インバウンドコラム
ここ数年急伸を続けていた中国発クルーズに陰りが出始めている。国土交通省九州地方整備局は7月24日、2018年1月〜6月のクルーズ船の九州への寄港数(下関港含む)が、前年同期比15.3%減の455回だったと発表した。港別では、2017年まで3年連続全国トップの博多港が21%減、同2位の長崎港が12%減となっている。寄港の大半を占める中国発着クルーズが、中国国内の競争激化による収益悪化で減少、欧米の大手船会社が一部の客船を地中海や東南アジアに移していることが主要な原因といえる。
「訪日クルーズ旅客数を2020年に500万人」という目標値を掲げている国のビジョンとしては、黄色信号が灯った形だが、私個人の意見としては、ここから各港、エリアが寄港地として、観光地として、コンテンツを磨き上げて、成長をしていくときだと考える。折しも、7月10日からの博多港発の「日本海クルーズ」に乗船し、「クルーズ」というツーリズムの可能性を非常に感じたところだった。
今回は乗船のレポートを交えながら、3回にわけて、日本における「クルーズ」の深化について考えてみる。
1回目は「クルーズの魅力」についてレポートしよう。
クルーズはホテルに泊まりながら移動する
私が乗船したのは、「COSTA neo ROMANTICA(コスタ ネオロマンチカ)」。5.6万トン、乗客定員1800人という、現在博多港に寄港している16万トン級、4900人乗客定員に比べると小さな船だといえる。
しかし、屋外プールや海をみながらのジム、サンデッキなど無料で利用できる施設も充実、基本的に旅行代金に朝、昼、夕の食事は含まれ、食事をしたければどこかで食べることができるようになっている(アルコール含むドリンクパッ ケージ付き)。船の大きさによっても違うが、シアターやショーなども充実している。
ジムは24時間利用できる。海をみながら最高の気分を味わえる
基本的に旅行代金は部屋のカテゴリーによって変わってくる。今回、私は「お気軽日本海ショートクルーズと釜山4泊5日」というクルーズ専門の旅行代理店のツアーにオンラインで申し込み、部屋のカテゴリーが低く、窓がない内側の部屋を覚悟の「バリュー特価」(ドリンクパッケージなし)を選んだ。旅行代金は2名1室で1人あたり62,800円。加えて15,600円の港湾税がかかった。(実際には1名1室利用だったため、旅行代金の70%が上乗せされた)。
私の部屋は小さな窓がついていて、バスルームが簡素なものであったが、湯量や湯の温度は十分である。なにより荷物はいったん船に乗り込めば最後までパッキングしなくていい。船内で使う荷物をすべてクローゼットに納めて、リラックスした旅の始まりだ。
船内のエンタメが船旅の醍醐味!
「クルーズからエンターテインメントをとったらただのフェリー! ショーやエンターテインメントがクルーズの旅の醍醐味と自負しています」とは、クルーズアシスタントディレクターの北目徳子さんが、言い放った言葉だ。
7月10日博多港発、1800人乗りの船はほぼ満員。乗ったときからプールサイドでのテノール歌手の歌のお出迎えから始まり、朝から夜まで、途切れることなくプログラムが展開される。寄港して時間がある場合でも、船内ではゲームやイタリア語レッスンなど途切れなくプログラムが展開される。
乗客が戻ってくる夜は、シアターやプールサイドなどでのパーティー、ミュージカルやダンスなどのショーが開催される。そういったプログラムはすべて「TODAY」という前日の夜に部屋に届けられるペーパーで把握することになる。今回は、日本人乗客がメインなので日本語で。
日本人だと恥ずかしがってパーティーは盛り上がらないのでは という危惧はまったくの見当違いだった。写真は「ホワイト」というドレスコードでの船長主催のカクテル・パーティー。スタッフの盛り上げ方も上手なのだろうが、みな踊る踊る。これは毎夜のパーティーでも、深夜のディスコでも同様だった。
私のお気に入りは、ダンスのショー。ラテンやミュージカルなどさまざまなジャンルのダンスを同じキャストが見事に披露してくれる。写真でお見せできないほど官能的なバーレスク」は22時からスタート。眠る時間が短くなってしまう楽しさなのである。
次回は、寄港地での観光を中心に「クルーズ」を検証する。
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