インバウンドコラム
2017年9月に、第59回やまとごころ勉強会x INBOUND LABO by UDS「インバウンドビジネス起業家に聞く、3社3様の成功メソッドと秘訣」を開催しました。
今回はゲストに株式会社MATCHA 代表取締役 青木優 氏、日本美食株式会社 代表取締役 董路 氏を迎え、弊社の株式会社やまとごころ 代表取締役 村山慶輔を加えた3名が登壇。3氏のオリジナリティ溢れる創業秘話や経営、事業運営の秘訣やエピソードが惜しみなく語られました。
事業を通じて人を動かし、変化を起こす気概
最初に登壇した株式会社MATCHA 代表取締役 青木優 氏。
明治大学国際日本学部在学中に、すでに本事業のアイディアを得ていたという青木氏。講義中、教授が漏らした、
「日本人は未だ”文化発信”を”ビジネス”に成せていない」
という一言からヒントを与えたといいます。
大学を1年休学しバックパッカーとして世界を旅し、帰国後には日本各地を足で回ったという青木氏。そこで見聞した様々な事柄から、次第に姿を消しつつある小規模の酒蔵に代表されるように、
「ビジネスにならぬ故、惜しまれつつも消えゆく日本の文化がある」
という現実があることを肌で感じたそうです。
このようなヒント、そして経験から、現在の事業運営に至るまでの紆余曲折の日々が鮮やかに語られました。
続いて、電通 ヒューマントラスト、福岡県 柳川市、成田空港、東急ハンズ、星野リゾート 等、多種多彩な他企業や自治体とのコラボが果たしてどのようにして結ばれ、収益を上げているのかについて、青木氏の経営哲学
「MATCHAとはただの情報発信の場ではなく、世界に変化を起こせる会社である」
とともに、実例を挙げて次々と明かされていくと、参加者からは何度も感嘆の声が上がりました。
日本の外食をインバウンドの掌の内に。美食で世界平和を!
続いて登壇したのは日本美食株式会社 代表取締役 董路 氏。
日本美食のビジネスの中心となっているスマホアプリ「日本美食 Japan Foodie」の美しいプロモーション動画から講演は始まりました。
中国、北京生まれの董氏が、なぜ日本でインバウンドビジネスを興し、しかもなぜ「外食産業のアプリ上予約・決済」という分野に乗り出したのか。
鋭い日本のインバウンド産業分析が具体的な数値を挙げて語られた後、事業の肝であるアプリ開発の秘話が惜しみなく披露されました。
「中国の爆買いは終わった、という言説を広げる向きもあるが、私の分析ではまだ始まってもいません。中国のパスポート規制の政策の動向などの分析により、私は2025年、中国からの訪日客は年間3000万人に達するとみています」
こう口火を切った董氏の熱いトークに、参加者も終始熱視線を送り、時にユーモアに笑いの渦も起こりながらの濃厚な講演となりました。
日本と世界をつなぐ仕事を、の想いで継続は力なり
続いて登壇した弊社代表取締役 村山慶輔。
インバウンド事業そのものがまだニッチだった2000年代初頭。インバウンドに特化したB to Bサイト「やまとごころ.jp」を立ち上げた村山は、以降、
「インバウンドビジネスは自分のライフワークである」
をモットーに、社員、スタッフ一丸となり現在まで10年の実績を積み上げてきました。
今回の講演では、村山自身がこの年月の中で経験した出会い、そこで得た日々の気づき、想いとビジョンを、具体的な数値や事例を挙げて余すところなく語らせて頂きました。
3社代表によるセッションで、普段は聞けない秘話を本音トーク
誰もが目を丸くするような革新的ビジネスを、インバウンドという業界で現実のものとしている青木氏と董氏。そしてインバウンド創成期から実績を積み重ねてきた弊社村山の講演を終えた後は、その熱気そのままに対談コーナーが催されました。
大枠のテーマとして”インバウンドビジネスの経営”が掲げられ、ここでしか聞けない生の情報、リアルな想いが飛び交うひとときとなりました。
コーディネイターの王からは
・講師それぞれが、会社運営、サービスの構築それぞれにおいて最も重要視しているポイントは何か?
・市場の変化への対応として各事業を加速するタイミング、撤退のタイミングの読み方
等が次々に質問されてゆき、時に丁々発止、大いに盛り上がる対談となりました。
引き続いて催された参加者と講師との質疑応答コーナーでは
・モノからコトへ、体験をプレゼンすることができる人材を育てる為のアドバイスは?
・企業、事業の露出を上に挙げていく為のテクニックを知りたい!
等、誰もが身を乗り出す質問がいくつも提議され、ここでも講師陣からそれぞれのカラー際立つ具体的かつ、含蓄豊かな回答が多々披露されました。
この度のセミナーも大盛況のうちに幕を閉じました。講師の皆さま、大変貴重なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。
【ゲストスピーカー】
株式会社MATCHA 代表取締役 青木優 氏
1989年、東京生まれ。明治大学国際日本学部卒。株式会社 MATCHA 代表取締役。学生時代に世界一周の旅をし、2012年ドーハ国際ブックフェアーのプロデュース業務に従事する。デジタルエージェンシーagument5 inc.に勤めた後、独立。2014年2月より訪日外国人向け WEB メディア「MATCHA」の運営を開始。「MATCHA」は現在9言語、世界200ヶ国以上からアクセスがあり、様々な企業や県、自治体と連携し海外への情報発信を行なっている。
日本美食株式会社 代表取締役 董路(Lu Dong)氏
1972年 中国北京生まれ。20歳で日本へ、30歳まで10年在住。埼玉大学 経済学部卒業後、ゴールドマンサックスに入社。プライベートバンキング部門勤務し、日本のTOP20の資産家の資産管理を担当。その後、スタンフォード大学にてMBAを取得し、2004年 32歳で中国へ帰国。モニターグループで戦略コンサルティング、Granite Global Venturesにてベンチャー投資業務の経験を経て、2006年 中国にて「Beyond Tailors」を設立。2008年「中国のビクトリアシークレット」La Miu設立。La MIuでは合計30億円の資金調達を行ない中国No.1の独立系ECランジェリーブランドとなる。2015年 日本で訪日観光客を対象とした飲食予約サービス「日本美食」を設立。
【開催概要】
2017年9月28日(木)18:30〜21:30
第59回やまとごころ勉強会x INBOUND LABO by UDS
「インバウンドビジネス起業家に聞く、3社3様の成功メソッドと秘訣」
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