インバウンドコラム
前回のコラムでは中国の広告事情についてご説明しましたが、中国では新聞・雑誌といった紙媒体が日本に比べて普及していない代わりにインターネットメディア、近年では特に微信メディアが大きく普及しております。「日本で買うべき12の神薬」という記事をきっかけに小林製薬などいくつかのメーカーの売上が大きく伸びて日本のメディアを賑わしましたが、この記事の出元もある1つの微信メディアです。
今回のコラムではこの微信メディアについてご紹介します。
<2015年9月30日>
目次:
微信メディアの特徴について
微信メディアを活用した情報の拡散について
◆微信メディアの特徴について
【特徴1:圧倒的な利用率】
微信の6億人のアクティブユーザーのうち25%が1日30回以上、55%が1日に10回以上微信を利用します。その為微信メディアも閲覧されることが多く、大手のメディアであれば1回の記事が5万〜10万人以上に閲覧されると同時に10万〜50万人へのシェアが見込めます。
【特徴2:ターゲティングが容易】
メディアごとに発信するテーマが異なり読者層が絞り込まれる為、性別・年齢・地域・趣味嗜好といった軸で記事広告を配信するユーザーを絞ることが出来ます。
【特徴3:情報の拡散性が高い】
Facebookのタイムラインで記事をシェアする方が増えていますが、微信でもタイムライン機能があり、Facebook以上に記事が頻繁にシェアされています。
図1:特徴2を説明したもの。様々なテーマのメディアがあり、ターゲティングが容易
◆訪日中国人による購買ルート
次に微信メディアを元にどのように情報が拡散されているかを具体例を元に見ていきます。
以下はある日本系の微信メディアが「青汁のお勧め」について記事を配信したときの情報の流れをまとめたものです。
日本系微信メディアで情報を配信したあと、情報は大きく分けてWEB上とでの拡散とフォロワーを通じた拡散の2つのルートで拡散されます。
WEB上の拡散とはニュースサイトや掲示板、他の微信メディアへの情報拡散です。
ニュースサイトは日本でいうところのYahoo!ニュースやLivedoorニュースといった各種ニュースサイトやキュレーションメディアを指しますが、大手の微信メディアに掲載をするとこれらのサイトにシェアされることがあります。
フォロワーを通じた拡散は皆さまが利用されている「Facebookのタイムライン上での記事のシェア」と同じ原理です。よく「〜〜〜人がシェアしております。」と記載された記事をFacebookでつながっている友人の方がFacebook内でシェアしていると思いますが、微信でも同様の原理で記事がシェアされていきます。
例えば上記の青汁の記事では5000人が実際に記事をシェアしていますが、この日本系微信メディアの読者に多い沿岸部在住の方の微信内の平均友人数は200名前後ですので、シェア数5000回×平均友人数200名=100万名のタイムラインに瞬く間にシェアされていきます。現在日本で爆買いされているメーカー商品の多くは上記の流れで情報が拡散され、結果として消費者が訪日旅行中や中国に居ながら越境ECサイトでメーカー商品を購入するに至っています。
次回は中国人の爆買いに焦点を当て、中国人が日本の商品を購入する上で利用している三つのルートについて解説します。
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