インバウンドコラム

2024年度観光庁予算要求前年比2.2倍の670億円、高付加価値化に120億円計上

印刷用ページを表示する



観光庁は、令和6年(2024年)度の予算概算要求を公表、2024年度は前年度予算の2.2倍となる670億4700万円となった。

一般会計は前年度比2.2倍となる241億1200万円、東日本大震災からの復興(復興枠)は前年度比1.2倍の9億3500万円、国際観光旅客税を活用した観光施策は前年度比2.1倍となる420億円を要求した。観光地の再生・高付加価値化に120億円を新たに要求、人材不足対策にも前年度の2.6倍の予算をかけるなど、コロナ禍で痛手を負った観光産業の回復に取り組む姿勢だ。ここでは前年までとの違いや、特に注目すべき項目などを詳しくみていく。

(図出典:令和6年度観光庁関係予算概算要求概要)

 

観光産業の再生に向け、インバウンドと国内交流拡大の両面から支援する

前年度は観光立国復活に向けた基盤強化とインバウンド回復に向けた戦略的取組の2本柱だったが、今回は(1)持続可能な観光地づくり、(2)インバウンド、(3)国内交流の3本柱となった。前年度から消滅した項目は、地域資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業の1つだけで、ほかの項目は3本柱のいずれかに振り分り集約した形となっている。3本の柱の内訳をみてみよう。

(1)持続可能な観光地域づくり………162億6400万円

1本目の柱の内訳8項目のうち、最も多くの予算を充てたのが、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化の120億円だ。2022年度国庫債務負担行為の歳出化として新たに計上した。具体的には宿泊施設を核に観光地一体の面的な再生を後押しする。宿泊施設の高付加価値化や観光施設の改修、面的DX化に対し、事業費の3分の1~2分の1を補助する。

次に大きな額となったのは、地域における受入環境整備促進事業の18億9600万円だ。持続可能な観光に関する国際認証等を受けた地域に対して、設備導入や改修費の3分の1~2分の1まで支援する。特に、オーバーツーリズムの未然防止に資する事業には3分の2まで補助する。

持続可能な観光推進モデル事業には2億1700万円。日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の認定を受けている地方公共団体やDMOを対象としたモデル実証を行う。喫緊の課題となっている人手不足解消に向けては前年度比2.6倍となる4億円を計上した。特に、宿泊業における採用活動や、スマートチェックイン、予約管理システムの導入なども支援する。機械化、DX化を促進することで効率的な人員配置や賃上げを目指す。そのほか、観光DXモデル事業や民泊、通訳ガイド、統計については前年度からほぼ横ばいの額となっている。

(2)地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組………63億6100万円

2本目の柱の内訳は、戦略的な訪日プロモーションに55億1800円、地方部での滞在促進に5億6300万円、MICE誘致に2億1000万円、各国政府観光局等との連携促進事業に前年度比3.5倍の2億1000万円となった。

これら内訳4項目のうち、戦略的な訪日プロモーションの額が全体の9割を占める。日本政府観光局(JNTO)が中心となって、2025年大阪・関西万博開催を契機にインバウンド客を日本各地へ誘客するプロモーションを市場別、テーマ別に展開する。観光立国推進基本計画では2025年までにインバウンド客一人当たり地方で2泊を目標としており、滞在日数が増えるような体験コンテンツの開発、二次交通問題の解消など総合的に支援する。観光地域づくり法人(登録DMO)や地方公共団体を対象に、調査・戦略策定に上限1000万円、長期滞在を推進する事業に対しては2分の1を補助する。

(3)国内交流拡大………9億400万円

3本目の柱の内訳は、新たな交流市場・観光資源の創出事業に8億5400円、ユニバーサルツーリズム促進事業に5億円だった。

新たな交流市場の具体例としては、第2のふるさとづくりが挙げられる。これまでも取り組んできた事業ではあるが、今回はさらに一歩踏み込んで、地域運営に関わりたいなどのニーズに着目したモデル事業を推進する。また、コロナ禍で注目が高まったテレワークやワーケーションについても、子育て世代のワーケーションを増やすなど一層の拡大・定着を目指す。

また、東日本大震災からの復興枠では、8月24日から始まったALPS処理水の海洋放出による風評への対策として、海の魅力を高めるブルーツーリズムに前年度比1.6倍の2億7000万円を計上した。岩手県、宮城県、福島県、茨城県の市町村・観光協会・登録DMOを対象に、海水浴場の整備だけでなく、多言語看板の設置や海辺の乗馬体験など海の魅力を体験できる海洋レジャー推進事業費の10分の8まで補助する。

 

旅客税収増を見込み、国際観光旅客税による事業費が前年度比2.1倍に

国際観光旅客税を財源とする施策は、本格的なインバウンド客の戻りを見据えて前年度比2.1倍となる420億円となった。2020年度当初予算では510億円規模であったことから、コロナ前の8割程度は回復すると見込んでいると思われる。

具体的な施策は2023年度と同様、最先端技術を活用した出入国審査の実現やICT等を活用した多言語対応、文化財や国立公園等を活用したインバウンドのための環境整備が盛り込まれた。

コロナ禍でインバウンド客が激減した経験から、国際観光旅客税を財源とする施策は硬直的な予算配分とせず、緊急性・新規性の高い施策に充てると明言している。

令和6年(2024年)度予算要求概要はこちら

最新記事