インバウンドコラム

海外旅行解禁の台湾、2024年までにパンデミック前回復を目指す、訪日ブームで日本語学習熱

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入境時の新型コロナウイルス関連の規制が大幅に緩和された台湾では、アウトバウンド、インバウンドともに需要が高まっている。中でも、台湾人に人気の海外旅行先は日本。今回は、規制緩和に踏み切った日台間で盛り上がりを見せる往来の動きや、台湾域内の現在の状況を紹介する。

 

台湾からの訪日客数、前年同月の17.2倍。海外旅行解禁で日本旅行がブームに

台湾の放送局「中央廣播電台」の報道によると、国境が再開されたことに伴い、台湾では海外旅行ブームが到来しているようだ。中でも最も人気が高いのが日本旅行だが、日本ではコロナ禍で一定期間外国人旅行者がいなかったためか、英語でのコミュニケーションがより困難になっているとし、台湾人の日本語学習熱が高まっているという。日本旅行をスムーズに楽しむために、基礎的な日本語でのコミュニケーションを学ぼうという気運が高まり、日本語の五十音の学習者が2倍に増え、オンライン五十音講座の受講者も2割増えた。

訪日観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」がサイトのユーザー4784人を対象に実施した調査によると、「個人旅行解禁後、日本旅行するなら行きたい都道府県はどこですか」という問いかけをした結果、1位が北海道(58.6%)、2位が東京都(42.8%)、3位が京都府(41.3%)だった。また、リピーター初級者(訪日回数2〜5回)と上級者(同6回以上)を比較すると、上級者ほど東北、四国、長野、新潟といった地方への来訪意欲が高いことがわかった。

 

日台間の航空路線、相次いで増便

日台双方で国境が再開されたことに伴い、航空路線の増便も活発化している。台湾のスターラックス航空は11月1日より増便し、「台北―成田」線の機材を大型化、これまでの週4便から週7便のデイリー運航に増便した。「台北―関西」線もこれまでの週5便からデイリー化し、「台北―福岡」線も週3便からデイリー化した。同社はまた、10月28日より「台北ー那覇」線を新規就航した。当初は2020年7月に運航開始予定だったが、コロナ禍の影響で就航時期を見合わせていた。

JALは10月31日から「羽田―台北」線をダブルデイリー化し、1日2往復運航している。

LCCのピーチ・アビエーションは、11月18日から「羽田―台北」線をデイリー運航で再開すると発表した。同路線の運航再開は約1年11カ月ぶりとなる。同社はまた、11月17日に「那覇―台北」線をデイリー運航で再開する予定だ。

 

台湾政府、2024年の訪台者数を2019年水準まで回復させる方針を発表

台湾政府は10月13日に、入境時の防疫措置を緩和し、海外団体旅行の催行と受け入れを解禁した。さらに、入境後3日間の強制隔離を撤廃し、防疫期間中、旅行者には入国時に簡易検査キットが配布され、体調管理と屋内外でのマスクの着用が義務付けられる。外出する際は2日以内に行った抗原検査の結果が陰性であることが条件となる。1週間当たりの入境者上限も、6万人から15万人に引き上げている。台湾交通部(交通省)観光局の発表によると、今年9月の訪台旅行者数は前年同月比5.6倍の延べ6万8318人だった。7カ月連続でプラスを更新しているが、10月には入境規制が緩和されたため、その後も増加傾向が続く見込みだ。

台湾交通部(交通省)は10月13日、年内の訪台観光客数について、延べ70万人を目指す方針を示した。さらに2024年には、海外からの訪台観光客数をコロナ禍前(2019年)の水準である年間1000万人台にまで回復させるとの目標を発表した。海外からの観光客誘致については、日本と韓国をメインターゲットとし、東南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなどの国でもPRを強化していく。11月4日から7日には、台湾最大規模の旅行博覧会「台北国際トラベルフェア」が開催され、日本や韓国、タイ、マレーシアなど71カ国・地域が参加し、台湾の大手旅行会社、ホテル、飲食店、航空会社など、計1200のブースが出展した。

 

11月14日より、新型コロナウイルス感染者の在宅隔離期間を5日間に短縮へ

台湾域内のコロナ対策においても緩和の動きが続いている。中央感染症指揮センターによると、11月7日より、団体旅行ツアー、宗教活動、ナイトクラブ、バーなど、8大産業の娯楽施設の入場などで、新型コロナウイルスワクチンの3回接種、または抗原検査の陰性証明が不要となった。また、同日より公共の場や事業所などで検温義務がなくなった。いっぽう、病院や介護施設など、事業やサービスの内容によって必要があれば検温を実施できると説明している。さらに、11月14日からは、新型コロナウイルス感染者の在宅隔離期間を5日間に短縮する。現在は、7日間の在宅隔離と、隔離期間満了後の7日間の自主健康管理が義務付けられている。

 

 

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