インバウンドコラム
前回のコラムでは、自社の現状を把握するためにできることをお伝えしました。今回は、少し範囲を広げて、自社の施設がある地域(エリア)の状況を把握するためにできることを解説します。
なぜ地域の状況を把握することが必要なのか?
自社の施設があるエリアを訪れている外国人観光客は、すでにそのエリアに興味を持っている人たちともいえるため、自社の施設を訪れてくれる可能性も高いと考えてよいでしょう。日本から遠く離れた海外の国や地域にプロモーションをすることも大切ですが、それには多大な時間とコストを費やす必要がありますし、効果が現れるまでにも時間がかかります。まず気軽に実践できることとして、近隣エリアを訪れている観光客のことを把握したうえで、彼らにわかりやすく自社の施設のことを伝え、足を運んでもらう。そして、楽しんでいただき、消費をしてもらう。インバウンドを始めたばかりの施設にとっては、即効性があり、かつ低コストで効果を出しやすい方法です。
訪日客が自社のエリアにどの程度足を運んでいるかを、データで調べてみる
1)宿泊旅行統計調査をチェックする
観光庁が発表する「宿泊旅行統計」では、外国人の延べ宿泊者数を、国籍別、都道府県別で紹介しています。まずは自社の施設がある都道府県の状況を調べてみましょう。
2)自社のエリアが属する都道府県や観光協会の「来県者数情報」を調べてみる
自治体や観光協会が独自に調査をし、都道府県のエリアごと、市町村ごとの訪問者数を発表している場合もあります。国による宿泊統計よりもさらに詳しい情報を知ることができますので、探してみてください。
近隣でインバウンド誘致に積極的な施設について調べる
自社のエリアを訪れている観光客の特徴をデータ上で把握できたら、次はそのエリア内で外国人観光客誘致に力を入れている施設の取り組みを調べてみましょう。自社でも導入できそうな取り組みが見つかったり、外国人誘客を協力して行う「連携」のきっかけを得られたりするかもしれません。具体的な方法は、以下の3点を参考にしてみてください。
1)旅行雑誌やガイドブック+トリップアドバイザーなどの口コミを見てみる
前回のコラムでは、海外の旅行雑誌やガイドブック、SNS、トリップアドバイザーなど口コミサイトを活用し、自社の施設がこれらのメディアに取り上げられているのかを調べるという方法をお伝えしました。それと同様の手法で他社施設の情報を調べ、人気のある施設、注目を集めている施設の共通点や特徴を考察することで、自社が講じるべき施策が見えてくるかもしれません。
2)外国人に人気の施設に足を運んでみる
本や雑誌、インターネットで情報収集した後は、実際字に近隣の外国人に人気のある施設に足を運んでみましょう。そこでまずは、客層や外国人に提供しているサービスや、多言語対応状況などを観察してみます。さらに可能であれば、訪れている外国人に声をかけ、なぜここに来たのか、どのようにしてその場所を知ったのかなど、実際の感想を聞いてみるといいでしょう。
3)近隣の観光案内所に足を運んでみる
自社の近隣にある観光案内所を訪れ、職員に直接ヒアリングしてみることもおすすめします。例えば来訪する外国人観光客の客層や、彼らのニーズについて聞いてみましょう。もしその案内所に外国人観光客がいれば、思い切って話しかけてみてください。実際に、外国人の生の声に耳を傾けることで、多くのヒントが得られるかもしれません。
最終回となる次回では、インバウンド担当者として、普段から心がけておきたい2つのことを紹介します。
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