インバウンドコラム
中国政府は「ゼロコロナ」政策を1月7日で正式に終了し、1月8日から入国の際に義務付けていた8日間の隔離措置を撤廃したが、これを受けて香港との往来も活発化している。1月21日からの春節を控え、香港と中国本土との往来に関する動きや、香港に対する各国の対応を紹介する。
香港、中国本土との往来制限を上限ありで緩和、フライトも増便
香港政府は約3年間にわたって続けてきた中国本土との往来制限を1月8日に緩和した。2020年2月以来、香港と中国との間では空港などの3カ所を除いて境界が閉鎖され、香港から本土に到着する人には隔離措置が義務付けられていた。当面は混乱を避けるため、1日の入国・入境者数には上限が設けられ、香港から本土へは6万人、本土から香港へは5万人に制限されているが、状況を見ながら段階的に緩和していくという。初日の1月8日には、香港の入境管理所で多くの市民が越境し、午後8時までに3万5028人が香港から中国へ出境、1万3336人が中国から香港へ入境した。今月下旬の春節休暇には帰省や旅行で大規模な人の移動が予想される。
香港と中国本土との往来緩和を受け、香港のキャセイパシフィック航空は12月31日、香港から本土へのフライトを増便すると発表。1月8日から北京、上海、広州へのフライトを増便し、14日からは香港-厦門間のフライトを再開する。
日本政府、香港からの旅客便に対する空港制限を撤廃
香港政府は1月4日、日本政府が香港からの旅客便に対する乗り入れ制限を緩和する旨を発表した。これまで香港からの旅客便乗り入れは成田・羽田・関西・中部の4空港に限定されていたが、この措置に伴い、日本国内すべての空港を使用できるようになる。香港政府はこの緩和措置に歓迎を表明し、キャセイパシフィック航空、香港航空、香港エクスプレスはフライト状況を見直し、市場の需要に基づいて運航を調整すると発表した。なお、日本政府は中国本土からの渡航者に対して水際対策を強化しているが、香港とマカオからの渡航者にはこの措置を適用していない。
米国など、香港からの渡航者に陰性証明書の提示を義務付け
中国政府は、入国時に義務付けていた8日間の隔離措置を1月8日から撤廃するなどゼロコロナ政策を終了させた一方で、これまでの厳しい行動管理や制限の規制緩和を背景に、同国では新型コロナウイルスの感染が急拡大している。新たな変異株の発生などが懸念される中、中国のみならず香港やマカオからの渡航者に対しても入国規制をする国が相次いでいる。
米国は1月5日より、中国のほか、香港、マカオから空路で到着する渡航者に対し、新型コロナウイルス検査の陰性証明書の提示を義務付けた。出発の11日以上前に検査で陽性反応が出た渡航者は、陰性証明書の代わりに回復証明書を提出できる。
カナダも1月5日より中国、香港、マカオからの渡航者に対して陰性証明書の提示を求めている。同政府は昨年10月1日に新型コロナウイルスに関連するすべての入国規制を撤廃したが、中国で感染者が急増していることから対策強化に踏み切った。オーストラリアも同日から米国やカナダと同様の措置をとり、その理由として新たな変異株が出現するリスクがあることなどを挙げている。
韓国は中国からの入国者に入国前後の新型コロナウイルス検査を義務付けているが、1月7日から香港とマカオからの入国者にも、入国前の検査を義務付けた。香港でも感染者が増加していることや、アメリカなどの主要国の動向を考慮したとしている。ただし、香港とマカオからの入国者には入国後の検査の義務付けや短期ビザの発行制限などは行わない。
一方、香港政府は検査を義務づけた国々に対し、こうした措置の撤廃を求める書簡を発送した。香港の陳国基(エリック・チャン)政務官は「このような措置は不要で不適切だ」と述べている。
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