データインバウンド
2018年のインバウンド宿泊者数9428万人泊で過去最高、伸び率トップは岐阜。地方部の割合は4割強にとどまる
2019.07.11
刈部 けい子2018年の宿泊統計調査の確定値が6月末に観光庁から発表された。
それによると延べ宿泊者数(全体)は5億3800万人泊で前年比5.6%増だった。そのうち日本人延べ宿泊者数は4億4373万人泊で前年比3.8%増に留まったのに対し、外国人延べ宿泊者数は9428万人泊で、前年から18.3%増えた。2014年から比べると2倍以上の増加だ。また、延べ宿泊者全体に占める外国人宿泊者の割合は17.5%だった。
地方部のシェアは4割強にとどまる
三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県)のインバウンド宿泊者数は18.6%増の約5580万人泊に対し、地方部で17.8%増の約3850万人泊。双方同じように増加しているものの、地方部のシェアは4割を上回る程度に留まっている。
政府は2020年の目標に、訪日外国人観光客数4000万人、地方部での外国人延べ宿泊者数7000万人泊を掲げている。訪日数の伸び率鈍化で4000万人についても厳しい見方がある中で、地方部での宿泊者数目標も現状ではまだまだ遠い数字と言えそうだ。
ただ、都道府県別の宿泊者数伸び率を見ると、上位20位までは大阪府を除くと地方部がずらりと並び、特に岐阜県、宮城県、島根県は50%を超える大きな伸びを示した。また宮城県を含め東北勢は5県が伸び率上位10位以内に入っている。
前年比伸び率1位は岐阜県
伸び率1位の岐阜県の外国人の延べ宿泊者数は148万4320人、宿泊者数の順位では13位だったものの、過去最高を記録した2016年から約47万人も増えたことになる。飛騨高山や白川郷など、いわゆる昇龍道ルートの一部としても人気が高く、中国の大幅な増加や、ASEAN主要6カ国が新規就航や増便によって順調に増え、欧州も好調が続いているという。
伸び率2位の宮城県は40万2110人泊で、宿泊者数の順位では27位。台湾との定期線の増加や仙台市を拠点に東北周遊を行う旅行者の増加が要因とのこと。
伸び率3位の島根県は、延べ宿泊者数7万2740人泊で全国で最も少ない宿泊者数ながら、昨年後半は連続して伸び率トップに立っていた。アマチュアバスケットの世界大会であるFIMBAワールドリーグの開催やフランスの定期団体ツアー、韓国のツアーバスへの助成や旅行商品のテレビショッピング販売などが要因とのこと。
国別では中国、イタリア、フランスが大きく伸びる
2018年の宿泊者数を国籍(出身地)別で見ると、1位が中国、以下台湾、韓国、香港、アメリカとなり、この上位5カ国・地域で全体の70%を占めた。東アジア4市場のうち、中国、台湾、韓国は増加し、特に中国は前年比26%の伸びだったが、訪日客数でも前年割れした香港はここでもマイナスとなった。また、イタリア(前年比34%増)、フランス(同28.6%増)も大きな伸びを示した。
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