率が低いことを理由に挙げている。同政府は今年6月8日よりワクチン未接種者の隔離なしでの入国を認め、9月3日からは入国前の検査義務も廃止したため、この措置で新型コロナウイルス関連の入国規制が完全に撤廃された。日本から渡航する場合は、出発72時間前までにK-ETA(電子旅行許可)を取得する必要があるが、10月31日までビザなしでの入国が認められている。韓国政府は、日本が韓国からのビザなし入国を再開したため、日本人のビザ免除措置を11月から全面的に再開する方向で調整しているようだ。
水際対策の規制緩和が進む中、韓国観光公社は外国人観光客の誘致に向けたプロモーション活動を進めている。10月11日には同社本社で海外支社長会議が開かれ、マーケティングの展開や、日本、台湾、香港などの市場を重点的に攻略する方策について議論が行われた。日本では、5大オンライン旅行会社と提携し、年末まで訪韓キャンペーンを行う予定だという。同社によると、2022年8月の訪韓外国人客数は前年同月比220.3%増の31万945人。日本からの観光客は前年同月の11.7倍に急増し、2万6,482人だった。
観光に力を入れる韓国では10月15日、釜山で開催される2030年国際博覧会の釜山誘致を願い、人気グループBTSの無料コンサートが開かれた。釜山には日本人を含む外国人客が多数訪れ、これに伴う経済効果は最大で1200億円を超えると見込まれている。
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